魅惑の中国製大口径屈折望遠鏡による天体観望

 子供の頃から欲しかったモノ。それは、カメラ、オーディオ、望遠鏡。社会人になってから、カメラ、オーディオは手に入れたものの、望遠鏡だけ手つかず状態でした。2003年10月に思い切って購入いたしました。 メンテナンスが簡単で、見たいときにサッと出すことができて、それなりに見応えのある物ということで、15cmの屈折望遠鏡を購入しました。

 

 望遠鏡は笠井トレーディングで販売しているSchwarz150Sというモデルです。アクロマートとは言え、15cm F5の大口径にもかかわらず\82,500(税別)という破格的価格設定です。短焦点アクロマートですから色収差は避けられないのですが、何と言っても15cmの大口径です。長所・短所を知った上で使えば、かなり楽しめるものです。

 標準で購入した鏡筒では不足を感じたので、さらに資金を投入しグレードアップを図っています。一番大きな変更点が、クレイフォード型接眼部への交換です。標準の接眼部はラックピニオン式であり、値段の割にはシッカリした物なのですが、ドローチューブに少々ガタがあることと、フォーカスノブが重くバックラッシュがあるため高倍率時のフォーカシングがやりにくい点に不満がありました。そこで、思い切って\28,500を投入し、笠井トレーディングから発売されているクレイフォード型に変更しました。ガタやバックラッシュとは無縁で、大変満足の行く買い物でした。もう一つの変更点が、国際光器から販売されている8x50正立ファインダーへの変更です。正立なので星図と対応が付けやすい上、暗視野照明装置も内蔵されています。それから、ちょっとした工夫ですが、鏡筒バンド上部ののカメラネジを利用して、フリー雲台を装着しています。これは鏡筒運搬時のハンドルです。架台はVixenのHF経緯台です。フリーストップ型ですので、目的の方向に素早く鏡筒を向けられます。x200までは実用的に追尾可能ですので、惑星の観望にも十分使えます。

 アイピースは、Konig 32mm(笠井)、XL 14mm(Pentax)、XL 7mm(Pentax)、LVW3.5mm(Vixen)です。いずれも見かけ視野65度の広角アイピースで、眼鏡かけていても余裕で観望できるくらい十分なアイレリーフがあります。

 
何処まで見えるのか?
惑星
Schwarz150Sは短焦点アクロマートなので、惑星は最も苦手な対象。しかし、惑星は光害が酷い自宅付近や透明度の悪い日でも楽しめるので、楽しまないのは損。そのままでは色収差が気になりますが、キャップを利用して11cmまで絞ると、それなりに見えるようになります。

木星: 太い二本の縞(NEBとSEB)の確認は容易。当たり前か!その縞の内部に構造があることも確認できます。シーイングが良ければ大赤斑やガリレオ衛星の影も見えます。

土星: カッシーニの空隙が一周グルッと見えます。本体の縞模様や、輪に映った本体の影も見えます。

11cmまで絞ると色収差やハロが減りかなり見えるようになります。またNDフィルタを使えば光量が減り色収差もほとんど目立たなくなります。
ディープスカイ
ディープスカイはSchwarz150Sの最も得意とする対象です。11cmに絞ると見え味がかなりダウンしますので、やはりディープスカイには口径がモノを言うようです。また対象が淡いので色収差は問題となりません。

ガス星雲: 有名なオリオン座の大星雲(M32)は最も楽しめる対象の一つです。ガスの内部構造が手に取るように分かり長時間見ていても見飽きません。超新星残骸であるカニ星雲(M1)は佐渡島形状に見えます。夏になったら射手座のM8が楽しみです。

系外銀河: アンドロメダ大星雲の伴星雲が確認できます。また寄り添った2つの銀河(M51)、性格の違う2つの銀河(M81、82)のランデブー、銀河系を真横から見たような細長い姿(NGC4565)等楽しめます。

散開星団: Schwarz150Sで楽しめる最も美しい対象です。宝石箱のようなh-χ、粉をまき散らしたようなM35、M38など、秋から冬の星団は溜息が出るほど美しく見飽きることがありません。

球状星団: 中心部まで星に分離し壮大な眺めです(M13)。中心部は雲状ですが、周辺部が星に分離します(M4)。

二重星
惑星と同様、分解能が要求される対象なので、11cmまで絞って楽しんでいます。但し、色収差により青色が散っているため、少々星の色が黄色系に転んでいるような気がします。離角2"台は楽勝です。そのうち1"台にも挑戦してみたいと思います。

こと座ε: 有名なダブルダブルスター(二重星がさらにそれぞれ二重星になっている)です。2.5"程度の離角なので楽勝に分離できます。綺麗というより見て面白い対象です。

北極星: 離角は大きいにもかかわらず伴星が暗い(9等星)ため小口径では苦しい対象ですが、11cmでなので楽勝です。主星(北極星)は薄黄色、伴星は青っぽいのが分かります。色のコントラストが綺麗です。

リゲル: 離隔は9.2"あって余裕のはずですが、主星(リゲル)が明るるいため(0等)その光芒で伴星(7等)がかき消されがちです。しかし注意すれば伴星の存在はよく分かります。

獅子座γ: 黄金色のペアでとても綺麗です。離角は4"なので楽勝。

(2004.4.24)


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