KGボクシング/トピックス

《KGボクシング通信》

インデックス
 ◇2000.3. 1 シーズン・イン
 ◇2000.3.26 合同練習会
 ◇2000.4.16 西宮市民大会
 ◇2000.5. 3 神戸市民大会
 ◇2000.5.20 関西学生リーグ戦 3部 関学B−京都大学
 ◇2000.5.21             1部 関学 −近畿大学
 ◇2000.5.27             3部 関学B−神戸学院大学
 ◇2000.6. 3             3部 関学B−大阪大学B
 ◇2000.6. 4             1部 関学 −桃山学院大学
 ◇2000.6.10             3部 関学B−大阪経済大学




関西学生リーグ戦 第4週 KGチームの熱いリーグ戦、終焉をむかえる!  

ミレニアム・リーグ戦も第4週に入った。先週、近・桃との1部決戦を2連敗で終えてしまったKGチーム。しかし、まだモジベーションを落とすわけにはいかない。3部はこれまで3連勝を上げていた。しかし、対する大阪経済大学も、ギリギリ5人のメンバーで、チームを維持してきている。意地でもBチームを名乗るチームは許せないはず。新鮮力で挑む、KGチームには、むしろチャレンジスピリットに包まれていた。

トップのFは折寄(2)の登場、今リーグ1勝1敗の5分の星。対する大経は主将・大谷(4)、今シーズン諸般の事情で今日が初登場となる。しかし、昨年、リーグ戦ですばらしい戦績を残していただけに折寄にはかなり厳しい対戦である。ゴングと同時に、不安を振り払うかのように強振してくる大谷、いきなりインサイド気味に折寄の側頭部をとらえたスイング。たまらず、ダウンの折寄、開始早々かなりのハンデーを追た。しかし、これでは終われない、ブロックをがっちり固めストレートを打つ折寄。意地のスイングで応戦する大谷。落ち着きを取り戻した大谷のパンチが徐々にきっちりとしたフックとなった折寄にヒットする。しかし、さがらない、さらに前へ前へ。互いに一歩も引かぬ気迫の対決。3Rにはいる、大谷のフックか折寄のストレートか。何度と無くパンチが交錯する。レフエリーのカウントは折寄に与えられた。ダメージ深しとみて試合はストップ。折寄は、そのナックルに何発も手応えを覚えていた。ダメージも感じていなかった。やや、判定に不満をもつも、何が良くて何がだめだったか。まず自らもう一度チエックするんだ。まだまだスタートラインに立ったところだ。この悔しさを心に刻み次なるファイティングの時に 備えるんだ、折寄。「勝ちに不思議な勝ちはある、負けに不思議な負けはない」道場に掲げられる、オールドKG戦士KENZOU先輩の言葉はまさしく折寄、お前の明日のためにあるんだ。

一気に勢いに乗りたい大経の2番手は伊藤(3)、既にこのリーグ戦なんどもリングに登場しているだけに、落ち着きの色が、見える。KG2番手は進藤(3)、もちろんリーグ戦デビュー。既に、緊張で表情も強ばっている。しかし、ゴングと同時に飛び出したのは進藤、堅い堅いガードで前へ。対する伊藤もスピーディーな連打を繰り出す。一行手を止めない伊藤、これまた一行ガードを崩さず前へ出る進藤。伊藤の連打の終わり際をとらえ何発もヒットを与える進藤。延々とこの両者譲らぬファイトが繰り返される。ラウンドが進むにつれ、微妙な差がついた。ガードも下がっていない、後ろにも引かない、しかし明らかに進藤の顔色から赤味が引いた。明らかな、減量方法の選択ミスか。しかしこの日の進藤、踏ん張る踏ん張る。既に体力の限界は越えているが、ガードを下げない、ひたすら前へでる、そしてストレートを打つ。なにがあの進藤をここまでがんばらせたのか。進藤を送り出したKGチームに、支えてくれるチームメートに、まるで恩返しをするかのようにファイとする。試合終了のゴング。判定は伊藤に。しかし、進藤は今出せる全てを出し尽くした。試合終了後、廊下で精根尽きはて倒れ込んでしまった。主将一原、後輩石橋が肩をかし、やっと立ち上がる。そして、自らの足で歩みだす。やはり進藤、お前もKG戦士だ。みんなが認めているぞ。「勇気を持て、そして100%ファイトするんだ」道場に掲げられる、サッカーブラジル代表・元主将ドゥンガの言葉はまさしく進藤、お前の明日のためにあるんだ。

もう後がないKGチーム、ここで登場は戦う心理学者・塚原(3)。しかし、もう、リングの上の塚原には心理学者の雰囲気を漂わせるものは何もない。そこには今から、400年前、関ヶ原に集った、若武者のごとき風貌をもつKG戦士・塚原の姿があった。対する大経・三功も気迫を漲らせる。生意気にもBチームを我らの前に立ちはだからせたKG、許せまじ。L・LWはいずれも2年、圧倒的に分が悪い。なんとしても俺が決めねば。リーグ戦の連戦でつかんだ自信は、確信を持った闘志の炎を燃え上がらせた。おたがい、この一戦に全てがかかっていることは100も承知。まさしく天下分け目の関ヶ原の合戦が、リングで展開された。合戦の開始ののろしは若武者・塚原があげた。サウスポーから正確に繰り出すリードブローで先手をとる。しかし、連打が続かない。対する三功、じっくり相手を見据えて、乾坤一擲のカウンターのストレートを長尺槍のごとく突き出す。負けじと左ストレートから右を爆裂さす塚原。一進一退の関ヶ原の攻防が続く。塚原、最大のチャンスが2R突然訪れた。強烈なヒットが三功の顔面をとらえる。みるみる左目の下が晴れ上がってくる。今だ、一気に勝負しろ。2度のダウンを奪った塚原にKGコーナーから檄が飛ぶ。しかし、動かない松尾山の金悟中納言を見つめる石田三成の心境に陥るKGコーナー。一度のがしたチャンスの代償は大きい。3R、三功の猛反撃が開始される。まさしく大谷軍勢の横っ腹に勝負を決した寝返りの突入を開始した金悟中納言をみる島左近の心境のKGコーナー。互いに力を出し切っての勝負はフルラウンドの激闘の末、判定に持ち込まれた。命運を分ける裁定は、「青コーナー三功君」無念、若武者・塚原。3者3様の難しい判定ではあったが、この一戦に総力を賭けた大阪経済大学の執念が、KGチームを討ち取った。だが、勝負に対する気迫では負けて入られない。

「みんな、これからやで、ちゃんと力一杯せいえんしょうよ。拍手も少なすぎるよ、声もまだまだ出せるよ」マネージャとして縁の下でチームを支えてきた主務の田中(4)の声が響いた。ハートに新たなエネルギーがチャージされた。そう、まだまだこれからだ。まだ2試合残っている。KGのプライドが試される試練の試合とも言える。関ヶ原で破れた西軍ではあったが、破れた後が真の勝負であったろう。2度の大阪の陣で滅亡させられた豊臣家のように、根こそぎぶっ飛ばされて良いのかKG戦士達よ。Lは、このリーグ戦3連勝し、気を吐く峯松(3)。自らKGのゴールデンボーイと戦意を鼓舞しリングにあがる。「破れた3人の無念は俺が晴らしまっさぁ」とゴングと同時に大経・松岡(2)に挑みかかる。大阪の陣で、孤軍奮闘した真田幸村のごとく、ありとあらゆる自ら持てる力を爆発させた。距離をとってのシャープなストレートから連打、ボデーから左右フックを強振、さらにアッパーでたたみかける。必至にガードを固める松岡に、ブロックの上から情け容赦なくパンチを叩き込み、ねじ込む峯松。そのファイトは、まさしく怒濤のビッグウエーブ連打。かって、KG戦士達坂本・中坪らが作り出した連打のミラクル・ハーモニーの奥義を継承するものだった。2R松岡のガードの間に、峯松のパンチかねじ込まれ出したところでタオルが投入され勝敗は決した。

KGのプライドを守るための闘志の炎が、峯松からラストのミラクル・ドリーマー藤原(4)にたくされた。 今シーズンのリーグ戦、KGにとってラスト・マッチとなったこのLWの一戦、KGは奇跡の復活を遂げた藤原、既に強豪をねじ伏せ続けて、峯松同様の3連勝中である。大経は中村(2)、なんとかここは意地を見せたいところ。しかし、背負ったものの大きさの差が、そのまま試合内容に映し出されてしまった。相手のサイドを確実に押さえるサウスポー藤原。強烈なレフトのカウンターから速射砲のごとき連打に結びつける。中村の反撃も完璧にブロック。しかし、勝負を賭け、打って出る藤原、すこし、ガードが下がり、顎がうきかけた。最上級生として、10人を越える有望な新人達に「俺は毎日何を教えてるんだ」そお、「まずガードを上げて、顎を引いて、相手にパンチをたたき込め」そお言ってるんじゃないか。おれのこのファイトでそれが伝わるのか、後輩の見本になり得るのか。もう一度、気持ちを引き締め直し、最後の総攻撃を仕掛ける藤原。もうだれも藤原を止めることはできない。リングにはKG戦士のバリバリOTOKOMAEば藤原の姿があった。「俺のこのファイトを、お前らの目に焼き付けてくれ」後輩達に強烈なメッセージを送る藤原。「塚原、これが次にお前が身につけねばならないボクシングだ」と、付け加えるかのごとき、自らの魂を全て爆発させる藤原。2Rシャープなレフトストレートが中村をとらえたところでタオル投入。強烈なパンチでリーグ戦4連勝を締めくくった藤原。

OGの樋野先輩が現役時代に墨で書いて道場に掲げた2つの言葉、「勇気を持て、そして100%ファイトするんだbyドゥンガ」「勝ちに不思議な勝ちはある、負けに不思議な負けはないbyKENZOU」。そして、もうひとつ、ある日誰かがワープロで1つの言葉を道場の壁に掲げた。
「夢なき者 理想なし
  理想なき者 目標なし
   目標なき者 実行なし
    実行なき者 成果なし
     成果なき者 喜びなし」
(マラソンランナー 谷口浩美)

ボクシングのリングには、常に2人の戦士が登場し、勝利にためにファイトを繰り広げる。勝者は全ての栄誉を勝ち取り、敗者には何もやる必要はない。これは、ボクシングの一つの真理であり、ボクサーの宿命でもある。だが、「IF まったく同じ才能をもち、同じだけの努力を払った、2人がリングで対峙し、ファイトし、全く同じ数だけクリーンヒットし、全く同じパフォーマンスを展開した」としよう。ジャッジメントはどうなるか。アマチュアボクシングにおいては引き分けはないから、いずれかが勝者となり、いずれかが敗者となる。勝っておごらず、負けて腐らず。谷口さんは「成果なき者 勝利なし」で結ばず、「成果なき者 喜びなし」で結んでいる。非情な勝負の世界において非常に含蓄のあるメッセージだ。しかし、「夢」をまずもてない者には、勝利も敗北も無い。

2000年、20世紀の終演のとし、ミレニアムの幕開けのとし。KGボクシング・チームにとって創部70年の節目のとし、30シーズンぶりに1部でファイトしたとし、そして近・桃に真っ向勝負を挑み、Bチームを編成し戦ったとし。KGボクシング・チームの中で、どれだけの戦士が夢をもって汗と涙を、ジムでリングで流したのか。 KG戦士の最大の目的は「夢を持ち、リングで喜びを勝ちとる」ことだと思います。マネージャーも、トレーナーも、試合にでれない者も、ともかく最後までKGボクシング・チームの一員として、共に走っている者みんながKG戦士なのです。 KGチームのリーグ戦はこれで終わった。この2000年春シーズンも残すは関西大学との伝統の関関戦のみ。さぁ、ファイナル・バトルだ!

