『バトルテック』とは?
バトルテックとは、米国のゲームデザイナー、ジョーダン・K・ワイズマンが設計したウォー・ゲームで、1992年に日本語版を発行。
31世紀の世界を舞台にしたこのゲームは、5つの軍事国家同士の戦争を背景に巨大ロボット兵器”バトルメック”同士の戦闘を再現するSF戦闘ゲームで、プレイヤーは主にバトルメックのパイロット、”メックウォリアー”として戦闘に従事する。
『バトルメック』とは?
バトルメックは31世紀の戦場における花形兵器で、全高10mにも達する鋼鉄の巨人。
熱核融合エンジンを心臓に持ち、粒子ビーム砲、レーザー砲、ミサイル、マシンガンなどの近代的な兵器で武装し、何にも勝る強固な装甲で護られ、バトルメックを倒すことができるのはバトルメックしかないといわれる。
バトルテック世界の背景
バトルテック世界で戦争を巻き起こしている5つの軍事国家は、継承国家と呼ばれ、この呼び名の由来は、ざっと800年以上遡る。
地球では超光速航宙艦が発明され、”人類の領域”は爆発的に広がり始め、宇宙に広がる無数の惑星が、移住のために開発されていくことになった。
最初のうちこそそのすべての惑星を地球が殖民惑星として支配していたものの、破綻は訪れ、支配者であった”地球帝国”は、ついに崩壊を迎える。
そののちに銀河に秩序を築いたのが、”星間連盟(スター・リーグ)”と呼ばれるものだった。
星間連盟はうまく機能し、人類に発展を齎したが、この星間連盟さえも崩壊を迎え、これがのちに数百年続くこととなる”継承権戦争”のきっかけとなり、現在に至る。
継承国家:
星間連盟を構成していた勢力のうち中心的な存在であったダヴィオン、シュタイナー、クリタ、リャオ、マーリック5つの勢力が、連盟崩壊後にそれぞれ独立した国家となった。それが今日継承国家と呼ばれるものである。
それぞれ政治形態、軍事力、経済力などに違いはあれど、どの国家も頂点に一人の人間を戴いており、彼らは国家の王として君臨している。彼らは「継承武王」と呼ばれ、我こそは星間連盟の首長であると宣言しつつ、支配権を得ようと戦争を続けているのである。
その戦争を、「継承権戦争」と呼び、3025年現在で第三次までが勃発しており、現在は小康状態にある。
5つの継承国家はそれぞれ、ダヴィオン家が恒星連邦、シュタイナー家がライラ共和国、クリタ家がドラコ連合、リャオ家がカペラ大連邦国、マーリック家が自由世界同盟と呼ばれている。
現在のバトルテック世界
バトルテックの世界は3025年を現在としており、数百年続いた戦争はすべての陣営を疲弊させ、科学技術を退化させてしまう。
24世紀から25世紀にかけてが科学技術の最盛期だったが、継承権戦争が始まり、多用された核攻撃を始め、人類の領域全てを巻き込んだ激しい戦火のために多くの惑星が焦土と化し、技術を大幅に退化させる結果となった。
その結果、現在では主力兵器であるバトルメックを生産することもままならない。
もっとも高い技術を保有している陣営でさえ、21世紀初頭程度―――核融合に手が届くか届かないか―――といった程度であり、かろうじて残っている僅かな資料や、先人たちが伝え続けた技術によってバトルメック等の兵器の整備、補修ができるのが関の山。
戦争の中期には、大規模破壊による戦争の意義を失うことを避けるため、使用する兵器や戦闘におけるルールを定めた“アレス条約”が結ばれることとなり、アレス条約はNBC(核・生物・細菌)兵器の保有・生産・使用、居住地、研究施設への攻撃の制限などを定め、結果として文明自体が崩壊することを防いだ。
のちに、このアレス条約は破棄されることとなったが、戦場では暗黙の了解として、このアレス条約が適用され続けているのが現状だ。
