■設計監理日記■


『山の中の薪ストーブのある家/帰森庵 〜埼玉県』

設計期間/平成30年2月〜7月 工事期間/平成30年8月着工〜 施工/岩崎工務店(埼玉県ときがわ町西平)

【建物概要】

木造平屋(ロフト有) 1階床面積=39.74u・12坪 ロフト面積=15.31u・4.6坪

屋根/SGL鋼板瓦棒葺 外壁/焼き杉板下見板張り 内装/床壁天井共主に杉板






    


山の奥の小さな週末住宅です。施主Sさんからは、木の雰囲気を楽しめる家、薪
ストーブの利用、少人数から大人数まで対応可能な使い勝手、必要最小限の設備、
冬場の寒さ対策、といったご要望があり、非日常的である山の生活と自然を楽しめ
る家となるような提案から打合せを重ね設計を進めていきました。


奥深い山の杉林に囲まれた敷地は、建築基準法的には建築可能な場所でありまし
たが、電気・水道が無いといった状況で、電気については東京電力との打合せで2
00m程先の既設電柱から電線を延長してもらい、水道については150m先を流
れる沢の水を敷地まで引込んで利用することになりました。(ちなみに、沢の水の
引込みは施主Sさん自らの手で取水工事を施し、敷地まで水を引き込む計画です)

又、建築場所は山の複雑な斜面形状の一角に位置するため、埼玉県がけ条例の規
制の検討も必須でした。これについては付近一帯斜面の測量を行い、がけ高の影響
を受けない範囲の場所であることと
斜面勾配が30度以下であることから安全を確
認することが出来ました。






平成29年11月25日(木)  敷地測量



山の奥の杉林の一角が敷地です
廻りにあるのは杉の木だけです

方角と斜面の状況から建物の配
置位置を検討していきます
平成30年5月16日(水)  杉の木の伐採



工事に支障のある木、見晴らしを良く
するための場所の木を伐採します

伐採本数は130本程
伐採木は市場へ出荷しました
平成30年5月21日(月)  伐採完了状況



敷地中央から南東方向を見た状況です
この方向の見晴らしを基準に建物配置
を決めています
平成30年5月28日(月)  地盤調査



スウェーデン式サウンディング試験です
調査結果の検討から表層改良を行い
基礎は布基礎の設計としました

布基礎は湿気対策のため通常より高くし
又凍結深度を考慮し通常より深くします
平成30年8月8日(水)  伐根



伐採木の根を掘り起こし撤去します
根は敷地内処分として支障の無い所
に積み置きしておきます

平成30年8月17日(金)  整地



道路から建物を建てる場所までは路地状の敷地で
登り勾配になっています。そこを車両が通れるよ
うに整地します。表土は柔らかく雨でぬかるんで
しまうのがちょっとやっかいです。
平成30年8月22日(水)  根伐



地盤表層改良工事を行うについて、GL−750の
深さ(布基礎の底盤)まで地面を掘削しておきま
す。そこから浅い部分では−500まで、深い部分
では−1800まで表層改良を行います。
平成30年8月27日(月)  地鎮祭



雨の影響で地盤表層改良工事は延期とし
先に地鎮祭を執り行いました

まだまだ猛暑が続いていますが、ここは
標高約800mの場所なので町中よりい
くらか暑さが和らいでいるような感じを
受けます。
平成30年9月8日(土)  地盤改良工事



今まで雨の影響で搬出路がぬかるんでしまっていて
材料を運び入れることが出来ずに工事が保留となっ
ていましたが、ようやく地盤改良工事に取り掛かれ
ました。

平成30年9月12日(水)  基礎工事に向けて



搬出路(約10度の傾斜)のぬかるみが良くなりません
ユンボだと上がれますが、生コン車だと上がれません
下のぬかるんだ土を掘り出し砕石に入れ替えています
平成30年9月21日(金)  基礎捨てコンクリート



これより基礎工事に取り掛かっていきます
平成30年9月28日(金)  基礎配筋検査


鉄筋サイズ、ピッチ、補強筋、定着長さ等、図面
通りであることを確認します。同時に瑕疵担保保
険の検査も行われ合格です。

基礎は布基礎で、GLからベース下端までは凍結
深度を考慮し750、GLから基礎天端までは湿
気対策から600、と設定しています。
平成30年10月4日(木)  コンクリート打設