○第4週第7日(2000.6.10/桃山学院大学)
 【3部】
   関学B ● 2−3 ○ 大阪経済大学
 F  折寄 × RSC3R1’41 ○ 大谷
 B  進藤 × 判定(57−60、57−59、56−60) ○ 伊藤
 Fe 塚原 × 判定(58−58○、59−58、57−59) ○ 三功
 L  峯松 ○ 棄権2R1’11 × 松岡
 LW 藤原 ○ 棄権2R1’15 × 中村



関西学生リーグ戦 第3週 第6日                           
  打倒!桃山 準優勝を目指し、挑むも惜敗! しかし、悔いなしKG戦士達
                                                

   It’s time to shine you, KG BOXING FIGHTERS.      


近大に破れて、真剣に決意した、「桃山に勝つんだ」と。ただ、無事に終えることが試合の目的ではなくなった。「試合に勝つ」これほど当たり前の言葉が、これほど特別な響きを持つものなのか。試合に出るもの出ないもの、マネージャーも1年も、そして多くのOB・OGが一つになって、全員がKG戦士としてこの日を迎えた。そして、「桃山にかって、準優勝するんだ」夢ではない、この明確な目的を実現するためだけにリングに上がる9人の戦士がリングに並んだ。対する、桃山学院大学にも、なにかいつもとは違う緊張感が張りつめていた。過去2年、Bチームに2連勝していたが、やはり、1部のリングに臨む桃山は明らかに違っていた。ここ最近の10年、当たり前のごとく、リーグ戦最終日の「近桃決戦」が全てであった桃山にとっては、KGは許せない存在だったに違いない。突然、あらわれ「近大を破る」などと言う、桃山だけが許された言葉を口にしたからだ。しかも、今日は「桃山には負けられん」まさに戯言としかとれなかったこの言葉・・・しかし、まさかは、桃山に許されない。万一、KGに負けることになれば・・・その万に一つを真剣にこの日を迎えたに違いない。必勝を期すKG、万一を許せない桃山。近桃戦とはちがう緊迫感がリングを覆い尽くした。万策つくしこの日を迎えた、KGにとって、唯一の誤算があったとすれば、桃山の若き猛将柴山が、コーチとして、セコンドとして、再びその雄姿をリングに現したことだった。そしてついに、KGにとって、桃山にとって、運命のゴングが鳴り響いた。

緒戦は、LF、KGは近大から白星をものにし、自信満々で登場した仙石(1)。対する桃山は山本(2)。「奇跡の扉はおれが開けるんだ」その仙石の思いを、いとも無惨に山本がうち砕いた。「俺が勝たねば!」その凄まじいまでの闘志、「お前が勝たねば!」さらに凄まじいまでの桃山のリングサイド、ひょっとすると近桃戦以上のエールをリングの山本に送る。ゴングと共に、ノンストップでストレートを打ちまくり前へ出る山本。これに対し、負けじとストレートで応戦する仙石。いきなりトップギアでの撃ち合いで幕を開けた。予想以上の山本の闘志。堪えきれずスッテプバックした仙石をだれも攻めることはできない。背負ったものの大きさが勝敗を分けた。なすすべもなくカウントをきく仙石。なんとか逆襲を試みるも、いったん傾いた流れはもう戻らなかった。ストップを告げる、レフェリー無情の宣告。悔しさを露わにする仙石。この1戦で大学のチームで争うボクシング・マッチの何かを学んだにちがいない。まだまだこんなものではない仙石の力をリングで見せるんだ。さい先の良い激勝で「みたか桃山の力を」と勝ち誇る、しかし、KGの、KG戦士達のバーニングハートは衰えるどこらかさらに激しく燃え上がった。

一気に勝敗を決したい桃山はF1に副将松永をもってきた。KGは理学部が産んだ天才の名をほしいままにしてきた大浜の登場。これまで敗戦はたったの3つ、2年の全日本、3年の全日近ブロ決勝、そして近大戦での寺越戦。昨秋、大浜はこれから厳しくなる理学部のカリキュラムを前に退部を考えていた。しかし、近桃決戦を決意した主将一原の心意気に心動かされ、敢えて困難な継続を決意。そのとき大浜はもう一つの決意を胸に秘めた。それまでは完全にサウスポーのボクサーとして、徹底してフットワークを駆使、そしてカウンターの右フック、左ストレートでポイントを重ねる。しかし、2,3年で喫した2つの黒星、本人にとっては完璧なポイント勝ちの自負があった。何故、自分のボクシングが支持されなかったのか。重いリングのトラウマが大浜の心の底に残る。「唯一、リングでやり残したのは、徹底的に打ち合うこと。今までの自分のボクシングスタイルとは180度異なるが、近桃相手にファイター大浜を披露して勝つ」心の棘を抜くために敢えて挑んだ。その結果、近大戦、寺越にカウンターをもらいダウンさせられたのかもしれない。しかし、リボーンしたからこそその後の激しい反撃があった。判定で寺越の手が上がったものの悔いはなかった。そしてこの一戦。真っ向勝負を、敢えて挑む大浜。だがしかし、またもや悲劇が起こった。開始早々、強烈な松永のカウンターが大浜をとらえた。大浜の体がリング中央で崩れ落ちた。「見たか関学、これが1部の力だ」勝ち誇る桃山サイド。これで、打倒桃山の炎は消えるのか。「大浜いける」KGサイドの全員が信じてエールを送る。とても「いける」状態ではなかった大浜が天空翔るペガサスのように甦った。カウント8でボックスの声がかかる。一気に試合をストップすべく襲いかかる松永。しかし、これこそ大浜が臨んだファイトだった。真っ向勝負して打ち合う。敢えてリング中央で打ち合う。ダウンのビハインドは大浜にはなかった。2R、ついに生まれ変わった天才の姿がそこにあった。1%の才能で勝ち続けた大浜ではなく、99%の努力で自ら勝ちをもぎ取ろうとする大浜の姿。まさしく、そこにはKG戦士のプライドが産んだ天才の姿があった。ショートストレートのカウンターからボデーアッパー、そしてライトのフックを鋭角的に当てる大浜。回転を上げ強烈なストレートを速射砲のように繰り出す松永。プライドをかけた2人の戦士の姿がそこにはあった。3Rかすかに明暗を分けたものがあるとすればわずかな練習量の差であったかもしれない。松永も充分な練習をしていた。しかし、わずかな差のスタミナ量。これが勝敗を分けた。3R最後の最後まで失速することなく前へ前へ撃ち続けた大浜、僅差の判定を征した。これで勝負は1−1、振り出しに戻った。

F2は主将一原(4)、近大戦で殊勲の1勝を上げているだけに、KGサイドの期待は高まる。これで一気に流れをKGにもたらす。闘志満々でリングに飛び出す一原。これに対し、桃山・沖田(3)は国体出場など実績は充分。しかし、終始一原の気迫に圧倒された。が、やはり桃山にとってもこの一番、負けてしまうとヤバイ。鋭くスッテップインし、リードからの連打を浴びせ続ける一原に対し、沖田は終始ディフェンシブなボクシングに徹した。大きなバックステップで一原のアグレッシブなプレッシャーをかわし続け、ときおり長いリーチでストレートをだす。しかし、一原も完璧なクリーンヒットを沖田に与えることができない。フラストレーションを爆発させ最後の追い込みをかける一原、逃げる沖田。主将として、KG戦士として、最後まで真っ向勝負を仕掛ける一原。近桃戦を仕掛けた男のプライドがリングをおおった。終始、前へでて手数で圧倒する一原か、一原のクリーンヒットを完全にクリアーするため足をつかい続け、ディフェンシブな動きの中での数少ないクリーンヒットを上げた沖田か。KG、桃山双方にとって大きな明暗を分ける判定は。「赤コーナー沖田君」のコール。「あ〜っ」と悲鳴に近い悔しさがKGコーナーから、「やった〜」の歓喜の雄叫びが桃山コーナーから、同時にわき起こった。コールの瞬間、「うっ」と小さく声を発し一瞬、天空を仰ぎ見た一原。いいしれぬ悔しさが一原の全身を飲み込んでいく。しかし、泣き崩れるわけにはいかない。主将として、そして、この1年間、KG戦士を率いてきた男のプライドが、一原の胸をおおきく張らせた。「まだまだこれからじゃ」1ポイントのビハインドは背負ったものの、まだまだKG戦士達の意気盛ん。その闘争本能の固まりとなったKG戦士の中心に、今リングを降りたばかりの一原のいた。「桃山に勝つんや」自分の仕事はまだある。一原が10人を越える1年生にKG魂を伝えたのはリングの上のファイトだけではなかった。

1−2、もう後が無くなったKGはB・南出(3)、一気に突き放したい桃山は前崎(3)。さらにヒートアップする会場。この2人、実は高校時代から、何度も激闘を繰り広げてきたライバル。お互い相手の手の内は充分知り尽くしている。勝利への執念、個人としての勝利への執念、そしてチームの勝利を自らのファイトでもたらすんだという執念、その執念が相手を上回ったものが勝つに違いない。長く熱い激闘の幕を開けるゴングが会場に鳴り響いた。一歩も引かずプレッシャーをかけ続ける剛の南出、相手の動きを的確に捌く柔の前崎、好対照ではあるがガチンコかみ合った打撃戦が繰り広げられる。やや力み気味に強引なリードブローからやや軌道の狭いスイング気味のフックを叩きつける南出。時にサイドに、時にバックからすばやく切り返しスピーディーに打ち返す前崎。共に決定打がないまま最終ラウンドに勝敗はゆだねられた。「思いっきり水をかけてください」いつも通りのリクエストをセコンドにする南出。「初心に戻って一から勝負をしてきます、そして必ずKGに勝利の女神を引っ張ってきます」きっぱり言ってのけた。気合いの入りすぎか、反則ギリギリの突っ込みから連打をたたみかける南出。クリンヒットか失格か、ハラハラドキドキのスリリングな展開。ジャッジはどう判断するか。2人にとっても、両チームにとっても、ながいながい3Rが終わった。この1っ戦、負ければKGはジエンド。運命のジャッジは「青コーナー・・・」KGサイドの歓喜で後が聞き取れなかったが、南出の左手を握ったレフエリーの勝者を告げる手が、高々と突き上げられた。全てをかけた近大戦、全てを出せないままの敗北、悔しさで試合後涙が止まらなかった南出、曇り続きだった心にやっと日が射した。これで2−2、試合は振り出しに戻った。

