ごめんなさい。なんで今月分の更新がここまで遅くなったのかと申しますと、久々に連載休止に突入してしまった本編とのしばしの別れを惜しむあまりに、もし「読み解け」を書き上げてしまったらば本当にFSSとの暫時の別れを認識せねばならないのではないかという不安から、思わずてなしもは一人遠くに旅立ってしまって・・・
どなたも信じませんよね。もちろん冗談です。といっても心情的にはそれに近いんですけど、実際の理由は、表紙、内容ともにあまりに大変なものだったので逃げ回っていたということにつきます。弱虫です。逃げちゃ駄目だとつぶやく少年の姿が脳裏をよぎります。
しかし、いざ書くからにはやりますよ。ええ、やりますとも。


最初の見開き

内容から始めます。今号の表紙は、これから出版される副読本の内容紹介なんですから、後に回した方が納まりが良いだろうという判断です。

実はとってもデンジャラスなデザインの、ハスハのお城の塔の一室のテラスから、まだ少女と呼べるような佇まいの天才マイト、ミース・バランシェが空を見上げているカットから始まります。
アウクソーとミースの再会。それはおそらく、カイエンの手によってミースがDr.バランシェの養子にされた時以来のものなのでしょう。コミックスで言うと、4巻のエピソードですね。4巻のその内容がニュータイプ誌に掲載されたのは、確か1991年の初め頃です。・・・連載年数で言っても、ちょうど9年ぶりの再会ですよ、こりゃ。ジャンプでやってる「こち亀」の日暮サン(4年に一度、オリンピックイヤーにだけ現れるキャラ)より凄いかもしれません。ちなみに、作品内時間だと21年ぶりの再会ということになりますが、ジョーカー星団と僕らの世界とでは時間の流れ方が少々異なるそうなので、この年数通りの懐かしさだとは受け取らない方がよいでしょう。寿命も違うし。
・・・まてよ。ちょっと検証してみましょう。ジョーカーの人たちの限界寿命は、約300歳という話です。僕らで言うと100歳くらいでしょうか。約3倍です。で、21を3で割ると7。ものすごい単純計算ですが、感覚的には、命の恩人との7年くらいぶりの再会という感じかもしれません。ジョーカー人にとっての思春期というのがどれほどの長さなのかは解りませんが、もっとも多感な年頃にあこがれた人たちとの7年ぶりの再会ともなれば、そわそわするミースの、そして逃げ惑うカイエンの気持ちというのも、推して知るべし、でしょうか。いや、カイエンが逃げているのは、単純に「純粋に自分を想っている女性」に会うのが恥ずかしいからだと思いますが。
話題を本編に戻します。
アウクソーとの会話はこのシーンではわずか10あまりです。しかし、そこからいくつかの情報が読み取れます。
「バランシェ様」と呼ばれたミースは、「その名前は大きすぎる・・・」とつぶやいて、自分を以前のようにミースと呼んでくれと告げます。バランシェがマイトとしてあまりに巨大な存在であるということを、ミースは当然知っているわけです。すでに五本線のついたマイト服を身に纏える、立派なフルマイトになっているわけですが、そうなってみるとなお、バランシェという名前の巨大さが解るのでしょう。すでにミースは4巻の時のような物知らぬ少女ではないのでした。
照れながらカイエンの様子を聞くミース。自分の前に姿を見せてくれないカイエンが、気になってしょうがないのでしょう。それとなく聞いている風を装って、恥じらいながらよそ見までしています。いじらしや。
答えてアウクソーは「マスターはミース様がまぶしいみたいです」。しかしミースは、カイエンに避けられているように思えてなりません。ああ、恋するものは、えてして相手の言動を悪い方に考えてしまうものです。思い悩むミースは、自分がカイエンのお陰でここまで来られたのだというエピソードを語りはじめます。
カイエンに救われ、バランシェの養子になって間も無い頃と思われる少女時代。ミースは王立学校でのテストのカンニングの容疑をかけられ、それが濡れ衣であると涙乍らに訴えています。バランシェの傍らには、この頃里帰りをしていたファティマ・時が寄り添っています。ジャスタカークでMHグルーンを駆る天位騎士、アイオ・レーンのファティマです。といっても、この時代には何処に嫁いでいたのかは定かではないのですが。このファティマ・時は、この後バランシェの最期を見取るファティマでもあります。
代数の問題用紙があります。問題の数式の直後に、いきなり答えが書いてあります。バランシェはミースに詫びます。いきなりこんなレベルの高い学校に入れてしまってすまなかったと。カンニングせねばならないほど辛い状況に追い込んでしまったのかと謝ったわけです。
しかしミースは、泣きながら、そんなのは見たらすぐ答えがわかるのに、どうして複雑な式なんて使わなければならないのかと、バランシェに訴えるのです。バランシェは、その発言に違和感を感じて、ミースに問いかけを発します。「988年前の星団暦2001年、1月21日は何曜日だったかな?」、ミース一瞬で答えて「日曜日に決まってます・・・!」。まだ泣きじゃくるミースの前で、バランシェと時は自分たちが勘違いをしていたことに気がつくのです。僕は初めに読んだ時、ミースのこの能力は彼女が幼い頃に勉強を習っていたA−T先生、つまりファティマ・アトロポスの教育によるものなのかと思いました。バランシェはミースがアトロポスの教え子であるということは知らないはずですし。しかし真実は、僕なんかの予想をはるかに越えていきます。
この回想シーン中、バランシェはシルエットでしか登場していません。死の直前のその体は、すでにぼろぼろなのです。醜くなってしまったその姿をあえて見せる必要は無いのでしょう。バランシェは、死が訪れるその時までクールに描かれるのです。
それにしても、時のファティマスーツはまるで社長秘書のようで、フェティッシュな魅力がむんむんです。まさにインビンシブル・エロティシズム。デカダンスタイルまっしぐらです。