布基礎底盤部分のコンクリート打設です
平成30年10月11日(木)  布基礎型枠



高基礎仕様でH600の鋼製型枠2段使いです

アンカーボルト、設備配管スリーブの設置完了
平成30年10月18日(木)  コンクリート打設



布基礎立上り部分のコンクリート打設です
平成30年10月23日(火)  土台敷込



土台は県産桧120角
(プレカット加工/フォレスト西川)

土台下はステンレス通気パッキン
(コボット/ダイカラット)
平成30年10月25日(木)  上棟



天候にも恵まれ無事に上棟を迎えました
柱、梁共に県産材杉特一等 基準120角

構造は登り梁での片流れ屋根(一部ロフト)
室内は全て真壁で柱梁共にあらわし仕上です
平成30年10月31日(木)  屋根下地

屋根の構成は下から順に
・杉化粧垂木105×45(室内から見た天井仕上)
・杉化粧野地板12厚(室内から見た天井仕上)
・断熱ボード45厚(屋根面の断熱)
・杉通気垂木90×30(屋根裏の通気スペース)
・野地板12厚(屋根下地の野地板)
・吸音ボード9厚(雨音の消音)
・防水紙(透湿ルーフィング)
・SGL鋼板瓦棒葺(屋根仕上)
となります
平成30年11月5日(月)  構造


屋根は防水シート葺まで出来ました
軒天井、室内天井はこれで完成です

柱、梁、筋交の補強金物を取付ています
  平成30年11月8日(木)  設備



屋内では設備の配線配管が進んでいます
浴室はハーフユニットバスを使用し浴室
内の壁天井は桧縁甲板の仕上となります
 
   平成30年11月12日(月) 内外装下地


外壁廻りはダイライト張が終わり
アルミサッシの取付へと進みます

内部は壁の断熱材(ポリエステル
繊維100厚)を充填しています
   平成30年11月15日(木) 屋根板金


屋根仕上はSGL鋼板の瓦棒葺です

*SGL鋼板はガルバリウム鋼板に2%のマグネシ
ウムを添加したもので耐食性は3倍の効果があり、
加工性は変わらず、材料費は2%程度のアップなの
で次世代ガルバリウム鋼板と言われているそうです

現場付近はほとんど杉が多いので
すがちらほらと紅葉も見られます
   平成30年11月19日(月) 内装断熱材



壁の断熱材はパーフェクトバリア
製品はロールタイプスタンダード13K厚み100mm

床の断熱材はネオマフォーム
製品はボードタイプ厚み45mm×2重使い
   平成30年11月26日(月) 内装床張り



床の仕上げは杉縁甲板(節材) 巾180mm×厚25mm
厚みがあるので足裏の感触も心地良い深みを感じます
平成30年11月29日(木) 外壁


外壁下地はダイライト9mm+透湿防水紙+樹脂胴縁
外壁仕上は焼杉相決り板 巾180mm×厚15mm

炭化された木はいわゆる墨色で塗装の
質感とは違った風合いが感じられます
ただ、、触ると炭で黒くなるので注意

 
 平成30年12月3日(月) 内装壁張り



室内の壁仕上は杉相決り板12mm
構造材(杉)は全てあらわし仕上

みんなで使おう埼玉の木」の補助金を利用しています

平成30年12月6日(木) 内装造作



階段収納棚等を造り付けています
材料は杉無垢板、杉巾はぎ板です
 
 平成30年12月8日(土)   煙突取付



屋外部分の煙突取付

屋内部分煙突は薪ストーブ本体
と合わせて後日取付を行います
 平成30年12月12日(水)   屋外



玄関ポーチ・濡縁の基礎、浄化槽工事が進んでいます

昨夜は雪が降りあたり一面が白くなりました
遠くには雲海が広がっているのも見えました
 平成30年12月18日(火)   屋内



木工事と設備工事はほぼ終了

後は建具工事と薪ストーブ工
事が今週中に終わる予定です

 平成30年12月27日(木)   完成



一部追加工事が残っていますが
無事に完成引渡しとなりました

薪ストーブの火入れ式も行いこれからは山の厳
しい寒さでも暖かな生活を送ることが出来ます
 


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