市の民間認可外保育施設に対する施策への質問と意見

本資料は1会員から提出されたもので、全体の合意ではありません。
ご注意下さい。
(この文章は前半を「市長への手紙」形式で、後半をその補足としてまとめられています)


4月22日付け読売新聞の「市助成対象外の保育施設 案内から削除へ」によれば、川崎市は
民間の認可外保育園(=地域保育園)のリストから市が援護費を支給していない保育園を省く
ことにしたとのことです。これについて、質問及び意見をしたいと思いますので、よろしく対応くだ
さい。

(1)リスト外の施設への市の責任
子どもの権利条例は、すべての子どもの権利を保障することをめざしていますから、報道による
ところの「事故があったときに市の責任はまぬがれない」ためにリストから抜くことは、そこに預け
られている子どもの権利よりも、市の責任の所在の有無を優先しているとも受け取れます。「最
善の子ども権利」という権利条約に反すると思いますが、市のご意見をお聞かせください。

(2)営業権と権利条例
報道によれば、否定的な内容ばかりの情報公開は営業妨害になるとの懸念があるとのことで、
確かにそういう面はあるでしょう。しかし、権利条約では子どもにかかわる営業活動では子ども
の権利を尊重することを規定しています。否定的な情報の公開は子どもの権利の保障のため
には当然必要でありますから、これを営業権を優先して行わないことは子どもの権利条例の立
場とは相容れないと考えます。
市のご意見をお聞かせください。

(3)県児童福祉審議会答申との整合性
県児童福祉審議会は届出制の導入と調査結果の公開を答申していますが、報道による市の見
解はこれに逆行しているようです。県児童福祉審議会の検討には市も係わったのではないので
しょうか?また市は県児童福祉審議会答申をどう評価していますか?

(4)今後の方針
  リストの見直しは今後の施策展開の第一歩でしょうが、今後どのような施策を考えていますか?
  お聞かせください。

(5)援護費制度の拡充
  報道によれば、援護費は基準を満たした園に対して支給されていると書かれていますが、私の
理解では予算枠の範囲という条件付きではと思います。事実はどちらでしょうか?
  また、私の理解が正しければ、基準を満たすすべての園に支給することにすれば、基準を満た
さない園の営業妨害という懸念はなくなると思います。
  また、援護費は基準を満たすために必要なコストとすべきで、大幅に増額する必要があると思
います。
  以上の拡充により、援護費至急と基準を満たすか否かの切り分けが明確になるし、基準を満た
す意欲も増すと思います。それでもなお基準を満たさないレベルに留まる施設については、否定
的情報を公開したとしても営業妨害にはあたらなくなると思います。
  以上の私の意見に対する市の見解をお聞かせください。

(6)ちびっこ園について
川崎市保育企画課は、川崎にあるちびっこ園についても問題があるという認識はもっているよう
ですし、事故が起こったときに責任を問われても困る園が存在し、そこに預けざるを得ない親の
ニーズが放置されていることは明らかに権利条例に反すると思いますがいかがでしょうか?

(7)認可の充実こそ必要
権利条例自体は、認可園ですべての保育を実施することは書かれていませんが、しかし、すべて
のこの権利が保障されるよう行政と市民が努力することが求められています。このためには、あく
まで認可でほとんどのニーズを受け止めること、その上で良質な援護対象施設で子どもの権利を
保障するような保育を実施することが実際上必要ではないでしょうか。これができていないので、
上記のような矛盾が生じるのではないでしょうか。
認可外保育園のリストの件と認可保育園を整備するべき市の責任との関係をどう認識しておられ
るかご意見を伺いたいです。



  上記の意見に対する補足をまとめます。

1. 現行の問題点

2. 周辺制度との関連で今回の対応を見るとどうなるか 3. 市がとるべき態度

**********  新聞記事   *********************

市助成対象外の保育施設 案内から削除へ (4/22読売新聞横浜支局)

川崎市は、市の助成対象となっていない認可外保育施設の情報を、毎年発行している冊子「保育所入所案内」から削除する方針を固めた。「市発行の冊子に掲載すると、市がお墨付きを与えているとの誤解を生む」と判断した。一方、厚生労働省は認可外施設の情報を積極的に提供すべき、と事実上逆のスタンス。認可外施設の場合、届け出義務がないなど、法的な位置付けがあいまいなままになっていることが、情報提供の面でも国と市の判断にブレを生じさせている格好だ。
 市の保育所入所案内は、認可保育所と認可外保育施設(地域保育園)の施設名や所在地などを掲載。市役所や市内に九か所ある福祉事務所で配布し、ホームページにも掲載している。認可外の掲載は、一九九八年の児童福祉法改正で、保護者が保育所を選択しやすいように情報提供するよう求める条文が盛り込まれたのがきっかけ。
 市内の助成対象施設は現在、認可外保育施設百か所のうち、職員の三分の一以上が保育士などの条件をクリアした二十七か所で、助成金の総額は約五億円。
 当初は、助成対象であるなしにかかわらず掲載していたが、助成対象施設関係者から「保育内容のレベルが違うので、区別する必要があるのでは」と要望があり、昨年度版は助成対象施設に星印を付け区別した。
 さらに昨年、女性園長による幼児死傷事件が発覚した大和市内の無認可託児所の情報を大和市作成のチラシに載せていたことが問題になり、チラシの配布自体を中止。川崎市は、大和市の例を参考に、今年度版から市の基準に達しない認可外の情報の削除を決めた。
 一方、厚生労働省は、大和市の事件を契機に全く逆の方針を打ち出した。「市民が適正な施設を選択できるよう、自治体が立ち入り調査での指摘事項や運営内容などを提供する必要がある」として先月、都道府県と政令市に対し、積極的に認可外の情報を提供するよう文書で通知した。
 これに対し川崎市保育企画課は「市が情報提供した施設で問題が起きれば、一次的に責任がなくても、全く関係ないと言う訳にもいかなくなる」と説明。ただし、情報提供の流れに逆行しないよう、市民から電話で問い合わせがあった場合は冊子から削除する施設の情報も提供する予定。その都度、助成対象でないことを説明するという。
 市は引き続き掲載を続ける助成対象施設については、施設名、施設長名、所在地、電話番号だけだった情報を、厚生労働省の通知を踏まえて、どこまで細かく掲載すべきか検討する。
 厚生労働省は、立ち入り調査の情報も提供するよう求めているが、市保育企画課は「否定的な情報ばかりを載せると、結果的に営業を妨げることになる可能性もある」と慎重な姿勢だ。
 
 
 


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