二つ目の見開き

バランシェはミースを試すことにします。なにやら得体の知れん100列からなる記号の配列を読み解き、101列目に来ると予想される記号列を述べよと言うのです。
超絶的な高性能生体コンピューターであるファティマの時ですら、それは全くわからないと言います。「4塩基配列」なんて言ってますから、遺伝子の話のようですが、僕らが知っているような知識はもちろん、なにやら高度な方法を用いたとしても先を予想するようなことは出来ないんだそうです。
ミースは一途に頑張ります。サンドイッチや紅茶にもほとんど手をつけず、おそらく数時間も集中し続けてこの問いに取り組んでいます。その傍らに「NEXT G4」と書かれたポリタンクのような箱があります。「富士の水」とも書いてあるのでほんとにポリタンクかと思ったのですが、これはきっとタワー型のコンピューターなのではないでしょうか。G4といえば、アップル社御用達のCPUの名前ですし。ミースの目の前のディスプレイにもコードが繋がってるようですし。富士の水というのは、水流式の冷却システムのことかなあなんて思ったりして。
さて、ミースが答えを出します。汗だくです。時はびっくりしています。そりゃそうでしょう、不可能事だと思っていたんですから。
バランシェはその答えを正解と認め、ミースを「マイト」であると断定します。複雑な数式から一瞬で答えを導き出し、閏年があるにも拘らず未来や過去の年月日の曜日を即答できる人間が、希にいるという話になります。暗算なんてしなくても、ぱっと頭に答えが浮かぶのだとか。それは、ジョーカーの世界では、”ルシェミ”というダイバーパワーの遺伝ということになっています。ちなみに、作中に書いてあるように、僕らの住む世界にもこういう「天才」というのはおりまして、アルバート・アインシュタインなんかも、答えが先に浮かんでから式を考える、なんて能力があったそうです。(これはついでの話ですが、以前てなしもはふと「天才」というものに興味を持ちまして、百科事典でその言葉を引いてみたんです。そしたら、そこにはこう書いてありました。「IQ160以上の人をそう呼ぶ。以前は140以上の人をそう呼んでいたが、最近は全体にIQが上がってきているので、160以上ということになった」それは古い百科事典でしたから、現在ではもっと数字が高くなってるかもしれません。・・・しかし、なんとも安易ですね(^^;。FSSの語る「天才」の神秘性のかけらもありゃしないと思います。)
閑話休題。”ルシェミ”というのは、非常に希なダイバーパワーであり、フルマイトになるための必須の能力のようです。そりゃ、生命を作りだそうというんですから、科学なんてものを超越した能力の持ち主でなければならないんでしょうね。努力と希有な才能がかみ合って、なおかつ優れた学習機関(ミースの場合はバランシェ)と出会わなければ、なれない職業。魅力的です。「マイト小説」なんて文学ジャンルが創れそうです。
それにしてもバランシェ、最初に「難しくはない」「ゲームだ」と言っておいて、次のページでは「このジョーカーでも私にしか解けぬ生体コードを解くか」と来たもんです。人を乗せるのがほんとに上手いお方。


