安全のための用具

沢登りのルートは整備されていないので、安全のため最低限の登攀具が必要になる。

1.ハーネス

墜落時の衝撃を大腿からお尻で受けるように設計された安全ベルト(ゼルプスト、ゼルバンとも言う)で、ハーネスにはレッグループタイプかシットハーネスタイプが用いられているが、現在は、墜落時のダメージがより軽減されるレッグループタイプが中心となっている。ただし、沢登りでは水に入ることが多いので、このタイプのものはループのところが擦れて股ずれや炎症を起こしやすく、ループに余裕のあるサイズか、調整ができ、薄地のものが良い。また、沢登り用として腰ベルト(スワミベルト)や簡易ハーネスがあるが、「墜落がない」ということを前程として使用する。
 私自身は
以前DMM社のスーパーアルパインハーネスを使用していたが、現在はBLACK DIAMOND社のクロワールを使っている。沢登りでは、登攀を主目的としない限り、1日中ハーネスをつけたまま動き回るのでシットハーネスタイプのものが使いやすい。溪友塾ではダックスのシットハーネスを使用しているが、今は製造していないようだ。それに替わるものとしてダックス・アルパインライトシットハーネスなるものがあるが、使ったことがないので分からない。

 沢登り用ハーネス・いろいろ  Black Diamond(ブラックダイヤモンド) クーロワール    CAMP(カンプ) ブリッツ      
                     MountainDAX(マウンテンダックス) アルパインライトシットハーネス

2.ロープ

沢登りでは、ロープを使用する以外は1日中背負って遡行するので、軽量化のため、通常8o30mか8o40mを使い分けるが、沢のルートによっては9oを使うこともある。沢登りでは水に濡れることはあたりまえ。また、斜面をトラバースしたり、懸垂下降で多用するので、ザイルの消耗は激しい。使用後は、こまめに点検し、定期的に専用の洗剤を使ってぬるま湯で洗い、紫外線に当てないようにして陰干しする。

3.お助けひも

沢登り独特の用具で、小さい滝での確保や、大きな岩のちょっとした難しいところを登るとき、荷上げなど、ロープの出し入れをするのは手間も時間も大変なので5〜10mくらいのロープかテープがあれば重宝する。

4.スリング

ループ状の登攀用ひも。カラビナと確保支点の連結、プルージック登攀、アブミ、懸垂用の捨て縄等活用範囲が広いが、自己確保、支点等に多用する。形状や長さ、強さなど、さまざまな種類があり、通常は1.5m〜2m位のロープまたはテープで作る。太さは6oのロープまたは2p以上のテープ。プルージック用は太さ3〜4oのロープで作る。

5.カラビナ(種類)

支点にロープを掛ける際に、その仲介をなす開閉部のついた金属製の輪。用途はきわめて広く、いろいろな種類があるが、通常はO型かD型を用いる。

 カラビナの枚数は通常2〜3枚と安全環付きのもの1枚を用意する。安全環付きのものはネジ式とオートロック式のものがあり、ネジ式のものはロックを忘れたり、水に濡れて動かなくなったりすることがあるのでオートロック式のものを使う。

6.ハーケン(種類)
 
 滝を積極的に登る時や厳しい登攀的な沢では使うが、沢登りではあまり頻繁に使うことはない。
 沢のルートにもよるが、通常、平面型の縦横兼用のものを2〜3枚程度携行する。また、ほとんど回収するので、何回も使用に耐えるクロモリ、チタンの硬質のものを使うと良いだろう。

7.ナッツ

岩場を自然に保つためにも、ナッツ類を積極的に利用したい。

8.下降器、確保器

沢登りでは、一般的にエイト環を使う。エイト環は、懸垂下降のほか、確保、救助等応用範囲が広い。エイト環の他に、ATC、シュテヒト環等があるが、厳しい登攀の少ない中級クラスまでの沢のルートではエイト環だけで十分だ。

9.登高器

ユマール、ベツルと言った登高器は、初心者がいる場合や固定ザイルの多用が予想される場合は、プルージック結びで登るよりはるかに安全で便利な用具だが、ロープを傷める。

10.アイスハンマー

ハーケンを打ったり、抜いたりするだけでなく、草付きや泥壁の処理、雪渓のカッティングや確保に使用する。ただ厳しい登攀の少ない中級クラスの沢のルートではほとんど使うことはないので、小型軽量タイプで十分だ。私自身はミゾーのミニバイルを愛用しているが、同じくミゾーからディガーという名称のブレード幅のあるハンマーが新しく出ている。メーカーではブレードの幅があるので、沢登りでの雪渓や泥壁登りの強い味方で、天幕場での整地にも便利とうたっているが、使い勝手はどうだろうか。

 ミゾー・ミニバイル

11.ヘルメット

滑落時や落石、転倒時等から頭を保護するためのもので、沢登りでは岩登り同様、必ず必要なものです。また、ヘルメットは遡行者の心理的緊張をつくる。ヘルメットを着けることによって、なぜか気が引き締まるものです。溪友塾で使用しているのはカンプのヘルメットだが、各人の好みで選択すれば良い。その他メーカーのヘルメット

 ヘルメット

カンプ パルス    カンプ ロックスター       MAMMUT(マムート) SKYWALKER