陰陽五行プロローグ
茶道において【陰陽五行】の考え方はあらゆる部分で密接に関っています。
 そもそも【陰陽説】と【五行説】は別々に派生した考え方ですが。現在では結
合した両説を夫々に論じられる事は殆ど無く、多くの方が【陰陽五行説】として
一つに捉えられています。【陰陽説】は古代中国の伝説上の帝王である伏羲
(ふくぎ)が人々の幸福を願い陰陽から八卦(ハッケ・ハッカとも)を考案し、国家
人心を占っていたと云われています。【易】で云う八卦という言葉はよく耳にさ
れるでしょうが。簡単に説明しますと、始めに絶対的な〈一〉(全ての大本)であ
る太極がありその太極から陰(--←これを爻コウと呼ぶ・陰爻インコウ)と陽
(―・陽爻ヨウコウ)の二つに分かれたものを両義と呼び、そこから更に陰から
は陰爻--の上に陰爻--を重ねた老陰(太陰とも)と陰爻--の上に陽爻―を重
ねた少陽の二つに、陽からは陽爻―の上に陰爻--を重ねた少陰と陽爻―の
上に陽爻―を重ねた老陽(太陽とも)の二つに分かれ、それぞれ二爻となった
その四つを四象と呼び、更には夫々に陰陽の両爻を重ねていき八つに分け三
爻として八卦が生れ、それが更に重なり《易経》に示される六十四卦となる易
学が生れていきました。(下記に図を示しました)
 そもそもこの【易】という字自体が太陽と月という所謂《日月じつげつ》の複合
文字で陰陽そのものを表しています。また、トカゲの形と日光の形をつなげた
会意文字との説やトカゲの身体と肢という説もあります。それはトカゲは一日に
十二回も体の色を変えるという所から、易は「変化する・連続的に変わる…」と
いった意味として使われています。
 前述のように、陰と陽の二元はその中で繰り返し二極に分かれていく性質を
持っていますが。それは不特定の事象の個々の中に対立するものとしてでは
なく、あくまでも陰陽の対比=バランスとして成り立つものであるとの考え方で
す。そこには、互いの消長により発生発達する相対的二元論であるという特徴
があります。

八 卦 の 展 開 図

天を表す乾(ケン)は、其の字の如く乾いた状態や、太陽の輝く様を表す。
沢を意味する兌(ダ)は喜び解きほぐすとの意味で、沢が伸びる状態を表す。
離(リ)は漢字の意味とは逆だが、付着し明らかになるという意味を持ち、火の状態を言う。
雷をさす震(シン)は、雷が雨をともない、辺りをふるえ動かす様を表す。
風である巽(ソン)は、揺られそよぐ様、譲り従うという意味でもある。
坎(カン)とは穴に墜ちる事を云い、水が穴へと流れ落ちる様。
山のどっしりと動かない状態を表す艮(ゴン)は、止まる・留まるという意味である。
坤(コン)は土であり、生れ出で・育む大地である。