足ごしらえ
1.遡行中の履物

 
遡行中の履物には、現在、溪流タビと溪流シューズの2つのパターンがあり、昔の地下足袋にわらじ履きのスタイルは、耐久性の高いわらじの入手が困難なため利用者はほとんど見ない。私も30年前は、地下足袋にわらじ履きで、わらじは新宿にあった竹堂釣具店で購入し、泊まりの時は、キスリングに何足もわらじを入れて遡行した懐かしい思い出がある。竹堂釣具店のわらじは、非常に耐久性があり、当時でも他のわらじとは一回りも二回りも違って丈夫で長持ちしたわらじだった。ただ貧乏学生にとってはわらじとて高価で、長期遡行で何足も必要なわらじの購入は、大変な出費だった。そこで当時、上部はぺらぺらの先割れ靴下、下が地下足袋、ソールがフェルトという溪流つり用の溪流タビが出回り始めていたので、すぐに釣り用の溪流タビを履くようになった。今は、この溪流タビも釣り道具店で見ることがなくなったが、沢登りが盛んになってネオプレーン製の沢登り用溪流タビが出てくるまで私の愛用品だった。

 溪流タビは、やはり沢屋にとっての必携品だ。沢屋にタビ派が多いのは、年間の遡行日数からいくと、フェルトの減りの早い溪流シューズは高くつき、フェルトの張替えだけで新品の溪流シューズが買えること、また沢屋は足裏の感覚を大事にするからだ。足の裏で沢床の感触を探り、足先で泥壁や草つきをカモシカのツメのように掴みこむ。これができるのはやはりタビだ。また、溪流タビは底が柔らかいので、フェルトの減りは早いが、かなり磨り減ってもフリクションは利く。私も断然タビ派だが、十年ほど前に左足の内側靭帯を伸ばしてからは溪流シューズを履くようになった。溪流シューズは登山靴感覚で履け、耐久性があり、靴底が硬く、足の保護力が強いので、河原歩きや登攀的な沢では威力を発揮する。ただ、足裏で沢床を感じることができず、フェルト底の接地面が少ないので、傾斜のある滑床や泥壁や草つきには不向きだ。ただ膝や腰の負担が少なく、靴の感覚で履けるため、膝の悪い人や女性向きの履物だ。溪流シューズは高価で、フェルトの減りが早く、フェルトの張替えも高価なので、遡行日数の多い沢屋にとっては、断然溪流タビということになる。

 以前、私が良く履いていたのはカモシカスポーツの溪流タビだ。当時は今のよりも厚手のネオプレーンだったが、現在はかなり薄く、全体的 以前、私が良く履いていたのはカモシカスポーツの溪流タビだ。当時は今のよりも厚手のネオプレーンだったが、現在はかなり薄く、全体的に柔らかいつくりで、初心者よりも沢慣れた人向きのタビだ。ただ以前はなかったチャック開閉防止のためのベルクロは、ヤブ漕ぎや遡行時に障害物に引っかかったりして、かえって危険だ。ICI石井スポーツの溪流タビは、作りはしっかりしているが、全体的に硬めで、沢慣れた人よりも初心者向きのタビだ。これもベルクロ付きだ。他ではさかいやでも溪流タビが出ているようだが、履いたことがないので分からない。モンベルのサワーシューズロングは1度履いたことがあるがシンプルでフィット感が良く、もし膝の具合がよければ使いたい溪流タビだ。(2007年から使い始めているが、なかなか履き心地が良いタビだ。ただ、最大の欠点は使用後に脱ぐのが大変で、1汗も2汗もかいてしまう。沢を遡行するより大変だ。)
 溪流タビは、当然釣り道具店にもあるが、最近(ほとんど釣り道具店に行くことはないが)先割れの釣り用の溪流タビはタビの外は厚くて丸く、中が先割れになっているものがほとんど。見た目もごついので、沢登りの履物としては・・・。

 溪流シューズは秀山荘のウェディングシューズが最初だが、溪友塾では定番の履物。なぜかといえば、我々の沢シーズンは3月からで、この時期に溪流シューズを売っているのは秀山荘だけだ。ただ秀山荘の靴は縫い目が弱い。私の愛用品は靴底の柔らかいモンベルの
サワートレッカー(新型はかなり硬くなっているようなので使っていない。これなら秀山荘のウェデングシューズの方が履き心地は良いだろう) だ。溪流シューズの中では、一番溪流タビに近いので、フェルトが減ってもフリクションの利きは良い。ただ、かかとの部分が硬いので、靴づれを起こしやすいのが欠点だ。サワークルーザー 山羊のフェルトを使ってフリクションは他のフェルトより利くが、減りが早く、高価なので沢屋向きではない。キャラバンの溪流シューズは全体的に丈夫にできている。特に赤石はスマートな作りで、女性に人気があるようだ。ただ靴底が硬いのでフェルトが少し減っただけで、フリクションの利きが悪い。

 最近、ソールにアクアステルスラバーを貼り付けた渓流シューズが出ている。この靴は、乾いた岩には抜群の威力を発揮、岩にべた付くような感じで、ややもすると躓いてしまうくらい乾いた岩には良く利く。ただ、ミズゴケはフェルトよりも滑り安く、いろいろな状況化でも対応しなければならない沢登りでは、使える沢が限られてしまう上級者向きの靴だ。山域により使い分けると良いだろう。
 私が使っているのは、秀山荘のウェディングシューズ忍者、足回りの素材が柔らかく、履きごこちは快適だが、縫い目が弱く、そのまま使うとすぐにだめになるので、縫い目に接着剤を流し込んで使っている。フェルト底のものより長持ちするように感じるが、使えるところが限られるので、万能渓流シューズとはいかない。キャラバンのアクアアクティブシューズはごつい感じがする。


 渓流シューズ
 モンベル・サワートレッカー          モンベル・サワークルーザー            キャラバン・赤石             キャラバン・溪流(旧)                                                           

       溪流タビ
秀山荘・ウェディングシューズ(旧)    秀山荘・ウェディングシューズ忍者            カモシカスポーツ・溪流タビ(旧)

2.ソックス、スパッツ、グローブ


 

溪流タビや地下足袋を履く場合は、先割れのソックスが必要になる。ただ、春先や雪代ろ時の沢では非常に冷たい。ホームセンターでネオプレーンの先割れソックスがあるようなので、手に入れば使えるかも。
 渓流シューズの場合は、スポーツソックスや登山用のソックスを履くが、ネオプレーン素材の専用ソックスがある。この専用ソックスは保温力が良いが、直に履くとむれたり、脱ぐ時に素肌に張り付いて脱ぎにくい欠点がある。また長時間履いていると足がふやけて、つめが剥がれやすくなるので、夏場は履かないほうが良いだろう。またネオプレーンソックスを履く場合は、渓流シューズも少し大きめのものを選ぶようにする。

 スパッツはすねや足ものと保護と保温のために必要にものだ。昔は、藍染めの綿で作られた脚絆を使っていたが、春先は脚絆が凍り、水に漬けて氷をとかして履いたものだ。今はネオプレーン素材の専用スパッツがあるので助かる。この専用スパッツにはファスナー式のものとベルクロ付き、そのまますっぽりと履くタイプのものがあるが、一長一短がある。私は、安さを優先して秀山荘のすっぽりと履くタイプのものを愛用している。ただ、最近ネオプレーンが薄くなり保護力が弱くなっている。

専用スパッツ、ソックス


溪友塾TOPへ   沢登りの装備