熊野市への抗議・要請する 

  


2014年11月22日

    熊野市長   河上敢二 さま

    熊野市教育長 杉松道之 さま

           三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者(李基允・「相度)の追悼碑を建立する会

           第21回追悼集会参加者一同

 

 本日、わたしたちは木本トンネル入り口の追悼碑の前で21回目の追悼集会を開催しました。

木本町(現熊野市)でお二人を殺害したのは在郷軍人会や消防組などの集団であり、その集団の出動を指示した木本町長はお二人の殺害に

重大な責任を負っています。

したがって貴職らは地元行政機関の責任者として「事件」の原因を究明し、遺族に謝罪し、このような事件が2度と起きないような人権教育に

真摯に取り組む責務があります。

 私たちは会を結成した当初から、熊野市に対し、地元の行政機関として、この事件がなぜ起きたのかについて地元住民とともに考え、地元の

歴史教育に積極的に取り組むべきであると述べてきました。そしてつぎのような課題を提起してきました。

 1 『熊野市史』における「木本トンネル騒動」の記述で、地元の住民がとった行動を「誠に素朴な愛町心の発露」として弁護する

   文言があることを指摘し、この文言を削除すると同時に、『熊野市史』の記述全体を再検討すること。

 2 お二人の追悼碑を建立するために、熊野市が土地を確保し建立の資金を市民から募って、追悼碑の建立活動に取り組むこと。

 3 地元で「木本事件」を考えるための歴史教育・人権教育に積極的に取り組むこと。

 4 「木本事件」の詳細を明らかにすること。

 しかし、熊野市は当初は我々の会と協力して上記の取り組みを進めるという方針を立てながら、中途でその取り組みを放棄しました。

 1の課題については、熊野市は『熊野市史』の「誠に素朴な愛町心の発露」と言う文言の削除を約束しながら、削除要請通知を一部の

『熊野市史』の購読者(主として、熊野市が『熊野市史』を寄贈した相手)に送っただけで、削除が実際に行われているかの確認をも誠実に

行ってはきませんでした。

 わたしたちが各地の公立図書館に所蔵されている『熊野市史』を調べたところ、実際に文言の削除がなされていない図書館が多数ある

ことを確認しました。その後、わたしたちは文言の削除が的確になされているかどうかの確認を熊野市と熊野市教育委員会に求めましたが、

いまだにその確認はおこなわれていません。

 2の追悼碑の建立については、熊野市議会で了承がなされ、200万円の予算が計上され、なおかつ追悼碑の建立予定地まで確保しながら、

碑文を作成する段階で、熊野市は追悼碑の建立そのものを拒絶するに至りました。

 3の課題については、熊野市はこれまでまったく取り組む姿勢をみせていません。それだけでなく、熊野市の図書館に「木本事件」に関

する資料コーナーを設けてほしい、という当会の要求を拒否し続けてきました。

 4の「木本事件」の詳細を明らかにするという課題は、熊野市がかならず組織的に全力をあげて早急に進めなければならない課題であるに

もかかわらず、熊野市は、現在にいたるまで、まったくなにもおこなっていません。

 21回目の追悼集会にあたって、わたしたちは以上のようなこれまでの熊野市の対応に強く抗議するとともに、あらためて以下の要求を

行います。

 1 『熊野市史』における「木本トンネル騒動」に記載された文言「誠に素朴な愛町心の発露」について、『熊野市史』の公的・私的な購入者

に対する削除の通知を徹底していただきたい。また削除の通知をするだけでなく、なぜ削除するのかについての理由を明記していただきたい。

 2 熊野市市議会は当初、追悼碑を当会とともに建立するために200万円の予算を計上しそれを可決したが、その予算は執行されてい

ません。現在、その200万円がどのように扱われているのか、説明していただきたい。

   関連して、新屋英子さんが熊野市に追悼碑建立の基金として渡された10万円がどのように処理されたのかについて説明をしていただき

たい。

 3 熊野市図書館に「木本事件」の資料コーナーを早期に設置していただきたい。設置しないのであれば、なぜ設置しないのかについての

理由を説明していただきたい。

 4 おふたりがなぜ異郷の地で無残に殺害されるに至ったのかについて、地元の学校で、あるいは社会教育を通して、反省する機会を

設けていただきたい。

 5 本年9月30日に熊野市の建設課に対して追悼碑のわきのがけの危険個所を整備するよう要請しました。また、教育委員会の社会教育課

に対して追悼碑の案内板を設置するように要望をしました。しかし、両部署からはいまだに回答がありません。早急に回答をしていただきたい。

 6 「木本事件」の詳細を明らかにし、お二人が無残に殺害された歴史的社会的原因を究明する機関を設置し、「木本事件」の真相を明らか

にする調査報告書を、わたしたちの会とともに作成・発行していただきたい。

 以上の6点の要望について、12月26日までに文書での回答を求めます。

熊野市長 河上敢二 殿

熊野市教育長 杉松道之 殿

■三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者(李基允氏・「相度氏)の追悼碑を建立する会

■紀州鉱山の真実を明らかにする会

■大韓民国民団伊賀支部団長・伊賀コリアン協議会会長・伊賀市外国人住民協議会会長 申載三

■在日本朝鮮人総聯合会三重県本部副委員長 朴三浩