谷川連峰の沢 
 
 上越国境の谷川連峰は、太平洋側と日本海側の分水嶺をなし、群馬県側と新潟県側では天気がかなり違うことがあり、県境の山々を境にして晴天と雨天がはっきりと分かれてしまうことが少なくない。また天候は不安定で、夏場は午後から突然の雷雨に遭うこともしばしばだ。豪雪地帯であるので、各沢は融雪によって磨かれたスラブが多く、登攀要素の強い沢が多い。また年によっては遅くまで雪渓が残り、入渓時期も限られる。
 
 
 ※ここに取り上げた沢は、私が遡行した沢をその当時の記憶を元に記したものですので、当時と今では状況が異なっているところがあります。
 ※難易度は溪友塾の沢登り教室で使っているもので。ガイドブックのものとは異なります。
 ※個人的満足度  - ・・・・・・なし         ・・・・・・・・・・物足りない        ★★ ・・・・・まあまあ満足
           ★★★ ・・・満足       ★★★★ ・・・・おおいに満足 
 
湯檜曽川水系
沢 名 特    徴 難易度 個人的
満足度
平水 増水
湯檜曽川本谷 谷川連峰の沢の中では非常に人気のある沢。盛夏の土日は遡行者が後を絶たないが、雪の多い年は雪渓処理に悩まされる。降雨後の増水が顕著で、泊場も限定され、朝日岳からの下山が長いのが欠点。 中級 上級 ★★★
西黒沢 水量は少ないが滝が多く、特にザンゲ沢出合以遠の連続する滝場は登攀的なものが多く非常に楽しめる。ただ部分的に難しい滝があるので不用意に取りつくと動けなくなるので注意が必要だが、かなり人が入っているので人工物がやたらと目につく。 中級 中級 ★★★
東黒沢 ナメとナメ滝が続く非常にきれいな沢。特に早朝、木漏れ日が樹林の間から谷間に差し込むときは、何ともいえない。上流部は樹林が沢筋を多い、少し薄暗い感じがするが、ほとんど源頭部まで水が流れ、最後は笹と樹林に覆われる沢型を登ると宝川ウツボギ沢の枝沢との鞍部に出る。 初級 初級 ★★★
東黒沢 白毛門沢 東黒沢の枝沢だが、直接白毛門山山頂に上がれるので遡行者が耐えない沢だ。源頭部のスラブ状の急傾斜の登りが辛いが、全体的にナメ状の大滝や小滝の続く開放的な明るい沢。夏場は午後からの雷雨に注意が必要だ。 初級 初級 ★★★
銭入沢 水量が少なく、入渓してしばらくはガレ場が延々と続き嫌気がさすが、ガレ場が終わると傾斜の強い滑床が源頭部まで延々と続く。上部のスラブ状の傾斜の強いナメをスリップに注意しながら登り、最後はブッシュと岩交じりの登攀となり笹のヤブを少しこぐと登山道に出る。 初級 初級 ★★
白樺沢 明るい沢で、途中ケサ丸沢戸の出合に三段の大滝を懸けるが大滝上部も滝が適度に懸り、そのほとんどが登れる滝なので楽しい。途中、旧道と蓬峠の登山道が沢を渡るが、登山道上部は遡行していないので不明。遅くまで雪渓が残る沢。 中級 中級 ★★
白樺沢 ケサ丸沢 白樺沢の支流だが、白樺沢より滝が多く、出合上の大滝を除けば、いずれも快適に登れる滝で、滝自体も非常にきれいな滝が多く、湯檜曽川支流群の中でも登れて楽しい沢だ。右俣は遡行していないので不明だが、出合から大滝が見える。遡行は旧道が横切るところで打ち切るが、登山道まで上がっても楽しめる。 中級 中級 ★★★
大倉沢 十字峡のところで湯檜曽川に合流する大きな支流で、水量も多く、湯檜曽川上流域の支流群の中では最も楽しめる沢。流程が長く、滝が多く、大滝も快適に登れるが、上手くルートをとらないと源頭のヤブに苦しめられるが、ルートを間違えなければやぶ漕ぎなしに登山道に上がれる。下山も長いので日帰りはかなりの強行軍になる。入渓したときは雪渓が多く、雪渓処理に悩まされた。 中級 上級 ★★★
マチガ沢 巌剛新道の第一見晴台から入渓。年によって雪渓で沢全体が覆われているので、なかなか入渓しずらい沢だが、雪渓の少ない年は大滝から扇ノ要まで続くナメと滝の連瀑帯の遡行は楽しい。 中級 中級 ★★
高倉沢左俣 右俣までは滝が適度に懸り、水量もあってなかなか楽しめるが、左俣にはいると水量も少なくなり平凡な渓相となる。 初級 初級