試合は2−2ではあったが、桃山にとっては絶対のエースであるはずの松永、前崎で落とした2敗だけに、そのショックは大きかった。セコンド柴山は、自分の選手生活でも滅多に見せなかった闘志で金井(3)にプレッシャーをかけた。「お前が負けたら桃山は終わりや。全てが金井、お前のファイトにかかってるんやど、わかったなぁ!」うなずく金井。飾磨工業高校時代、KOで国体の近畿チャンピオンを獲得。南出と共に推薦入試を受ける予定だったが、縁あって桃山に進学。昨年のリーグ戦では、今日対戦するKG山本(4)にダウンを奪われ破れている。決して分のいい勝負ではなかったが、闘将柴山の叱咤に、金井のハートがブレークした。しかし、山本とて負けられない。離れていく勝利の女神を、なんとかここまでとどめさせたKGチーム。自分が水を差す訳にはいかない。副将として、そしてKGの闘将としてファイトを燃やしてリングに上がる。決してコンディションはよくない。本来、出場も危ぶまれるところだったが、気合いで治癒力を高めこの日に自らの輝く場をもとめた。強打と強打のぶち込み合いが開始した。共に一歩も引かない、いや引けない。アウトサイドからのフックを中心に組み立てる金井。インサイドからの速い回転のショートアッパーからストレートで組み立てる山本。天性のハードパンチャー金井と努力のボクサーファイター山本。インターバルの度に、2人の戦士に新たな息吹が吹き込まれるかのごとく熱戦は続く。やや、金井が下がりだした。つめきれ山本。しかし、皮肉にも下がったことで金井のパンチの距離が生まれた。止まることを知らない2人の闘志。止めたのはゴングだった。勝敗は、「赤コーナー・・」今度は桃山サイドの歓喜で場内は騒然となる。ジャッジは3者3様。破れて悔いなし、山本。一原が、大浜が、そして試合を終えた山本が、汗を拭うこともなく勝利への執念を次の1戦にそそぎ込んだ。奇跡はまだ起こる、いや、俺達の手で起こすんだ。

3−2と、やっと1ポイントのリードを再び作った桃山。やっと、余裕の表情が、セコンドも含め桃山チームに広がる。「次は楽勝、大丈夫」誰もがそう信じ三浦(3)を送り込んできた。研ぎ澄まされたカウンターのフックを切り札に自信にあふれた表情の三浦。かたや、野垣(4)は表情を強ばらせて登場。近大戦、エース安東の前に、ダメージを自ら感じる前にレフェリーの判断で試合をストップさせられた。しかし、このストップはまさしくナイスジャッジであったと多くの関係者は支持している。リングを降り、悔しさに涙が止まらなかった野垣。「なんでお前ごときの実力で、そこまでくやしがんねん」の声が聞こえた気がしたと野垣。涙を出し尽くした後、奇跡が彼を包んだ。はじめて「勝利のイメージが頭と心に広がった」そう語る野垣。そこには「戦うジャーナリスト」の姿はなかった。まさしく、リングで戦うためにのみ時間を費やしたKG戦士、「KGボクシング・ファイター」の野垣の雄姿がそこにあった。桃山三浦楽勝。会場をつつむこの空気が一変するのにそう多くの時間は必要なかった。がっちり構える野垣。顎を引き、グローブを上げ、スッテプインし、ただひたすら全エネルギーを相手にぶつける野垣。山ほどやった相打ちストレートをただ一つの武器に先ずは挑みかかる野垣。「あっ」会場の誰かが声を発した。なんと、三浦の顔がパンチを受け赤みを帯びだした。桃山のセコンドの表情が一変した。桃山楽勝ムードは、もうリングの上にはなかった。リードの相打ちから、連打につなげ確実に相手にプレッシャーをかけ続ける野垣。1R終了、KGのセコンドの表情も変わった。「いける」そう一言言い放ちリングに駆け上がる。このセコンドの表情の変化をもっとも鋭く読みとったのは、誰あろう野垣である。「俺、勝てるんちゃうんかぁ」まさしくそこには戦士の姿があった。2Rさらに積極的に攻め続ける野垣。三浦のシャープなストレートを完璧にディフェンスし、プレシャーをかけ前へで、ストレートを叩き込む。完全にゲームメーキングし、着実に勝利に向かいばく進する野垣。しかし、思いもよらぬクライマックスが忍び寄ってきた。いかにしてこの流れを断ち切るか。研ぎ澄まされたカウンターの切り札を着る一瞬を、耐えながら待っていた三浦。2回終了間際、突然幕は下ろされた。見事なカウンターが野垣をとらえた。たった一瞬の空白をついて繰り出されたカウンター。無念のカウントをきく野垣。無念、非情のストップの声が野垣の耳に届いた。敗者には何もないリング。しかし、野垣の胸には戦士としてのプライドの炎がはじめて燃えだした瞬間だったに違いない。 2−4もう後がないKG、しかしそのときセコンドがKGチームに指を3本たていった「あと3つある。全員、絶対1瞬たりとも気を抜くな。」そう、野垣のファイトは、奇跡に向け後がない、追い込まれたKG戦士達にさらなる勇気と希望を与えた。

LWには長身、中谷(1)の登場。ヒットマンのロングストレートが爆発するか。桃山・井上(2)は明らかに身長、リーチで劣り不利は一目瞭然。しかし、「自分がKGの一戦を決めてやる」の気迫で真っ向勝負を挑んできた。井上の気迫に押され、中谷は本来の距離でのボクシングができない。しかし、賢明に打ち合う。不利な接近戦だが、ナックルをねじ込み体全体でパンチを繰り出す中谷。井上のパンチがヒットするも、ものともせづ前へ出て反撃する中谷。共に決め手がないままラウンドが進む。どちらの手が上がってもおかしくない粘闘。「なんとかヒット・マンストレートで、井上の顎を吹き飛ばせ」賢明に祈るKGコーナー。最後まであきらめず打ち続ける中谷。しかし、やはり明確なポイントをアピールできなかった。無念、井上の勝利のコール。この瞬間、KGの夢は砕け散った。しかし、KGコーナーのバーニングハートは決してバーニングアウトの気配すら見せない。むしろ、敢闘の末の黒星が重なる都度、より激しく燃え上がる。4年も1年も関係ない。全員が一つになってリングのKG戦士に同化し、共に戦い続けている。リングを降りる中谷に激しいエールの拍手を送る。セコンドが再び、2本指を突きだした。Vサイン?そう、まだ2人KG戦士は控えているんだ。

勝負は決したが、KG戦士のプライドを示すため、Wに玉村(4)が登場した。1年入部時、その非凡なボクサーとしての才能を期待されたが、うまく歯車がかみ合わないまま、どんどん迷宮、リングのラビリンスに迷い込み、悩み続けた日々。しかし、その悩み続けた日々が、まるで嘘のように、思える日が来ることをひたすら信じ、戦い続けた4年間。先の近大戦、秒殺されることが必然と思えた高校チャンピオン坂口との1戦。その強烈な坂口のパンチが悩める巨人の目を覚まさせた。まさしく迷宮の呪縛から解き放たれた玉村が始めて自分の力をためす時と場所を得た。桃山の主将・川内(4)とのファイト。相手にとって不足はない。ゴングと同時にまさしく二匹のライオンが檻から解き放たれた。重量級の迫力あるパンチの交換、お互い一歩も引かぬ闘志、軽量級にも負けぬスピーディーな動き。この日のベストバウトか。玉村の強烈なストレートが、鋭いステップインと共に川内の頭を揺らす。川内のストレートをブロックする玉村。数発がブロックを突破するも微塵の揺るぎもなく、すぐ反撃のストレートを繰り出す玉村。自らの闘志を静かに丹田に落し込むかのごとく、軽くステップを踏む玉村。1R完璧に玉村が征した。川内も主将の意地がある。果敢に反撃に転じる。離れてストレート、接近してフック・アッパーが瞬時に交錯する。互いに一歩も引かぬ息をも吐かせぬ攻防が続く。僅差の判定は川内に。しかし、玉村に敗者の表情は微塵もない。自らやるべくして積み上げてきた全てを3分3Rに出し切れた。自ら手をさしのべた川内は何を語りかけたのか。全てを賭け、全てを出し尽くした2人だけが心の奥底で何かを語り合ったはずだ。

ファイナルマッチはLM、桃山は期待の重量級・濱野(2)の登場。ここは軽く相手を倒し近大戦へのチューンナップ・マッチとばかりに桃山サイドからはKO期待の声援がとぶ。KGのファイナリスとは石橋(2)、体育会本部員としても、確実にその評価を高めつつある。先の近大戦からたった2週間でどう変わったか。たかが2週間、されど2週間。「男子、3日会わざれば、刮目して見るべし」の喩えもある。「もし、4−4で最後に廻ってきたら、不細工なことでけん。勝利に向けたチームのみんなの努力を昇華させる責任がチーム戦の最重量級にはあるから」そう、先の近大戦の後、身近な知人に語ったという石橋。先の試合内容が悔しかったと。はたして、朝の計量時、確かに石橋が変わっていた。誰もが驚くほど。ミラクル・バスター、まさに、戦う本部員、石橋の、生まれ変わっての第1戦にKGチームの期待は高まる。ゴング、まさに、生まれ変わった石橋、先の近大戦とはうってかわって、自ら積極的に打って出る。かなり荒削りな石橋のプレッシャーに手を焼く濱野。整ったフォーム、スタイルの濱野有利は一目瞭然。と、思った瞬間掟破りの石橋のハードパンチが濱野の顎をとらえた。浅かったが、一瞬からだが踊る濱野。これだから重量級はわからない。慎重に攻める濱野に、一行お構いなくワイルドに攻め続ける石橋。今日はいけてるぞ、KGのガチンコファイトクラブ石橋。なんどか、パンチをヒットさせチャンスをつかみかける石橋。しかし、相手をとらえきれないままラウンドは進む。落ちつきを取り戻した濱野。一気に反撃の連打をたたみかける。残念、2R2分すぎ、ダメージは受けなっかたものの濱野の連打がまとまって石橋をとらえたところで勝負は決した。しかし、まだこれからだ石橋。真にKGの大一番、勝敗を決する場面が必ず巡ってくるぞ、石橋。そのときこそ、戦う関学体育会本部員のファイトを見せてくれ。

