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ホテルに戻る道に迷う心配はない。どの道でも 単に坂を上ればよい。城壁づたいの小道を登り 頂上近くの城壁に腰掛けて しばし休憩。 近くに 小さな八百屋があり、新鮮な野菜が並べている。おばあさんが買い物そっちのけで 八百屋のおばあさんと話し込んでいる。足下に広がる平野の遠くの方で 犬が遠吠えを交わしている。のどかだ。時間がゆっくり過ぎる。


ホテルに戻って夕食の時間だ。レストランに向かう廊下の窓から、やっと暗くなった空に満月が登るのが見えた。地図で調べると、日本とスペインは経度的には9時間半くらいある。しかし、時差は夏時間で7時間だ。太陽で感じる時間とは2時間半ほども違う。今までモーニングコールや、夕食が 遅かったのはこのせいだ。スペインは、地続きのフランスやドイツと 時刻をそろえているのだろう。東西に長いヨーロッパ大陸のせいだ。ただスペインより東にあるイギリスは、自国の地理にあった 時差8時間を採用している。ややこしい。

時差のことは忘れ 古城のレストランで 和気藹々と夕食。ドリンクも楽しんで就寝。古めかしい造りであるが 気持ちのいいホテルである。



丘の上のホテル パラドール

第1巻第4号

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