宝川水系
沢 名 特    徴 難易度 個人的
満足度
平水 増水
ナルミズ沢 非常にきれいな沢で、ウツボギ沢出合上流部は難しいところもなく、初級者にも十分楽しめるところだ。特に源流部は小滝と釜の連続となり、樹林は後退し、開けた明るい開放的な溪感が展開する。源頭部は美しい草原が広がり、その草原の中に流れは消える。この景観は誰しも素晴らしいといえるが、このすばらしい景観も稜線までで、ここから地獄の下山が待っている。 初級 中級 ★★
ウツボギ沢右俣 下流部に核心となる部分があるが、難しいところもなく、楽しく遡行できる。二俣手前に10mほどの滝があり直登は難しい。二俣上部は両沢ともナメの渓相となり、ヤブ漕ぎなしに登山道に上がれる。 中級 中級 ★★
ウツボギ沢左俣 右俣との出合までの本谷は小ゴルジュをなし、釜も多く、魚止めの滝である逆さくの字の滝は水量もあって堂々とした滝だ。左俣は明るく開けた沢筋に小滝を多く懸けるだけの沢で、難しいところはなく、快適な沢歩きが楽しめる。下山が長いので、できるだけ笠が岳直下の白毛門山よりの登山道目指して低い笹のヤブをこぐとそれほどの苦労なしに登山道に上がれる。 初級 初級 ★★

谷川水系
沢 名 特    徴 難易度 個人的
満足度
平水 増水
ヒツゴー沢 谷川水系の中では非常にきれいな沢で水量も多く、明るく開放的な沢筋ときれいな滝を随所に懸け、それらを楽しみながら登れるという沢登りの楽しさ、面白さを全て持ち合わせた沢だ。ただ近年、谷川水系は蛭が多く発生し、その素晴らしさを半減させているのは残念だ。またここは谷川岳危険地域内にあるので、入渓には群馬県谷川岳遭難防止条例による登山届が必要になる。 中級 中級 ★★★

赤谷川水系
沢 名 特    徴 難易度 個人的
満足度
平水 増水
赤谷川本谷 ドウドウセンの大ゴルジュを越えるまでは登れる滝がほとんどないので滝登りの楽しみはないが、水量の多い本谷遡行の醍醐味は十分持ち合わせている。ドウドウセン上流部は草原状の素晴らしい溪観が広がり、気持ちの良い遡行が楽しめる。 中級 上級 ★★★
笹穴沢 赤谷川水系を代表する沢で下流部はゴーロだが、金山沢出合を過ぎるとゴルジュの中に滝が連続し、20m越える滝も多く、気の抜けない滝の登攀が続く沢だ。特に100mを越える大ナメ滝とその上部のコップ状の大滝の登攀は要注意。事故も多いので慎重に行動したい。 中級上 上級 ★★★★