2−7 奇しくも、近大戦と同じスコアで大敗を喫してしまった。しかし、負け惜しみでなく、決して勝っていたとはさすがに言えないものの、ひょっとしたら4−5か5−4のスコアの可能性もあったかな。とだけは、言わせてください。 ともかく、この1年、主将一原、ヘッドコーチ新妻、主務田中を中心に、この近桃戦に挑んだKG戦士達。いつも、目立つことを嫌いながら、必ず試合会場の後ろでそっと試合を見続けてくださった辻本総監督。「救急車の3台は出動を覚悟している」が口癖の監督。「安全に試合を終えてみせる。もちろんその上で勝つために必要なことをやる」でチームをまとめ上げた主将。淡々と厳しいメニューを自ら率先してこなしながらサポートに徹したヘッドコーチ。うまくチームが戦う環境を整えてくれた主務。そして、一丸となった全選手、応援してくださった全OB・OGの皆さん。20世紀最後のこの年、新たなミレニアムの幕開けのこの年、関学ボクシング部創部70年目を迎えたこの年、関学創立111周年目のこの年、30シーズンぶりに1部で近畿大学、桃山学院大学に挑んだこの年、確かに新たな一粒の種がまかれた。70年の伝統を受け継ぎ、新たな世紀に花を咲かせるために。最後にたった一言「破れて悔いなし」いつか、リベンジしてくれ後輩達よ。決して不可能ではないはずだ。

○第3週第6日(2000.6.4/桃山学院大学)
 【1部】
    関学  ● 2−7 ○ 桃山学院大学
 LF 仙石 × RSC1R2’35 ○ 山本
 F  大浜 ○ 判定(59−58、59−58、○58−58) × 松永
 F  一原 × 判定(59−58、56−60、56−60) ○ 沖田
 B  南出 ○ 判定(59−58、59−58、59−58) × 前崎
 Fe 山本 × 判定(○58−58、57−60、58−59) ○ 金井
 L  野垣 × RSC2R2’55 ○ 三浦
 LW 中谷 × 判定(59−59○、58−59、57−60) ○ 井上
 W 玉村 × 判定(57−59、57−60、57−60) ○ 川内
 LM 石橋 × RSC2R2’07 ○ 濱野

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関西学生リーグ戦 第3週 第5日                           
  Bチーム、グループAを全勝で突破ライバル 大阪大学Bに完勝!
      


本年度3部は前3週を1stステージとして、A・B2つのブロックのリーグ戦として、後半2週を2ndステージとして、上位2チームづつでのファイナル・トーナメント戦として開催している。KGはBチームを送り込み、1stステージ、阪大・京大・神学とブロックAで覇を競っている。既に2連勝しているものの、最終日難敵・ライバル阪大のBチームに勝ち全勝で2ndステージに進出したい、選手の全員が、堅く心に刻んでの1戦となる。

なお、この試合から、KGはユニフォームのトランクスにNEW・KGシンボル、校歌「空の翼」で歌われている「風・光・力」をシンボライズした3つの首をもつ真っ白なペガサスのワッペンを装着してのファイトとなった。風=スピード、光=ファイティングスピリット、そして力=(まさしく)パワー、この3要素のハーモライズをチーム・スタイルとして確立した、我がKG・BOXINGチームにふさわしいマークは、本年関西学院が創立111周年を迎えたことを記念して作られたものだ。

必勝を期すKGはニューフェース岩村(1)を送り出した。高等部出身の彼は、高校時代森岡ジムでアマチュアボクシングを学んではいたものの、2戦2敗とおもうような戦績を出せず、一時はボクシングを断念しかけた。しかし、大学の入学式を終えると共に、何かに魅入られたかのごとく、KGのジムのドアを開けた。まさしくKGスピリチュアルが導いたその場は、自らをもう一度奮い立たせるに充分な熱気に満ちあふれていた。しかし、入部当時、まだまだ不完全な状態に、当初、秋からの試合出場を計画したが、自ら志願しこのリーグ戦への出場の道を選んだ。はたして、そのフロンティアスピリットがリングで爆発するか?!しかしこの日の相手が悪い、阪大は薄井(4)、実は先週、2部で近大Bで出場した寺越にスプリットの判定で負けた実力の持ち主。誰もが早いタイムでのストップを予測した。開始早々、積極的に攻めに出る薄井、早々良いコンビネーションをもらいまずい展開。だが、10人を越える1年生パワーの応援が奇跡の扉を開かせた。サウスポーながらパワフルに前へでる岩村。練習で山ほど撃ち続けたリードのストレートを出す。もう一度、もう一度。単発ながら確実に薄井の顔面をヒットしだした。やがて、互角の撃ち合いが繰り広げられるリング。3R、ついに岩村の連打が爆発した。完璧に薄井をとらえた岩村。しかし、時既に遅く、判定は薄井の手が上がった。しかし、KGフライ級にまた新たなレジェンドの予感。折寄(2)・岩村(1)の常に先頭を背負う宿命を負う高等部フライ級コンビから、もう目が離せない。 岩村のナイスファイトで火がついたのは眠れる天才・岡(4)。

Bで登場。しっかりとした基本を身につける阪大・宮川(2)にどんなファイトを挑むか。しかし、この日の岡は前回の京大戦とはうってかわって、宮川以上にセオリーを守った攻撃。素早いジャブの連打からワン・ツーで追う、岡。連打で、とらえきれないものの確実に相手を追いつめていく、岡。勝敗の行くへは3R勝負となった。前回と打って変わって、やさしいセコンドに自ら「気合いを入れて下さい、パンチを入れてください」と申し出る、岡。突然、ヘッドギアーの見舞われた数発のメガトンパンチ。ついに天才が目を覚ますときが来た。前へ出ながら、相手のパンチを髪一重のヘッドスリップで交わしコンビネーションブローを矢継ぎ早にたたき込む岡。最後は完璧に相手を追いつめて勝利をものにした岡。もうだれも岡を眠れる天才とは呼ばない。

1−1のタイスコアでFeに回った。阪大・武田(2)はスタイリッシュに長い伸びのあるストレートを容赦なくたたき込んでくる。対するKGは瀬辺(4)、どちらかといえば近い間合いでのファイトが得意なだけに分が悪い。案の定、瀬辺の猛ダッシュをストレートで迎え撃つ武田。しかし、瀬辺の気迫に下がり気味。武田のパンチに一切かまわず、着実にパンチを繰り出す瀬辺。得意のボデーブローが決まりだし流れは完全に瀬辺に。しかし、阪大セコンドの指示で3R武田が変わった。瀬辺にも勝る気迫で下がらぬ武田。互いに一歩も譲らないグローブの交換が延々と続く。どちらかといえばカッコよくて天才肌の武田、対する瀬辺は、決して恵まれたタレントではないが、ただただ人並み以上の陰の努力ではい上がってきたナイスガイ。みかけも、あいくるしいルックス。見るものみんなを瀬辺ワールドにいつしか誘い込んだ。判定はスプリットで瀬辺に。まさしく、勝利のみを信じ4年間積み上げてきた汗と涙の決勝ともいえるBIGな1勝であった。

一気に勝負を決めたいKGは今リーグ戦、2連勝と波に乗る峯松(3)に勝負を託した。阪大は岩佐(2)、先週、京大との期待のルーキー対決で、超ハードヒッター白濱の強打を堅いガードで守り抜き、後半基本に徹したストレートで攻め落とし、こちらも波にのる。ノリノリ対決だけに予断を許さない一戦である。しかし、リングの呪縛霊を振り払い、自らゴリランファイターからゴールデンボーイへの脱皮を宣言する峯松、この試合内容に3年間のボクシング人生を賭ける。ゴングと同時に信じられない光景を目にした。まさしくトランクスに今日始めて縫いつけられたペガサスのように、スピーディーに、パワフルに、凄まじいばかりのファイティングスピリットで襲いかかる峯松。本家ゴールデンボーイ・デラホーヤも真っ青のボクシング、素早いロングのリードのストレートから、一気にストレートを貴重とするコンビネーションブローを上下に叩き込む。岩佐の鋼鉄のガードをものともせず、自ら勝利の扉をこじ開けるまで、魂の雄叫びをぶち込むかのごとき怒濤のラッシュ。レフエリーのカウントが岩佐に加えられる。一気に勝負を賭けた峯松、1R1’24、タオルが投入され、KG3連勝が決まった。しかし、峯松の目はさらに未来にむけて何かを見つめている。「まだまだ、やらなあかんこと、いっぱいありますわぁ」KGのゴールデンボーイは、明日のGTのさらに向こうに自らのGTレースを見つけたに違いない。

ラスト、アンカーのLWには、ミラクル・ドリーマー藤原(4)の登場。対する阪大・梅田(2)、実はこの春からバリバリ売り出し中の選手。長身でハーンズばりのリードブローからフック、アッパーを繰り出し、対戦相手を、マットに沈める、まさしく阪大のヒットマン。先週の近大Bとの一戦で、長洞からダウンを奪い、スプリットで判定を落としたところ。藤原の連勝街道もこれでストップか。しかし、ミラクル、こんな藤原見たこと無い。かっこよすぎる。サウスポーの鉄則、相手の外を常に獲りながら、一瞬の切り替えで前へ踏み込み連打を叩き込みプレッシャーをかけ続ける。強烈な梅田のフック、アッパーも鋼鉄のディフェンスで完璧に封じ込める。着実に試合をリードしていく藤原。闘志衰えない梅田ではあったが、3Rついに奇跡がおこった。ついに藤原のパンチが完璧に梅田にヒット、レフェリーはカウント。まだまだこれからとばかりに反撃に転じようとした梅田に、さらに、藤原のパンチがヒット。ここでレフェリーは試合をとめた。藤原の激勝で、スコアー的には4−1で阪大に勝ち、グループAを全勝で乗り切り、さ、いよいよこれから正念場のファイナル・トーナメントへと駒を進める。

○第3週5日(2000.6.3/桃山学院大学)
 【3部】
   関学B ○ 4−1 ● 大阪大学B
 F  岩村 × 判定(57−60、57−60、58−59) ○ 薄井
 B  岡  ○ 判定(59−58、59−58、59−58) × 宮川
 Fe 瀬辺 ○ 判定(58−57、58−59、60−56) × 武田
 L  峯松 ○ 棄権1R1’24 × 岩佐
 LW 藤原 ○ RSC3R2’12 × 梅田



関西学生リーグ戦 第2週 Bチーム好調 神戸学院を撃破!           