現在の、継承権戦争を始めた5つの“継承国家”と呼ばれる勢力は星間連盟時代から勢力を誇っていた5つの名家を頂点とする国家で、当時から連盟の保有する軍隊とは別に私兵集団を組織しており、それらが現在彼らが所有する軍隊の中核を成している。
戦争が当たり前となってしまった現在では、傭兵家業さえも当たり前となっており、各陣営の保有する軍隊の半数かそれ以上は、傭兵部隊によって形成されている。
バトルテック世界に登場する兵器
バトルメック
高度な素材で作られた骨組みを中枢とし、抗張力素材で製造された装甲に身を包み、膨大な熱量を発生させるレーザー砲や堅牢な防壁を一撃で粉砕する粒子ビーム砲で武装した、電気で動く、全高10mにも達するロボット兵器。
その多くは人間を模した姿を持ち、機種によっては、数十トンにも及ぶその巨体をジャンプさせることも可能。
頭部に緊急脱出可能な操縦席を持ち、基本的には操縦桿とフットペダル、16進コードを入力するキーボードで操縦を行うが、高度な戦術コンピュータと神経反応システムの実装により、“頭で考えるだけ”でも操縦することができる。
全身に内蔵された駆動装置は強大な負荷にも耐えることが可能で、トン単位の手足を振り回しての格闘戦すら行うことが出来る。
気圏戦闘機
バトルメックの好敵手に相応しい、31世紀世界のもう一つの花形兵器。
現代の戦闘機よりも大型で、バトルメックと同様の高性能な素材で製造される。
その武装もバトルメックと同様のものを搭載することが多く、恐ろしいまでの破壊力を持つ。
気圏戦闘機の技術的に最も優れている点は、単体での大気圏内/外の移動を可能とし、そのどちらでも機能を十全に発揮できるように設計されている点だ。
引力圏からの離脱にもブースターなどの特別な装備を必要とせず、大気圏への突入にもバリュート等を必要としない。
核融合炉を心臓としたこの戦闘機は果てることのない航続距離を誇り、そればかりでなく凄まじいまでの加速力と最大速度をも持ち合わせている。
降下船
31世紀世界で運用される、大気圏内/外の移動、短距離の航行を目的とした宇宙船。
31世紀現在で降下船と呼ばれる宇宙船は、商用を除けば主に軍事用であり、強襲揚陸艇として使用される。
降下船は大気圏突入に耐える堅牢な装甲と、バトルメックなどに搭載されるものと同様の兵器を多数装備しており、対メック戦闘にも充分に運用できる。
降下船には主な等級としてレパード級、ユニオン級、オーバーロード級といったものがあり、後者になるほど大型、重量の降下船となる。
航宙艦
降下船の母艦となる、恒星間航行用の宇宙船。
全長が1kmを超えることも珍しくなく、複数の降下船を搭載して航行することができる。
航宙艦は主に、K=H航法と呼ばれるジャンプ航法によって航行し、星系間を短時間で移動することが出来る。
31世紀に現存している航宙艦は非武装のもので、戦闘艦が存在していたかどうかは定かではない。
艦内には乗組員が長期間生活できるだけの設備が整っており、艦内農場などもあるほど。
K=H航法があるとはいえ星系間の移動はそれなりの期間(通常、数ヶ月に及ぶ)がかかるため、そういった設備があるのも頷ける。
戦車
現代にも存在する、装甲と砲で武装された戦闘用の車輌。
31世紀世界においてもそれらは存在し、バトルメックよりも低い技術で生産が出来るために多用されている。
装甲材や武装はバトルメックと同様のものを使用しており、それなりの戦闘能力を持つが、構造上ダメージに弱く、バトルメックに脅威を与えることはそう多くない。
現代の戦車には無限軌道車輌が多いが、31世紀世界ではそれを含め、車輪によるものと、ホバーによるものが存在する。