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陽気な 客引きの声につられて店に入る。ウナギの寝床の様に、奥が深く掘ってあり、狭い両側の壁に、昔の調理道具などが飾ってある。一番奥は、一段高くなったステージがある。異国情緒の芝居小屋だ。
我々は2列のテーブルに、ぎゅうぎゅうに並んで座る。なるべく よく見えるように、舞台に近い席を確保。料理、ドリンクが配られると、踊り子たちが舞台に登場。かっぷくのいい男性ボーカルと細身のギター奏者の両側に、派手な衣装の女性踊り子4人が座る。一番左側は女性には違いないが、おばあさんだ。目つきがきつい。ギターにあわせ、踊り子が 順番に中央に出て踊る。もちろん おばあさんも。


店は狭く 観客は我々のツアーでほとんど満席だ。激しいリズムで 店は興奮状態。思わず手拍子を取り始めると、日本人の手拍子はフラメンコに あわないらしい。例の怖いおばあさんに、両手をクロスしながら やめろとにらまれた。
後半には、売れっ子らしい男性踊り子も登場して 盛り上がる。料理は何を食べたか忘れた。


食事が終わって腹ごなしに、近くを散策。すっかり日が落ちて、通りは暗闇だ。石畳の坂道を登ると丘の上に展望台があり、谷を隔てた向こう側に、薄くライトアップされたアルハンブラ宮殿が 浮かび上がっていた。先ほどのフラメンコのリズムが、耳の奥に残って、満点の雰囲気である。しばし 余韻を楽しむ。

ヒエルダの塔から市内を望む

昼食をとったレストラン前の広場