リーグ戦第2週は、Bチームのみの登場。しかし、早朝より全員が集合し、戦いの場・桃山学院大学体育館に乗り込む。対戦相手は兵庫の宿敵神戸学院大学、全員思い切りの良いスイング(ここではあえてフックとは言わないでおこう)で、めいっぱい前へ出てくる。ある意味では、近・桃よりやりにくい相手。1発必倒軍団神学とのこの対戦、ある意味では現在のKGスタンダードの試金石ともとらえられる。 KG軍団はF・Bにフレッシュピチピチ2年生コンビ「折寄、今中」を、つづくFe・Lに、次代を背負う知性と野性の好対照3年生コンビ「塚原、峯松」を、せして最後のLWには頼れる兄貴「藤原」を配する、背水の陣容で臨む。

Fは先週、京大の天才カウンターパンチャー柴田に、納得のいかない棄権負けを喫した折寄の登場。対する神学・西村(2)も同学年のライバル。共に負けることができない1戦。案の定、西村はゴングと同時にガンガン強振してきた。折寄は、きっちりとグローブを顎につけてリードをついて前へ前へのKGスタンダード戦法。おたがいに好対照の戦法の対戦。しかし、今日のすべての対決がこの組合せになることが予想されるだけに、折寄の負け=KGの負けを予想させる。それだけに全員一丸となって声援を送る。やはり、先にダメージを受けたのは折寄、スイングは正面のがードには分が悪い。しかし同時に、ストレートはスイングに分がいい。かくして、スイングVSガードandストレートの我慢比べとなった。しかし、この日の折寄、先週にもまして鬼気迫る、気迫があった。なんとしても勝つんだ。3R、その気迫がついに爆発した、確実なリードのストレートから連打がつながりだした。さしもの西村もついに力つき、スイングを打つ手がホールディングに変わってきた。結果、西村がたまらず失格負けを宣せられる。折寄にとっては、RSC勝ちと同じ価値のあるリーグ戦初白星といえる。この初白星を誰かに捧げるがごとく、誇らしげにリングを降りる折寄。この熱いKGバーニング・ハートは今中のハートにも火をつけた。

Bは理学部が産んだ貴公子・今中(2)の登場、大浜サウスポーファイティングの継承者として満を持してのリング。対する、神学は2年ながら、浪速高校で南出と共に汗を流した田中(2)の登場。経験者としてのプライドに加え、この春は再三KGにも練習にくるほどボクシングへの情熱は熱い。しかし、今中も負けられない。サウスポーとしての宿命、相手のライトクロスに涙した悪しき記憶を腐食せねばならない。開始から今中、相手の外をうまくとり右を巧みに操り、ゲームプラン通りに試合をすすめる。前へ出ようとする田中をうまくいなして左ストレートから連打につなげていく。戦前の予想では、田中に一日の利があると見られたが、「いける」KGの誰もがそう思った瞬間悪夢が今中を襲った。渾身の左が田中の顎を襲ったと思った刹那、「うわっ」鋭い悲鳴が会場に木霊した。何が起こったのか、一瞬の静寂、なんと、今中の左肩が脱臼した。その激痛は経験者にしかわかるまい。しかし、ここでゲームを捨てることは出来ない。レフェリーの非情のカウントとマッチレースで賢明に肩を入れる今中。8カウントでなんとか肩がはまった。「まだやれる」無言のアピールにボックスの声がかかった。右手一本で、しかも、左肩の激痛に耐えながらの苦行の始まりだ。1R終了で棄権か。しかし、今中を信じ、送り出すセコンド。どんなやりとりがあったのか、大きなハンデーを感じさせぬ今中のファイト。これで左さえ使えれば、しかし、それは言うまい。3Rまでゲームはもつれ込んだ。傷ついた虎をしとめるがごときハンターの非情さで襲いかかる田中。その猛攻に、ついに今中の刀は折れ矢は尽きた。そう判断した瞬間、躊躇無くタオルが投入された。「この敗北こそ、関学幸福の理論の構図そのままだ」泣くな今中、この悔しさを心に刻みつけてこそKG戦士だ。

1対1でゲームはFe、戦う心理学者・塚原(3)に託された。神学は努力の人大山(3)、主将としての宿命を背負っての登場となる。いつになくワイルドに襲いかかる大山、かなりハードなパンチが塚原にヒットする。しかし、いっこう慌てず、冷静にサウスポースタイルから自ら定めたジョブをひたすら遂行する塚原、まさにその風貌は戦う心理学者。試合はやや、大山が押し気味にすすめるも冷静に状況と相手の心理を冷徹に分析する塚原。大山の攻撃の間隙をつきストレートを突き抜く。もう1発、さらにもう1発。単調ではあるが確実に塚原のストレートが大山をとらえた。ダメージとスタミナ切れからか、相手にもたれかかりなんとか切り抜けようとする大山。もうこれまでか、しかしそこからの大山が今日はねばった。やはり主将としての十字架はそれほど重いのか。試合は3Rまで持ち込まれた。必至にスイングする大山、冷静にストレートをつく塚原、勝敗は微妙な判定に持ち込まれた。勝者は塚原。この春シーズン3連勝目、絶好調の塚原におごりはなかった。既にリングを降りるときには今日の試合の自己分析を終えていた。「なにが良くて何がだめだったか、次に何をすべきか、わかりました。それをやるだけですよね。」冷静に語る塚原、まさに戦う心理学者の姿がそこにはあった。

2−1で迎えたLは、既にリーグ戦初白星を先週上げている峯松(3)。京大・北尾へのリベンジを果たし、新たな第一歩を今日の一戦に賭けての登場。しかし神学・藤井(2)も期待の選手だけに予断は許されない。幾分スタイリッシュさでは藤井が上回っていた。開始早々から、パンチの効いたストレート、スイングを、峯松のガードをものともせず、ガンガン打ってくる。しかし、峯松、いっこう動じることなく、堅いガードでブロックしながらじりじり前はでる。遅まきながら、確実に接近戦から上下にパンチを繰り出す峯松。徐々に、藤井のスタミナを奪っていく。ラウンドが進むにつれ、尻上がりに調子をあげる峯松、ついには巧みなスッテップワークで、接近戦から左右にシフトして連打を浴びせていく猛攻。たまらず、藤井、ダウンはしないものの、上体を2つにおり、ハードなクリンチで必至に峯松の猛攻に耐える。この攻防、レフェリーは藤井に減点の指示。3Rなんとかカウントをとって試合を終わらせたい峯松であったが、減点を繰り返した藤井に失格が宣せられた。KG−Bチームの連勝が決まった瞬間であった。しかし、峯松、今日の一勝もあくまで、通過点に過ぎない。この、インターネットレポートで、「むちゃくちゃ書かれてますやん、W坂本先輩のあとついで、ゴリラン・ファイターはないは」の抗議の声ヲ上げる。峯松はあくまで、KGのデラホーヤを目指している(らしい)。わかった峯松、何も言うな、今日からお前はKGのゴールデン・ボーイと呼ぼう。

LWは奇跡のカムバックを果たした、藤原(4)の登場。神学もB田中同様、練習量豊富な中村(4)登場。この春、田中君達とKGの春合宿に参加しているだけに、その実力は熟知している。「藤原不利」は口には出さないものの誰もが頭にあった。サウスポー藤原は、同じくサウスポー中村から、基本通り左右のストレートでカウンターを獲っていく。中村も一歩も引かず、藤原のストレートをものともせず前へでて思い切りの良い左右フックで応戦。幾分中村リードしてラウンドは3Rにもつれ込む。しかし、ここに来て、KGの豊富な練習量と、奇跡の復活に賭けた藤原の熱いKGスピリットが爆発した。あえて、中村有利と思われた足を止めての撃ち合いを挑む藤原。見るものの息を吐かせぬ攻防が続く。が、最後のギリギリで差が出た。堪えきれずマウスピースを吐いてしまった中村。たたみかける藤原。結果、3度吐いてしまった中村に失格が宣せられた。藤原の激勝で幕は下ろされた。まさしく奇跡を夢見、ひたむきにカムバックした藤原、まさしくKGのミラクル・ドリーマー藤原だ。試合後、セコンドに近づき、手をさしのべ「ありがとうございました」と悪びれることなく笑顔で感謝の握手をした中村に惜しみない拍手が送られた。同じ兵庫県勢、何度と無く、共に汗し、リングで覇を競い合うライバルがいてこそお互い進歩があることをあらためて実感した。藤原の勝利で4−1で神学を切って落としたKG戦士達。さぁ、リーグ戦本番はこれからだ。

○第2週3日(2000.5.27/桃山学院大学)
 【3部】
   関学B ○ 5−0 ● 神戸学院大学
   *神戸学院大学点呼時、遅刻のため対戦は5−0とする
 F  折寄 ○ 失格3R1’16 × 西村
 B  今中 × 棄権3R1’24 ○ 田中
 Fe 塚原 ○ 判定(60−59、59−57、○59−59) × 大山
 L  峯松 ○ 失格3R0’23 × 藤井
 LW 藤原 ○ 失格3R2’24 × 中村




平成12年度 関西学生リーグ戦 開幕!                      
     30シーズンぶりの1部のリング、近畿大学との互角の熱闘!!
    


いよいよリーグ戦の開幕!今年は、1部(9人対抗)と3部(5人対抗)に2チームを送り込んでのまさに総力戦となる。全員参加で迎えたこの開幕にすべてを賭ける。

宿敵 京都大学に競り勝つ!
3部は初戦、ライバルの京大との1戦。4年生の柴田・三宮・北尾は強豪トリオ、この牙城を崩すのは、ただごとではない。
そして、30シーズンぶりの1部のリングは、まさしく誰もが認める関西無敵の強豪・近畿大学。今年は、Bチームではない、まさしく近大。多くの関係者は、「過去2年、いくらBチームに1勝1敗とはいっても、無茶じゃないの」が大方の予想。 しかし、真剣に、奇跡を信じる人間が最低2人いた。主将一原、監督宮脇だ。(最低とあえて言っておく。)
かくして、熱い2日間が始まった。

折寄 善戦むなし・・・ 天才・柴田のカウンターに屈す!
初日、第1試合、いきなり、「関学B−京都大」の1戦だ。
トップは2年のダイナマイトボーイ折寄、対するは、京大の絶対のポイントゲッター、天才カウンターパンチャーの名をほしいままにする柴田(4)の対戦。誰もが、1R早々のカウンターによる、柴田のKOを予想する。ゴングと同時に、ひたすらリードのストレートを撃ち続ける折寄、このひたむきさが、天才のジャイロスコープを狂わせたか。柴田にカウンターを打つ隙を与えない。1Rは五分で終える。予想以上の善戦、折寄。2Rも、勇猛果敢に打って出る。しかし、柴田にも、プライドがある。このまま終わらせるわけにはいかない。果敢に反撃に出る。互いに、のびのあるストレートの交換が続いたが、善戦むなしくここでキャリアの差がでた。的確にカウンターをヒットさせる柴田。ダメージは深くないものの、的確なヒットに、レフエリーは無情のカウントを入れる。2回目のカウントを聞かされたところで棄権のタオル投入。しかし、戦前の予想を覆す善戦に、既にKG戦士たちの血がたぎり始めた。

