「怪獣映画なんて子供の観るもの、着ぐるみがドタバタやってるだけでしょうもない」とあなたが思っているのだとしたら、あなたが平成ガメラシリーズを観ていないのは間違い有りません。
僕はもともと特撮モノは好きですが、着ぐるみがカッコ悪いというのはしょうがないことなんだと思っていました。好きになればなるほど、どうしたって、中の人が汗をカキカキ、一生懸命動かしているのが脳裏に浮かんでしまいます。だからこそ、希に存在していた、「着ぐるみの怪獣がとびきり格好よく見える瞬間」というものをありがたがっていました。
しかし、あえて言い切りますが、平成ガメラシリーズの怪獣達は、ほとんどが着ぐるみに見えません。どのシーンも、怪獣達はとびきりカッコイイです。知識として、スクリーンに映る怪獣達が着ぐるみだったりCGだったりするというのは頭に入っているのですが、視覚から入って来る、「巨大なモノが街を破壊している」という情報と、脳内で重なろうとしないのです。
現場レベルでは、今までの怪獣映画にはなかった、様々な工夫がされていたそうです。撮影のほとんどを野外セットで行い、自然光によって画面全体の「作り物っぽさ」を取り去ったこと。基本的に画面を人間の視点の高さで構成して、怪獣の巨大さや存在感、その圧迫感を存分に引き出したこと。僕らが日常レベルで見ている町並みや野山の風景に、造型の簡略化等による嘘を使わないこと。
その結果が、このように近年希な、本気で見られる怪獣映画の完成に結びついたのです。

「G1・大怪獣空中決戦」「G2・レギオン襲来」に引き続き、今回の「G3・邪神覚醒」も、不安無く劇場に足を運びましたが、そのデキの素晴らしさにやっぱり感動いたしました。それまで怪獣映画の最高傑作だと思っていた「G2」が、もう物足りなくなってしまったくらいです。
平成ガメラシリーズは、今回の「G3」で終わってしまったそうですが、出来ることならばまた、このクオリティの怪獣映画を観たいものです。このジャンルの大スターで高名なゴジラさんは、去年まで海外に武者修業に行っていた割には、いまだに着ぐるみっぽさが抜けきれておらず、今度公開される新作も、また「構えて」みないといけないみたいですから・・・。
(そうそう、この「G3」にゴジラとキングギドラが写っていた場面がある、と僕は主張しているのですが、誰も認めてくれません。あなたは、見つけましたよね?壁画ですけど・・・)


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