朝、ニュータイプ誌を買いに行き、帰ってきて読んだらすぐ書くこのコーナー。今月も張りきってまいりましょ〜。
表紙
どうやら、フィルモア王家のサイレン指揮用MH「プロミネンス」の、読者への初お披露目のようですね。
左手のシールドについているウオータークラウンの紋章に、腰部前面についているプロミネンスの紋章、そしてなにより手前に大きく描かれているファティマはチャンダナでしょうから、間違いありません。
MHの肩やファティマの頭部についているオレンジ色のぐるぐるマークも、どうやら意味のある紋章のようです。残念ながらDCのマークでは無いようです。
カブトムシのようにせり出した頭部の形状が印象的なMHです。よく見ると、肩の関節部分の構造がこれまでのMHと違っているような気もします。この機体が活躍するのは、連載再開後でしょうね。
最初の見開き
先月号のラストシーンを、城の外からスペクターとポーターが見上げているカットと、その修復が始まっているカットが連続して描かれ、時間の経過が表現されています。ブッラックスリーの災悪はAKDから去りました。
くつろぐアマテラスに対してバハットマに報復戦争を仕掛けるべきと激昂しながら進言するサリオンに、アマテラスは報復戦争の愚を説いて冷たく突き放します。
アマテラスの冷たくも正しい論理に、サリオン少年は何も言い返すことができません。
二つ目の見開き
アマテラスが、ボスヤスフォートに関わることすなわち災悪そのものであるということを静かに説明します。(それはちょうど、インターネット上の会議室荒らしのような性質のものであります)
そして自らの言葉を「老巧なこと」として話しを切り上げ、アマテラスは控えの者に声をかけます。
「ちょうどいい頃だ用意を!」
サリオンの元服です。
それまでサリオンの母親代わりを勤めていたマージャが、細く美しい実剣をささげ持ち、プラスティックスタイルに身を包んで登場します。それまで死亡扱いになっていたサリオンは戸籍を戻され、サリオン自身が両親を殺してしまったために取り潰されていたシナーテ家に代ってエミーテ家が興され、この日からサリオンは天照家第一親王斑鳩王子としてミラージュ騎士団およびAKD全軍総司令に任命されました。
後に星団中にその名を轟かす”LED”、斑鳩王子の誕生です。
そしてアマテラスはつぶやきます。ボスヤスフォートに引導を渡すのは我々ではないのかもしれないよ、と。
三つ目の見開き
今回のシリーズ「ザ・シバレース」のエンディングエピソードのタイトルが明かされます。
「L.L.L.」
FSSのイメージCDの中に永野氏自身の作曲によるほぼ同名の曲がありますが、それとの関係は分かりません。Lとは、最強(LED)のLのことなのか、ラキシスの頭文字のLなのか、はたまたサイズのLなのか。木陰でまどろむアマテラスのところに、ファティマスーツを着たラキシスがやってきます。
四つ目の見開き
見開きに跨って、二本の線とその内側にラキシスとアマテラスによる会話が書かれた12のフキダシがあるだけの、ちょっと驚いてしまうページです。
その内容は、アマテラスが自分の内側にいるソープ、ソープダッシュ、リンス、東の君のそれぞれの人格が、自分がアマテラスでいるときも処理されないでいるという、アマテラスが自分の内側を告白するというものです。
優しい口調で、バランシェが死んだ時に自分の内側で起こった複雑な分裂を、恋人のラキシスのあいの手を受けながら語ってゆきます。それは、神というにはほどとおい、まるで僕らが時々物思うような、自分との対話の話でした。聞いてくれる優しい人が居るからこそ語れる、自分への呼びかけのような独白です。
五つ目の見開き
語りは続きます。
死んでいった者達の思いが大地や空へと拡散していき、やがて宇宙へと溶け込んでいくのを、人の数倍の年月を生きてきた自分は今まで見つめ続けてきたし、これからも人が先にゆくのを見ていくのかもしれないと、アマテラスはつぶやきます。
ジョーカーの人々の寿命は約300年。しかしアマテラスはこの3010年の時点でゆうに1000年を越える年齢を数えています。どれほどの超越者になろうとも、悲しみや苦しみの感情に慣れてしまうなんてことはないという、FSSで繰り返し語られるテーマです。
ページの下段には、11の人物がシルエットで描かれています。何人かは、それが誰なのか大体見当がつきます。
右から、不明、メイザー・ブローズ(不確定)、ヨーン・バインツェル(不確定)、ジャコー・クォン・ハッシュ、鈴華御前、不明(ファティマとおもわれるが)、プリンセス・タイトネイヴ、斑鳩王子、パナール・エックス、胎児のログナー、そして剣聖蒔子。
これから活躍し、そしてアマテラスより先に死んでいく人々です。
六つ目の見開き
フェザードラゴンが死に、その新たな幼生が生まれていないことが、ぽつりとアマテラスの口から語られます。それに気がついたのは、どうやらアマテラスとマグダルだけのようです。アマテラスは、マグダルに会いに行くと告げてラキシスの膝枕を借りて眠り込むように意識を失います。おそらく別体のリンスか誰かを飛ばしたのでしょう。
残されたラキシスは、期待していた恋人としての語らいもなく行ってしまったアマテラスにあっけにとられ、終いには怒り出して残された体をぽこぽこ叩いたりと、かわいいことこの上ないです。
その時のラキシスの最後のセリフです。
「いったい・・・いつになったら
私を傷物にしてくださるのでしょうか?