眠れる天才・岡 まだまだ不満な内容ながら KG初白星を挙げる!
2番手はB岡(4)、相手はデビュー戦とあって楽勝が予想された。しかし、思わぬ展開に。阪大・京大・関学に共通する基本の徹底。これをまさしく実践したのは京大藤堂(2)、言い過ぎかもしれないが、対する岡は不要なテクニックのオンパレード、完全にペースは藤堂、1R予想外にラウンドを落とした。これにはセコンド宮脇が切れた。1年に1回あるかないかの叱責パンチがコーナーの岡に見舞われた。「お前は何しにリングにあがっとんじゃ、練習すんやったら、今すぐリングを降りろ。」この、マジ切れ、はたして、吉と出るか凶と出るか、ハラハラのゴング。生まれ変わった岡、そこには1Rの姿はなかった。早いリードからのフォローパンチ。完璧ポイントを重ねる。終わってみれば判定勝ち、しかし、眠れる天才・岡の実力はまだまだ、こんなものではない。目覚めろ、眠れる天才・岡、時間は無いぞ。

隠れアイドル?瀬辺 京の都の暴れん坊退治!
続くは、岡とは好対照、コツコツ地道な努力を積み重ねてきた、隠れたアイドル?瀬辺の登場。実は、その愛くるしいルックスで、なかなかの人気者瀬辺。KG戦士一、大阪の学生のハートをキャッチするナイスガイ。しかし、この日ばかりは相手が悪い、京の都の暴れん坊、無情のキックボクサー・三宮(4)が相手では分が悪い。案の定、ゴングと同時に傍若無人にパンチを振りかざす三宮、今日は特にアッパーを多用する。しかし、一歩も引かず堅いガードで前へ前へと前進し、基本のストレートで攻める瀬辺。両者一歩も引かない接近戦での撃ち合いが続く。完璧にブロックしショートで返す瀬辺か、ガードの上から打ちまくる三宮か?判定に持ち込まれた、この一戦の判定は、残念ながら三宮の手が上がった。しかし、このファイトは続くKG戦士の荒ぶる魂に火を付けた。

リベンジに燃える峯松 金色のオオカミをぶっつぶす!
1−2で迎えたL級、もう負けられないKGは峯松がリングに上がる。当初、近大戦メンバーだったが、自ら志願しての京大戦参戦、というのも、峯松にとってはこの一戦避けられない試合である。というのも、昨年の11月3日、関京戦、京大の金色の浪・北尾(4)の狙い澄ましたカウンターでリングに這わされテンゴングを聞かされたからだ。その日から、今日の来る日をひたすら思い練習を重ねた峯松。リベンジへの熱い想いと、カウンターでマットに沈んだトラウマ、はたして、リングで借りは返せるか。ゴングと同時に打ちまくる峯松。やや気負いすぎか?北尾にも負けられないプライドがある。見かけの金髪ヘアーとは裏腹に、4年間、地道に努力を続けるその姿は、見るものを北尾ワールドに誘い込む。しかし、この日は、トラウマを払拭しリベンジ魂たぎる峯松の気迫が上だった。まだまだ物足りなさは残ったものの、確実にパンチを重ねた峯松が判定をものにした。リングの呪縛霊をみごと追い払った峯松の今後に期待したい。

奇跡の復活 藤原、努力が産んだ激勝! 宿敵京大を下す  
タイスコアで迎えたアンカー勝負、絶対負けられないKG戦士の期待を一気に受けて登場は藤原(4)だ。実は、この藤原、2月始めに片足を骨折し、3月のシーズンインにはギブスに松葉つえで部室に現れた。就職活動も控え、到底、リーグ戦には間に合わないから、今日で引退を告げに来たと思ったチームメートを奮い立たせたこの一言「俺も、近大戦に出る!」その日から1ヶ月、タイムを読みながら、ひたすら動かせる部分のリハビリを黙々と続ける藤原。そこにはあの痛さはどこにもなかった。しかし、対する京大も期待のルーキー高橋(2)、相当に強いの前評判、スパーリングも充分こなせなかった藤原には正直荷は重かった・・しかし、ゴングと同時にその思いは杞憂に終わった。出だしこそ慎重だったが、ラウンドを重ねるにつけ、確実にポイントを重ねる藤原、サウスポーから繰り出される左ストレートが、カウンターでおもしろいように決まった。終わってみれば、完勝。みごと、チームを勝利に導いた。

Bチームで京大に勝てるか。近大戦以上のプレッシャーをはねのけた5人のKG戦士の熱いファイトが生み出した、KG戦士としてのプライドの炎は、翌日の近大戦に臨む9人のKG戦士達の心にバトンタッチされた。

○第1週初日(2000.5.20/桃山学院大学)
 【3部】
   関学B ○ 3−2 ● 京都大学
 F 折寄 × 棄権2R1’52 ○ 柴田
 B 岡  ○ 判定(59−58、58−59、59−58) × 藤堂
 Fe 瀬辺 × 判定(59−58、57−60、56−60) ○ 三宮
 L  峯松 ○ 判定(○59−59、60−57、59−58)× 北尾
 LW 藤原 ○ 判定(59−57、59−58、60−57)× 高橋

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真っ向勝負 王者 近畿大学に30シーズンぶりのチャレンジ!
かくして運命の朝がおとずれた。30シーズンぶりに挑む、関西の王者・近畿大学。
話は昨年の8月の暑い日にさかのぼる。「一原、いっちょやってみいひんか?」監督の突然の問いかけに「え?何をですか?」と一原。「近・桃チャレンジや。レギュラーの近・桃に挑戦するんや、どう思う?」
「・・・」しばし、無言で宙をみつめ、木訥とした言葉が一原の口から発せられた。「やりましょう!近・桃のBチーム相手に過去2年3勝1敗、これで今年もBとやるのは失礼ですよね。うん、やりましょう、ただリングに立つのでわなく勝つために!」
この瞬間、すべてが始まった。 これまでの練習を一新し、「まず安全で、そして基本をあらためて見つめ直したボクシング」を身につけるためのチャレンジャー・ロードがスタートした。時に、これで良いのか悩みながら、時に、経験したことのない恐怖感に襲われながら、そして、時に今までに感じたことがない胸の熱さを感じながら。しかし、必ずしも順調といえない結果の積み重ねに耐え、この日のリングをただ思い、走り抜けてきた日々。リングに上がる9人だけでなく、全員が、マネージャー含め、あえて無謀とささやかれた奇跡にチャレンジするときが、今やってきた。 ただ、厚い胸の中に「KG戦士としてのプライド」をもち、今日までやってきた自分を信じて。

試合前、選手が並ぶ。壮観な眺めだ、近大とリングで向かい合うKG戦士達、何かが起こってしまうのか、それとも何かがおこるのか?運命のゴングが鳴った!

ルーキー・仙石 近畿大学から殊勲の初白星をもぎ取る!
トップのLFはルーキーの仙石(1)だ。対する相手は、近大も期待のルーキー、サウスポー堂園(1)だ。お互い大学デビュー戦とあってぎこちない動きでスタートした。そんな中、先に動いたのは仙石だ。3月からひたすらやったリードのストレートを賢明に打ち続ける。1Rほとんど差はなかった。「今まで、こんなに真剣に試合に向けて練習したことはなかった」そう試合後語った仙石の動きが2R後半からかわった。リードに続くストレートが出だした。何もできずにプレッシャーにさがる堂園。容赦ない仙石の攻撃が続く。判定に持ち込まれた、「青コーナー仙石君関西学院大学」のコール。記念すべき近大戦初白星をものにした。何かが起こるかも・・・が、何かを起こすんだに変わった瞬間だった。

天才・大浜 不覚の一敗! 近大努力の人、寺越に惜敗!
まだまだ余裕のあった近大が真剣に変わりだしたのは、第2試合だった。F一番手は、理学部が生んだ天才サウスポー大浜(4)、ゴングと同時に着実にポイントを重ねていく大浜。対するは近大随一の練習量を誇る寺越(4)。1R終わったとき、近大の雰囲気が変わった。このままずるずるポイントをとられては、「まさかの・・・」その近大サイドの思いが寺越のグローブに乗り移った。一瞬の隙をつくフラッシュパンチが大浜の顎を捉えた。大浜あわやリング生活初のダウン?しかしなんとか踏みとどまり打ち返す。両者、一歩も引かない打撃戦が、堂々リング中央で延々と繰り広げられる。もう、関学を格下のチームと誰も見ていない。運命の判定は・・・「赤コーナー寺越君近畿大学」何ともいえないムードが場内を包み込んだ。この先どうなるのか・・・

主将・一原 涙の勝利!奇跡へのワンポイントをもぎ取る!
激闘の興奮は、続くF2番手、主将一原(4)対興梠(3)の一戦につながった。一気に突き放したい近大の声援に送り出され、華麗なコンビネーションを繰り出す興梠。対する一原は、がっちりガードを堅め、相手の猛攻をブロックし前へ前へ。まさしくこの近大戦への切符を買った責任を一心に背負っての気力のファイト。練習量で勝る一原のスタミナが、興梠の歯車を徐々に狂わし始めた。勝敗は3Rの攻防次第、最後のラウンドに勝負を賭けた一原、ストレートから連打でつなぐ。ついに興梠を何度もとらえた。文句の無い判定勝ちで再び1ポイントをリードする関学。一原勝利の瞬間、初めて全員が一つになった。今までに感じ得なかった高揚感。主務の田中の目にも自然と涙があふれ出る。一方、誰もが予想しなかった苦渋にゆがむ近大の姿。そこにはもう遊びはない、なんとしても関学をねじ伏せるんだという王者の意地と、奇跡を起こすことを夢見、このリングに立つKG戦士のチャレンジスピリットの激突。会場全体が「近桃戦」とはまったく異なる興奮の中に引き込まれていった。

ファイター・南出 強豪谷崎とバンタム最強対決!
この日一番の好勝負が期待されるBは、近大は関西無敗の強豪谷崎(2)、対するは南出(3)。この日の一戦に向け今までになく順調に仕上げてきた南出にKGは近大を追い込む3勝目を期待する。グローブを下げ、フットワークをくしして、相手を近ずけないサウスポー谷崎。なんとか追い込もうとする南出。ロープ際まで下げ、さぁここからと、撃ちにかかる南出を巧みなリングワークでふりほどきカウンターを打ちかえす谷崎。なかなかグローブの交換がないまま時間だけが経過する。谷崎のこのペースを崩せず、かみ合わないスタイルにいらつく南出。双方、目立ったヒットがはとんど無いまま試合終了のゴングは無情にも鳴った。コールは谷崎に。南出にとっては空しさだけが残った1戦といえた。しかし、相手のいるリング、勝者があれば必ず敗者がいる。この1戦が、南出にとって後に意味ある1戦となることだろう。しかし、まだまだスコアーは2−2のタイ。負けの2つも、微妙な差、まさしく近大と互角にリングで組み合うKG戦士の姿を、会場の誰が予測しただろうか。

