現在の就職状況・採用方法について

                                                平成11年3月11日
                                講 師: いよてつそごう 人事部長 門屋孝一氏

1、採用試験について

 本社では、毎年の採用について、退職者数が明確になる3〜4月に採用人数の決定をする。近年は不況のために女子のみの一桁人数の採用になっています。採用試験ですが、試験前に必ず事前に本社の創立からの歩みやモットーなどを話すようにしています。その後、面接・作文・適正検査・独自試験を行います。

 面接では、当然ながら志望動機を聞くようにしています。受験者の中には、調査書や履歴書に書かれてあることを、そのまま言う人と前段階での話を(十分に)活用して話す人、緊張してしまって何も言えない人がいます。本社は客商売ですので、お客様とのコミュニケーションをとることができないといけません。これを基本に考えると、相手が話したことを反映しながら、ものを言う必要があります。また、もてなしを重要視しますから、話ができなければならないということと同時に、思っていることをハキハキ言えなければなりません。また、面接の中では、勉強、クラブ、趣味、友達のことなどを聞きます。友達のことについては、友達との話題だけでなく、その中でのリーダーシップ性(話の聞き手か話し手かなど)を尋ねます。そして、面接では3通りの評価をします。試験が悪くても採用したい人と、試験の結果によっては採用したい人と、絶対採用したくない人の3通りです。

 次に作文ですが、題名としては「どこよりも気持ちよく買い物できる百貨店とは」「百貨店のサービスについて」「百貨店人に求められるものは何か」などを出題している。内容的には、自分がでているもの、本社の基本的理念に沿っているものなどをみさせてもらっている。採点は加点方式を採用している。つまり採用側の書いて欲しい内容が書いてあれば加点している。本社が望む点とは、笑顔、気配り、マナー、責任、使命感、創造性、協調性などである。自分がお客様と関わっていく上で、会社と関わっていく上でどうするか。つまり、お客様への対応が不愉快なものにならないようにするために、笑顔、気配り、マナーについて考える必要があります。また、お客様とは商品を通じて繋がっていますので、商品知識を身につけようとする意欲や使命感、お客様との約束を守るという責任感も重要です。また、会社とは売り場を通じて繋がっていますので、売り場で新しい事を創造していく創造性や、同じ職場の仲間と仕事をする上での協調性も重要です。そして、自分の仕事観です。どういう商品を売りたいのか、何を売ってお客様に貢献したいのか、明確である必要があります。本社で何をしたいか、ということが明確であれば、少々の人間関係のもつれにも左右される事はなく、前向きにやりがいを持って仕事に取り組む事ができます。

 本社では、成績はもちろんですが、出席状況、特に皆勤である事を高く評価します。頭痛、腹痛などの体調の悪い日も登校したということですから、本社に入っても、お客様との約束などの大事な時に、無理をしてでも出社する責任感や使命感がある人物と考えています。皆勤は、本社では採用のときの大事な項目のひとつです。


2、新人研修について

 新入社員の研修について、本社では4泊5日で行います。昔は10日くらいかけていたのですが、最近の若い人は、集合教育や缶詰での研修を嫌います。4泊5日では少ないのですが、そうしないと研修後辞めてしまう人がでてくるのです。そこで、短時間で大事なことを厳選して研修を行います。つまり、基本的な教育だけを研修中に行います。実務教育(レジ打ち、伝票の付け方・整理のしかたなど)は、後でぽ行うことになります。そのかわり、基本の大切なことを何度でも繰り返して言うし、実行させます。そして、なぜ大切なのかを丁寧に伝えます。また、講義的なものを少なくします。もちろん、会社についての理解を深めるための講義は行いますが、できるだけディスカッション形式のものを多くします。小集団の討議をもとに、自分たちで結論を出します。そうすることによって、個性が見えてきます。集団の中で、個人の果たしている役割が理解できるのです。その上で、個性を重視した配属を決定します。

 本社では、女性の総合職を設置しました。女性も転勤があり、外商にも行ってもらうことになります。女性の方には、大変な職であると思います。けれども、どの職でも言えることですが、「この仕事が好きだ」という気持ちを持つことです。仕事が長続きする秘訣にもなります。また、仕事を通してお客様と接していく中で受ける刺激を、自分にフィ−ドバックできるかが重要になります。これができなければ、成長していくことはできません。けれども、このことは、本人の意識の問題になってきますので、誰かが教えてできるようにはならないのです。



3、時代の流の中で

 時代の流の中で、服装・みだしなみについても変更が余儀なくされてきました。ここ2年間をかけて、本社では服装規定を改めました。茶髪についても、薄いものであれば許可することにしましたし、ピアスについても、小さいものを1個だけなら許可にしました。マニキュアも薄い透明のものだけから、薄いピンクまでなら許可することにしました。指輪などの装飾品についても、本社では多くの装飾品を販売している関係上、結婚指輪しか許可していませんでしたが、1つだけなら許可としました。確かにファッションを販売していますので、ある程度の許容はしかたがないのですが、基本的には「お客様を不快にさせない」ことを重要視しています。これが、若い社員との話し合いの中での妥協点です。その中で、服装・みだしなみについて見直しをしました。

>ここで四国私学研究集会に参加のために退席したので、後は不明です。申し訳ありません・・・。


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