魚野川水系
沢 名 特    徴 難易度 個人的
満足度
平水 増水
荒沢 流程は短いが、短い中にびっしりと滝を懸け、いずれもなかなか手強い滝で特に3つの大滝は迫力がある。特に2番目にある大滝が難しい。また最後の60m多段の滝も登れそうもなく、いずれも左側から高巻くことになるが草付きの高巻きになるので要注意。他の滝群も非常に滑りやすく注意が必要だ。下山は荒沢山経由で土樽駅に戻ることになるが、以前に比べて非常に荒れている。 中級 中級 ★★★
南カドナミ沢 土樽駅の正面から見える沢だが、水量が少なく、入口はヤブに覆われているので貧相に写る沢だ。この沢は他の沢が増水して入渓できない時の予備沢としては楽しめる。入渓してしまうとナメ滝や5m前後の滝を適度に懸け、いずれも快適に越えられる。晴れていれば上部のスラブ帯からの眺めは格別だが、詰めは露岩とスラブ帯をわけるとわずかな藪漕ぎで登山道に出る。下山の登山道は、現在非常に荒れている。 初級 初級 ★★
檜又谷ススケ沢 しばらくはゴーロの沢だが、ゴーロが切れると両岸切り立ったゴルジュ帯となり、これが延々と続く。増水した時の逃げ場がないので注意。ゴルジュの中にいくつかあるCS滝の突破がポイントとなる。詰は笹の藪も少なく登山道に立てる。 中級 中級 ★★★
茂倉谷 水量は多いが、ナメ滝や5m前後の滝が多く、そのほとんどが快適に登れるので谷川入門の沢としては最適だ。ただ詰めはクマザザの猛烈なヤブ漕ぎとなるのでルートファインデングの良い練習となる。釣り人の入渓も多い。沢自体は初級者向けの沢だが、詰の藪漕ぎと下山の長さを考慮しないと沢登りが楽しくなくなる。 初級 初級 ★★
万太郎本谷 非常に明るい沢で、水量が多く、谷川連峰の中では初級者向きの沢として一番人気がある。入渓者が多いので土日は滝の順番待ちをすることもある。、テントサイドが限られるので沢登りの楽しみである焚き火もできない。ただ沢はトロ、ナメと多くの美瀑を懸け、遡行だけなら非常に楽しめる沢だ。 初級 初級 ★★★
万太郎谷井戸小屋沢 非常に明るい沢で、入口から明るいゴルジュの中に滝が連続し、その多くの滝が登れるので快適な沢だ。特に晴れている時は素晴らしい景観を見せる。ただ増水は早く、逃げ場がないので降雨による増水は要注意。左俣が本谷だが、滝場が連続し、特に大滝とその上に続く連瀑帯が、この沢の核心部だ。右俣は上部で滝が続くが、いずれも快適に登れる。左俣は右俣よりグレードが高い。 中級 中級 ★★★★
万太郎谷大ベタテ沢右俣 スラブの発達した沢で左俣を分けると高度をグングン上げ、特にガイドブックで30m3段スラブ滝と紹介されている滝の登攀は要注意だ。階段状スラブと紹介されているところも初級者にはスリップに十分注意しないと止まらない。詰めもうまくとらないと藪漕ぎを強いられる。ガイドブックで初級者向きと紹介されているが初級者には難しく中級者向きの沢だ。 中級 中級 ★★
毛渡沢 シッケイ沢 二俣まではほとんどゴーロの沢。右俣も二又までゴーロ。左沢は小滝が連続して懸るが、水量が非常に少なく、ボサが沢筋を多い、快適さはない。ただ上部は明るく快活な沢となり、スラブ床となって最後は笹薮の中に消える。下降はイイ沢にとる。 初級 初級 ★★
仙ノ倉谷西ゼン 広大なスラブと滝で構成された非常に明るく気持ちの良い沢だが、第1、第2スラブとも快適に登はんできるが、スリップしたら止まらないので慎重に行動したい。晴れた紅葉の時期に登れれば最高の気分が味わえるが、入渓者が多い。スラブが終わると平凡な沢となり、右側の熊笹帯に明確な踏み跡があるのでそれを辿り登山道に出る。 中級 中級 ★★★
仙ノ倉谷東ゼン 大ナメと大滝を連ねた快適な滝で構成された沢で、大滝の登はんがポイントだが、それほど難しい滝ではない。西ゼンと比べ上部でゴーロがあり、流程も長く、その分下山も長いので敬遠されるところがあるが、沢登りとしての面白さは東ゼンの方だ。 中級 中級 ★★★★
仙ノ倉谷イイ沢 滝のない至って平凡な下降用の沢。 初級 初級 -
大源太川 北沢 水量が多く、滝も随所に懸るが、ほとんどの滝が登れるので楽しい。ただ三俣出合に懸る20m程の滝は直登は難しく、右のリッジ状のところから灌木帯に入って高巻く。上部は傾斜のあるスラブ状のナメ滝群はスリップに注意して登ると、最後は草付きと小灌木のミックスしたスラブ帯となり、ひたすらヤスケ尾根の登山道を目指して上がる。 初級 初級 ★★★
七ツ小屋裏沢 北沢と分かれると釜を持った4m前後の滝が延々と続き、楽しい遡行ができる。中上流部は平凡となり、詰はクマザザの藪となるので、ルートファインディングを間違えると延々と藪漕ぎを強いられるので注意。 中級 中級 ★★★
足拍子川本谷 下部のゴルジュは小滝と渕が続くが困難なところはない。中流部のゴルジュは沢どうしの通過はできず高巻きが多くなるが、例年雪渓で埋まっていることが多い。雪渓のない時は難しそうだ。中流部ゴルジュを抜けると両岸スラブとなり、セナコウチノ沢を入れると連年ほとんど雪渓で埋まっている。詰の藪漕ぎは少ない。下山はカドナミ尾根を使って土樽駅に降りることになるが、この道は廃道に近い。 中級 中級 ★★

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