火の玉ボーイ・山本 真っ向勝負でKG魂を爆発!
Feは山本(4)の登場。1週間前のミーティングで、不安が勝つ雰囲気の中で、山本は堂々と言い放った。「打倒近大、真っ向勝負で勝つ!」この一言がチームをかえた。KGのリングサイドからは「真っ向勝負、山本」の声援。このエールに自信に満ちた笑顔で応えリングに飛び出す山本。近大は期待のルーキー金(1)、先輩からの「なんとしても勝て」の厳命に、ゴングと同時に一発必倒、強振のフックを打ちまくる、打ちまくる。しかしひるまず、堅いガードで、前へ前へとプレッシャーをかける山本、まさに真っ向勝負。得意のショートパンチで迎撃する。一進一退の打撃戦が繰り広げられる。3R、金の強打が山本の顔面を捉え、レフェリーのカウントが入る。しかし、落ち着き払い、青コーナーに目をやり「俺は、まだまだ大丈夫、真っ向勝負で相手をぶったおす!」とばかりにニヤリと笑った。ボックスとともにさらに激しく猛攻を仕掛ける山本、これに応える金。運命のゴングが鳴った。判定は・・・「赤コーナー・・・」山本が天を仰ぎ思わず声を上げ無念さを爆発させた。微差での判定、会場が両者の激闘に敵味方関係なく拍手を送る。青コーナーに歩を進め深々と頭を下げる勝者金に惜しみない拍手をおくるKGコーナーサイド。しかしそれ以上に大きな拍手がリングを降りる山本に送られた。見事真っ向勝負をやり遂げた山本には次の真っ向勝負が、既に目の前にある。

戦うジャーナリスト・野垣 チャレンジスピリットで限界を目指す!
2−3とここで始めて近大がリードした。一気に決めたい近大のLは全日本のトップランカー安東(3)。対するはKGは、戦うジャーナリスト野垣(4)の登場。野垣は1年時、一度入部するも、ジャーナリストへの夢断ちがたく、「KGスポーツ(体育会編集部)」に転部する。しかし、様々なスポーツの取材活動の中で、自らの限界に挑戦する多くの学生の姿に熱いハートが触発され、自らの限界に挑むべく出戻り入部のハンデーを克服してのこの日のリング。キャリアの差をいかに乗り越えるか、ともかく気持ちだけは負けない気迫でのファイトとなった。幾分硬さがのこる野垣に対して、安東は最高の仕上がり、スナップの効いたストレートをビュンビュン打ってくる。堅いガードでダメージは受けてないがペースは完全に安東のもの。だが勇猛果敢に自らの限界に挑む野垣。1R終了間ぎは、安東のカウンターが野垣の動きを止めた瞬間、レフェリーのカウントが入る。まだまだこれから、気迫衰えぬ野垣だが、再度カウントをきき勝負は終わった。ようやくこの日始めて余裕を見せた近大サイド。しかし、野垣のチャレンジスピリットを目の当たりにしたKG戦士の意気は一行衰えない。

KGのヒットマン・中谷 無念、僅差の判定にKG金星の夢 霧散!
勝利へのリーチを迎え、マジにヒートアップする近大、LWは西村(3)。たいするKGは長身の西村のさらに上をいくルーキー中谷(1)に逆転の夢を託す。1年の浪人のブランクがまだまだ埋まりきらないが、なんとしても勝利をものにする気合いで挑む。180cmを軽く越える中谷の雄姿に一瞬息をのむ場内。はたして何がおこるのか。かくして後のないKGにとって、試練のゴングがなった。中谷はひたすら長いリーチを生かしたストレートを繰り出し前へ前へ、西村は足をつかい、スエーバックを駆使して、クリーンヒットを避ける。手数で圧倒するものの、捉えきれない中谷。しかし、目立ったヒットも許さない。いいしれぬ緊張感の中で時間だけがどんどん経過する。お互いに決定打がないまま試合終了のゴング。どちらの手が上がってもおかしくない。息をのむ場内・・・コールは、KGにとって無情の赤コーナー。残念、KG30シーズンぶりのチャレンジは金星を逃す結果となった。しかし、中谷は胸を張ってリングを降りてきた。「まだ2つあるぞ」セコンドに入っていた監督の叱咤がコーナーサイドにいるKGチームにとぶ。キャプテン一原を中心に再び燃え上がった勝利への執念の炎。

悩める巨人・玉村 高校チャンプ相手に一歩も引かぬ激闘! もう悩みは無い
Wに登場は悩める巨人・玉村(4)。今日の相手は高校チャンプの阪口(1)、近大サイドからは、勝利を手にした余裕と、阪口に対する信頼から「秒殺、秒殺」のコール。確かな情報筋の話では、事実、この春近大で一番調子がいいのは間違いなく阪口とのこと。しかし、この日の玉村がリングに上がる表情は、妙に晴れやかであった。悩みを払拭した巨人が始めて真の玉村ファイトを見せるか?開始そうそう、強烈なパンチが玉村を捉えた「やった」「あかん」の言葉が終わるか終わらない間に奇跡が起こった。前のめりに倒れるかに見えた玉村が大きく前に飛び出し、パンチを逆に阪口に叩きつけた。真のビッグファイトはここから始まった。顔にボデーに、凄まじいパンチの連打を振るい続ける阪口。誰もが無惨な玉村の姿を予測した。しかし、一行にぐらつかない玉村。ぶれない頭。そして堅いガードで前へ。ブロックから直ぐさま打ち返す。徐々に試合は一進一退、重量級の見応えばっちりのスリリングな攻防が続く。2Rにはいてもいっこうに衰える気配を見せぬ両者。ポイントでは阪口が上回るものの、気迫は玉村。真っ向勝負の荒ブル魂の叫びがリングで共鳴しあう。3R凄まじい、阪口のボデーへのスイングが数発連続でヒット。玉村微動だにしないものの、レフェリーのカウントが入る。その瞬間セコンドを見る玉村、目があった瞬間、深く1回2回と頷く。その表情は今までに見たことがないほど澄み切った晴れやかな表情だ。ボックスと共に再び飛びかかる玉村。再度、ボデェーに強打がヒット、レフエリーのカウントが入る。そして試合をうち切るレフェリーのコール。永久に続くのかとさえ感じた試合に終止符が打たれた。「はじめて、やっと、少しだけやけど、ボクシングがわかった気がします」リングを降りた玉村が澄みきった表情で語った。

KGのガチンコ・ファイトクラブ石橋 明日は、お前のためにある!
さぁ、ラストはLMの対決。KGは石橋(2)、近大は主将の大原(4)。すでに勝敗は決したが、今日のリングに臨む姿を知っているKGチームは、最後の力を振り絞って石橋に声援を送る。必ずしも充分な態勢ではなかったが、あえて選んだ近大とのファイト。まさしくKGガチンコ・ファイトクラブ。渾身の力を振り絞りストレートを振り抜く石橋。何度か大原の顎を捕らえるも、やはり、現時点での実力差はいかんともしがたく、1R終了間際、審判の試合をストップするコール。石橋にとっては次につながる1戦になったことは間違いない。

こうして、終わってみれば、2−7の大差で近大の軍門に降ってしまった。しかし、負け惜しみでなく、KG軍団には敗者の雰囲気は微塵もなかった。自分たちが敢えて選んだこの近大戦、練習の積み重ねがようやくこの日実を結んだ充実感。勝負の世界、敗者には何も無い。しかし、この日の敗北だけは例外だ。大浜が「関学ボクシング部70年の歴史が育んだ種を、僕たちは確かに蒔きましたよね」と、試合後語った。まさしく20世紀最後のこの瞬間、21世紀に向け種は確かに蒔かれた。 一原が叫んだ。「これで満足するのはまだはやい、Bは3部優勝めざし、また1部準優勝のためもう一番、全員で気分刷新してやるぞ」すでに、次のドラマへの幕は切って落とされた。

○第1週第2日(2000.5.21/桃山学院大学)
 【1部】
    関学  ● 2−7 ○ 近畿大学
 LF 仙石 ○ 判定(60−55、59−57、59−57) × 堂園
 F  大浜 × 判定(58−59、60−57、57−60) ○ 寺越
 F  一原 ○ 判定(○59−59、59−58、○59−59) × 興梠
 B  南出 × 判定(58−58○、58−60、59−60) ○ 谷崎
 Fe 山本 × 判定(57−60、58−59、57−60) ○ 金
 L  野垣 × RSC1R2’57 ○ 安東
 LW 中谷 × 判定(60−57、58−59、58−59) ○ 西村
 W 玉村 × RSC3R1’21 ○ 坂口
 LM 石橋 × RSC1R2’59 ○ 大原



GWの恒例 第42回 神戸市民大会 開催!  
                   


詳細は近日中に・・・・・
KGボクシングファンの皆様お許し下さい・・・
(2000.5.9)
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◎第42回神戸市民体育大会第14回神戸市アマチュアボクシング大会
(2000.5.3/神戸グリーンアリーナサブアリーナ)
 W 中谷(商1) × 判定(57−60,56−59,57−60) ○ 中島(西宮西高)
 F 仙石(文1) ○ 棄権1R2’26 × 山中(大阪芸大)
 B 岡(法4)  ○ RSC2R1’36 × 石井(加古川協会)
 Fe 進藤(法3) × 判定(57−60,57−60,57−60) ○ 石上(千里馬ジム)
 Fe 三浦(関学OB・千里馬ジム) ○ RSC2R3’00 × 大山(神戸学院)
 L 塚原(文3) ○ RSC2R0’47 × 森山(神戸学院)
 L 瀬辺(法4) × RSC3R1’13 ○ 真木(西宮西高)
 *最優秀選手:三浦、優秀選手:塚原




いよいよ春本番! 第53回 西宮市民大会 開催!                

春のボクシングシーズンの到来を告げる、西宮市民大会が、4月16日(日)西宮西高校の格技場で開催された。今年も参加者は100名を越え、高知県、徳島県からも参加者を迎えて盛大に50試合もの熱戦を繰り広げた。高校、大学に加え、ジムのアマチュア部から、多種多彩な選手が出場した。
 我が関西学院大学TEAMからも、7名が出場。3月1日からの新たな練習パターンが、その成果を発揮するのか?失敗か成功か?まさしく審判の時であった。

仙石、本田に善戦、そこに未来のチャンピオンを見た!
 KG戦士のトップは仙石、はたして3月わずか1ヶ月でKG魂が宿ったか否か。興味深い大学デビュー戦の相手は、全国にその名を馳せる本田との1戦となった。すでに、ボクシング誌でその非凡な才能を取り上げられる本田をよく知る連盟役員は、「本田のRSC間違いなし」の予想が大半を占めていた。3月1日の練習で見せたオープンガードからスイング気味に打って出る仙石のスタイルでは、まさしく本田の多彩なコンビネーションブローの餌食か?しかし、ゴングと共にリングで繰り広げられたファイトに目を疑った。きっちりとしまったポジションから繰り出されるのびのある左ストレート、さしもの本田もまったく攻め込む隙がない。1R、仙石を2名のJが支持、これは大番狂わせもあるか?しかし、まだまだ、KG戦士の魂を継承するには練習期間不充分だったか。せっかく有利なポジションに踏み込んでながら、ステップのリズム悪く、踏み込んでは、単発でバックスッテップの繰り返し、左ストレートから得意のフックの連打につなげられないまま、自滅・・・徐々にガードが開く仙石、この隙を、ターミネータ本田は見逃さない、ここぞとばかりに反撃開始。よく仙石も耐えたものの、ポイントは2R・3Rとも本田に。判定まで持ち込むも仙石の手があがることはなかった。今日の仙石、本田に敗れたと言うより、むしろ自らに負けたといえる。今日の借りを返した時こそ、仙石のチャンピオンロードのスタートといえるだろう。今やるべきは何か、来るべき大一番の先陣は、仙石、君に任した!