この方は・・・」
なんだかナマナマしさも漂うような、少女の本音の告白のようですが、これには少し深い意味があるような気がします。ラキシス自身は、いとしい人と結ばれたいという素直な気持ちから発言しているのでしょうが、ラキシスとアマテラスが結ばれる時というのは、すなわちカレンの誕生の時。それはFSSのエンドエピソードです。
このところ、ラキシスはよく置き去りにされます。星団中があわただしく、アマテラスはデルタ・ベレン星大統領という表の顔もそれ以外の裏の顔も大忙しですから、あっちこっちに飛び回っています。コミックス三巻でも、忙しいソープとかまってもらえないラキシスというエピソードがありました。発表されている年表を見る限りでは、これから先も、かなり長い間ラキシスは置いてけぼりを食らうのではないでしょうか。
その立場が逆転し、いなくなったラキシスをアマテラスが追いかける話、それこそが年表に記されている第三部にあたる話になるわけで、その、おそらく20年も30年も先に描かれる予定の話の前振りや複線張りが、今こうやって行われているのでしょう。
そして舞台はマグダルのいるハスハの地へ移ります。
七つ目の見開き
コミックス九巻のラスト以来のご登場のマイケル・ジョーイ・ギラと共に、腕の立ちそうな女性騎士ヘアード・グローバに、ぶかぶかの正装が可愛らしい少年騎士アード・ゼニヤソタと、ハイヒールを履きなれず歩き辛らそうな少女騎士ヒン・モンダッタの登場です。この二人のお子様騎士は、それでもモラード・カーバイト博士の最新作「カプリコーン」と「エベレスト」のマスターだそうですから、かなりの騎士の素養があることは間違いありません。
ギラは、この二人のお子様騎士を年齢の近いデプレのお付きにしようとして、デプレを探しています。デプレとマグダルは、どうやらあのクリスティ隊の隊長バルンガのところに入り浸っているようです。”掃除屋”クリスティ隊のハスハ内での評判の悪さと、マグダルとデプレが信頼を置くくらいなら評判通りの人物ではなさそうだという、ギラとヘアードの会話が描かれます。
そして、バランシェ伯が入城したというニュースもヘアードによって語られます。バランシェの名を継いだ、ミース・シルバー、後の剣聖蒔子の母親です。
場面が変わって、どうやらMHの整備場近くと思われる広場です。登場したのはマギー・コーター。名作MHクルマルス・シリーズの製作者ゼビア・コーターの子孫に当たる人物です。そして、マイトとしてのソープの師匠にもあたる人物です。そこには、自分の養女であるミースに出会うことを恐れて逃げてきたハスハの総騎士団長である剣聖カイエンの姿も見えます。
マギーは、どうやら鍛冶として名高い鈴華御前に、MH用の武器を大量に発注していたようです。斧、根、矛、どれも重さを生かした打撃系の破壊武器です。多少の刃こぼれなど気にしなくてすむ実用性重視の武器を大量に発注したとなれば、やはり実戦、それも組織立った大規模な戦闘、つまり戦争が近いということでしょう。ミースが城に呼ばれたのも、おそらくは兵器であるファティマ達のメンテナンスのため。スパリチューダやアウクソー等、バランシェファティマすら数人を擁する大国家ですから、ミースほどのマイトも必要になるわけですね。
おそらくこれからミースとカイエンは再会し、そして蒔子が生まれるきっかけになる出来事が起こるのでしょうが、それは来月までのお預けになってしまいました。
まとめ
このままいくと、次号ではマグダル、デプレ、ミース、リンス(ソープかも)などなど、重要人物目白押しのサービスカットが満載になりそうです。
果たして次号でシメなのか、もう一月続くのかわかりませんが、今シリーズの幕引きもそうとう派手なものになりそうです。
ではまた来月。
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