50MHz FM送信機
10mFM機と6mAM機をCQ誌の製作記事で製作したところ、
結構良好に動作し、
高台では数局とQSOを行うことができました。
そこで、折角なので6mのFM機と10mのAM機も作って見ることにしました。
いろいろな文献を参考にして6mのFM機が完成しました。
1.設計思想
・10mFM機のVXO部分を6m帯に変更して実現。
・17.1245MHz×3逓倍=51.3735MHzをスーパーVXOで
51.00MHz弱まで下側に引っ張る。
・PVCで周波数可変可能とする。
可変範囲目標は51.00MHz〜51.10MHz
・送信出力は500mW(27dBm)を目標。
CQ誌の製作記事では10m機:100mw、6m機:70mWでしたが
さすがにちょっと物足りない感があったので、
ちょっとだけQROに挑戦してみました。
2.系統図
※T型フィルタを2段構成とし、スプリアスをカット。電波法基準値以下にする。
基準値:1W以下の送信機の場合は、50μW以下。 参照ページ
http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/others/spurious/files/siryo002.pdf
3.基板
1)全体
2)VXO、複同調部
3)励振増幅1、励振増幅2
4)ファイナル
5)BPF
6)FM変調器、PS部
4.送信波形
1)VXO出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:0dB
※無調整発振回路の出力です。
源振からの高調波が9倍波まで確認できます。
この中から3倍波を取り出します。
2)複同調出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:0dB
※50MHz帯の基本波が一番強くなりましたが、
-10dBm(0.1mW)の非常に弱い信号です。
以降はこの基本波を大事に育てて、
27dBm(500mW)まで強くします。
3)励振増幅1出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:0dB
※6dBmまで強くなりましたが、スプリアスもそれなりに
強くなっています。
1000MHzまでカバーしている2SC1906はさすが
というべきか!
4)励振増幅2出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:20dB
※ファイナルへの入力レベル調整とHPF効果を兼ねて、
励振増幅2の出力に22pFのセラミックコンデンサを
挿入。挿入後の測定波形です。
5)ファイナル出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:20dB
※ようやく、500mWクラスまでに強くなりました。
でもスプリアスが凄い。
6)BPF出力
REF:+10dBm,SCALE:10dB/DIV,SPAN:200MHz
外部ATT:20dB
※BPFでかなり綺麗になりました。電波法基準レベル
は楽々クリア。
BPFをもう1段追加すれば、1W以上に増幅しても
基準(-60dB)をクリア出来そうです。
BPFのTCを調整して上記の状態に追い込めた時には
思わずニンマリしてしまいました。
【最終調整状態】
各所の定数(主にコンデンサ)を変更し、
さらにスプリアスが低減しました。
スプリアスピークは2f0/3で-62dB程度になりました。
7)下限/上限周波数
VXOに直列に入れたPVC(15PF+15PF)の容量を
変化させて周波数の上限下限を測定しました。
あらかじめVXOコイルのコア調整で下限を51MHz弱に
合わせておきました。
下限周波数 上限周波数
※目標だった51.00MHz〜51.10MHzはカバー。
メイン(51.00MHz)でCQを出して、サブに移るという
運用が出来そうです。
5.送信出力
※630mW程度出ています。
6.外観
正面
背面
ダイヤル部
※50.00〜14まで目盛を振りました。
周囲温度等の変化で
±10KHzぐらいはずれることがあります。
7.内部
途中経過を掲載してからいろいろいじりました。
追加回路としては、過変調時に占有周波数帯域が
広がり過ぎない様に、MICアンプ(兼振幅制限)と
LPFを付けました。
※参考文献 ・CQ誌 CQ出版社 ・作りながら理解するラジオと電子回路 今井栄OM著 CQ出版社 ・手作りトランシーバ入門 今井栄OM著 CQ出版社 ・高周波回路の設計・製作 鈴木憲次OM著 CQ出版社 ・無線機の設計と製作入門 鈴木憲次OM著 CQ出版社 ・LCフィルタの設計&製作 森栄二OM著 CQ出版社 ・トコトンやさしいトランジスタの本 谷腰欣司OM著 日刊工業新聞社 |