ORIKYUUダイナマイト爆裂!
 しかし、破れはしたものの、仙石のファイトの随所に練習の成果は鏤められていた。自分たちが費やした1ヶ月は果たして・・・その思いに決着をつけてくれたのは、続く2年生折寄のファイトだ!3月のシーズンイン後、1時は退部・・・しかし、離れて初めて、自分の中に流れるKGボクシング魂に気づき、改めて再入部、今日の彼のファイトは、彼の復帰を心から向けてくれたTEAMメートへの恩返しファイトといえる。名前の九馬のごとく、怒濤の9馬力パワー炸裂!ニューKG戦士のリボーンだ!(お、なんかわけわからん表現が飛び出してきた、久々のKGボクシング通信トーン復活か)右のナックルを顎から外さず、高等部時代、陸上で鍛えたその、瞬発力で左ストレートを打つ、撃つ、拍つ!相手のハードなストレートを受けるもまたく動ぜず、打つ、撃つ、拍つ!ついに、炸裂、右ストレート!気がつけば、一方的な展開。逞しく変貌したMr.ORIKYUUの猛攻!試合は2R2’20でRSCで決着はついた!

理学部が産んだ貴公子・今中、苦杯をきっするも次回のファイトは必見!
 ここで、登場は、まさしく理学部の産んだ貴公子・今中!これまた理学部が産んだ天才ボクサー大浜から受け継いだサウスポーファイトを、今、満天に示すとき。敢えて、格上の相手を選んでの、まさしく貴公子・試練の十番勝負の幕開けである。精悍な眼孔が見つめるはまさしく勝利のみ。鋭い踏み込みからややショートでストレートをたたきつける。ゴング早々、積極果敢に仕掛ける今中。ノーウエーティングで、先手先手、「うわちゃー」一瞬、KGコーナーからあがる悲鳴、ここはサウスポーの宿命、クレイジム一押しのファイター樋口の繰り出す右ストレートが最高のタイミングで今中の顎を捕らえた。KOか?しかし、カウント8でファイト再開!果敢に、さらに前へでる今中。しかし、無情にも再び、レフェリーがスタンディングカウント。1R1’36で試練の一番勝負の幕は下りた。しかし、まさしく今日が新たなレジェンドの幕開け。たった、2分に満たない負け試合の中から、O大のI原監督の驚異のデータブックに「今中恐るべし」のデータがインプットされてしまったようだ。

おれが戦う心理学者、塚原だ!
 おもわぬ今中の敗北を吹き飛ばしたのは、これまで目立たなかった塚原の激勝だ!3年から所属したゼミナールはその厳しい授業・実験で有名なI教授のゼミ。退部を真剣に考えたこともあったが、宮田洋先生との中芝での運命の出会いによりボクシングと心理学の両立を決意。ひたむき取り組んできた成果がでるか?対戦相手は浪速高校出身の経験者、神戸学院の荒川。予想では圧倒的不利!しかし、ゴングと同時にこの予想は大きくはずれた。たしかに、荒川、多彩なコンビネーションは経験者のなせる技。しかし、がっちりガードした左拳は微動だにせず、ただただひたむきに、サウスポーから右リードを打つ!ガードを固めて、リードを打つ、この単調な攻めについに荒川のリズムが崩れだした。堅実にストレートをヒットさせ、ポイントを重ねる塚原。冷静に相手を観察する冷徹な眼差しは、まさしく戦う心理学者。3R、観察しすぎて、手数が減ったところを攻め込まれるも、リードを守りきり殊勲の勝利。この日の優秀選手賞を受ける戦いぶりは、この3月からの練習が間違いでなかった証明といえる。颯爽とバイシクーでキャンパスを駆け抜ける塚原を見かけたら、「がんばれ、戦う心理学者!」とエールを送ってくれ。

坂本先輩、KG伝統のゴリラン・ファイティングはおれが伝承します!熱いリングで爆発、峯松!
 KG3年生カルッテット、経験者南出をのぞけば、塚原、進藤そして峯松、いずれも、努力の人である。むしろ、ボクシングに向いてない?と断言しては失礼だが・・・この3人、昨年末から変わってきた。進藤は「スピードスター」の名を、そして塚原は「戦う心理学者」として、リングで輝きだした。「おれは坂本さんのファイトを伝承します。ゴリアン・ファイターとよんでください」と豪語する峯松。これまで、「お前はリングと土俵をまちがっとンか!」というほど、すぐ相手をホールディングしてしまう致命傷は治らないと誰もがおもった。しかし、この日気がつくとホールデングするのは長身のボクサーとしての資質で勝る、野村ジムの青木であった。がっちりと両のグローブを、まったく下がることなく前へ前へ。「グローブがなかったら頭で反則やったけど、あれだけしっかり、前にグローブがあると、反則はとれんわ」は審判の談。逆にたまらず相手がホールド。徐々に、ボデーから上へのコンビネーションを出しかけた峯松。しかし、完全にヒットする前に試合は、相手の失格で勝利してしまった。やや、消化不良気味だが、練習の成果が相手の反則を誘ったので有れば、これも立派な勝ち。次のファイトでは、一昨年卒業した坂本を彷彿する、怒濤のボデーブローを爆発させ、まさしくゴリラン・ファイティングの伝承者として認められることを期待させる一戦であった。

リングのジャーナリスト野垣!努力が生み出した遅咲きの桜満開ファイト!
 この日、就職活動での調整不足をおして唯一出場した4年生は野垣。彼は1年時入部し、「スポーツの素晴らしさを表現できるジャーナリストになりたい」という夢との狭間で悩み、体育会本部編集部と兼部していたが、編集部の激務に飲み込まれ2足の草鞋を断念し退部。しかし、ボクシングへの情熱たちがたく、3年はじめから再入部の経歴を持つ。初めて入部したときより、なかなかのセンスを持っていただけに、心機一転の再スタートでどこまで行けるか、つねにぎりぎりのプレッシャーをかけすぎるせいか、ファイトが空回り。しかし、ついに努力は報われる日が来た。相手の尼崎ジムの石田、ゴングと同時に、重量級らしい重くそして鋭いパンチをがんがん打ってくる。何発も、野垣の頭をのけぞらすストレートがヒットする。これはまずいぞ・・・やっぱだめか・・・しかし、この日の野垣はちがった。一発もらっても、しっかりガードを堅め、ストレート、ワンツーを繰り出す。相打ちを真っ向から挑み続ける気迫は、徐々に野垣の流れを作っていった。まったく衰えない野垣のファイト、まさしく地獄のサーキットが作り出したボクシングに必要なスタミナ養成プランの成果の現れ。気がつくと、石田は完全にスタミナ消耗・・・3Rこらえきれずに失格。最後のつめの右がややオープンから出たため自らの手で勝利をもぎ取れなかったものの、見事リングに遅咲きの野垣さくらを満開に咲かせるマッチであった。

(2000/4/19)
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残る「マット・ニノミヤ」物語は近日中に掲載いたします(山崎さん、こうご期待!)
(ご意見、ご声援等、ございましたら掲示板にお願いします)

◎試合結果(KG関係分)
 F 仙石(文1) × 判定(57−59、56−60、56−59) ○ 本田(兵庫工業)  
 F 折寄(法2) ○ RSC2R2’20 × 久保(クレイ)  
 B 今中(理2) × RSC1R1’36 ○ 樋口(クレイ)
 L 塚原(文3) ○ 判定(59−58、59−58、59−58) × 荒川(神学)  
 L 峯松(社3) ○ 失格2R1’30 × 青木(野村ジム)  
 LW 野垣(社4) ○ 失格3R0’58 × 石田(尼崎ジム)  
 M マット・ニノミヤ(KGクラブ練習生/カナディアンアカデミー3) ○ 失格2R1’38 × 細川(佐藤ジム)  
 *優秀選手:塚原


〈合同練習会〉開催!この日の主役は進藤だった!?

今年も、春のシーズン恒例の合同練習会が関西外大で、3月26日開催された。
今年は名古屋大学も参加、12大学から総勢、50人が一堂に会して、熱闘を繰り広げた。

さて、期待の新人戦だったが、出場予定のエースを、なんと練習で南出がつぶしてしまった。(南出、おまえは益田U世か!?)
(彼は誰か、まだ秘密です、O大のIさん、誰かわかりますか?・・・ただし、かれは秘密兵器ではなかったのです)

上級の部では、一原・進藤・野垣・玉村の4名が出場、3月から練習のテーマは、充分クリアしていたものの、
まだまだ、改善の余地は充分あり。
その中でも、この日のMVPは進藤、
佐々木曰く「すごい、あの進藤が、このファイト!鳥肌が立ちました、きて良かった」のコメント
ふつうのスピードでパンチが出る、下がらず、顎を引いて前へ、左の相打ちからワンツー、これぞ、KGの目指すスタイルだ!
(対戦等の詳細は「記録」を参照下さい)

ただ気になったのは、O大学・・・何人かの選手は、KGの目指すスタイルを完璧にこなしていた
まずい!Iさん曰く、「おたくの、U先輩から教えてもらいましたんや」・・・まいった
さっそく、O大の皆さんに「フック、アッパー、バックステップを教えに行くぞ」と・・・

PS 驚異の秘密兵器は壊れてしまいました・・・ぐすん
(2000/03/26)


〈2000年・春シーズン〉スタート!気合い入ってまっせ!!

いよいよ、定期試験を終えた、KG戦士たちが、上ヶ原のホーム・ジムに集い始動!
いつにもまして、なぜか気合い入りまくりのM監督!(一説によると、「ガチンコ〜ファイトクラブ」の影響とか?)
主将・一原の竹原さんバリの寡黙さとは好対照に、久々に、しゃべりまくり(すぎです)

メジャーリーグばりの新メニュー(どんなメニューじゃ?)に選手もやる気満々(ほんまかいな)
いきなり、エンジン全回です(みんな、セーブしてセーブして・・・おいおい、おまえとおまえとおまえ、わかるやろ、君らは別やで)
この、春の気配に誘われて、益田さん、佐々木さん、山崎さんらがゾクゾクかけつけてきた
はたして、今年はどんな1年になるか?

PS 驚異の秘密兵器が登場!正体やいかに?こうご期待
(2000/03/01)