三つ目の見開き

死を間近に覚悟しているバランシェは、自分にはもうこれくらいしかしてやれないと、ミースにディスクのようなものを渡します。それは、まさに恐るべき遺産でした。
バランシェが最後に取り組んでいた、”最強の女神”クローソーに続く、46体目の人造人間に関するデータです。それはすでにファティマではありませんでした。人の卵子に組み込まれ、受精をするとプログラムの展開が始まって人間のゲノムに食い込んでいくという、「超人間」を創るという技術の理論です。44体目にしてラキシスという「神」を創り出してしまった天才科学者が、さらにそこから進んだものを創りだそうとしているのです。
それを受け取った時のミースの表情は、まだ田舎育ちの無垢な少女のものです。しかし、その隣に描かれている、現在のミースの表情は違います。
何かを思いつめる女性が漂わせる、強烈な色香。名だけを継いだはずのバランシェから、その狂気も受け継いだのでしょうか。マッドサイエンティストが見つめる、その虚空には何が浮かんでみえるのか。
バランシェは告げました。それは「人の卵子」に埋め込むのだと。それは超帝国の純潔の騎士をも超える力を持つ存在になるだろうと。それは、バランシェの最後の作品であり、ミースの最初の”作品”であると・・・。
そのプログラムだけで、純潔の騎士すら上回る力を”作品”に与えることができるのならば、その素材の一旦である男性側の要因が、その超帝国の純潔の騎士に限りなく近い存在だったら、はたして何がおこるのか。何処まで行けてしまうのか。狂気の天才Dr.バランシェすら予想しなかったその領域の存在に気がついてしまった時、それがどんなバケモノを生み出してしまうのかも恐れずに、踏み出してしまうおぞましいまでの探求心を、持っている女性がいるとしたら。
自らの卵子にすでにその情報を埋め込み、その機会をうかがう狂気の科学者が、ひょっとしてここには描かれているのでしょうか。
そしてそうなるとミースは、はたして純粋な恋心だけでカイエンを求めているのでしょうか?
僕には、そのミースの横顔が、母の顔ですらあるように思えるのでした。・・・生まれ出た人の子供を取って喰うという、鬼子母神のような母の顔に。
ここで、FSSという作品上、最強の騎士と設定されている、「マキシ」の名前が、ついに連載中に登場いたしました。

さて、左のページに移りますと、わりと陽気なハスハ勢のお話になります。
まだ幼いながらも、後の凛々しさを想像させるデプレの表情にまずは引き込まれます。クリスティ隊の隊長(今もそうなのかは知りませんが)バルンガが、デプレにお土産の実剣を渡しています。こういった、実剣や光剣が人に譲られたり、受け継がれたりする話は、これからますます重要度を帯びて来るようです。
今回も、「人を殺した剣」と「殺していない剣」や「黒い光剣」などといった言葉が沢山出てきます。しかも、それを語るのはマグダルです。作中での超絶的なダイバーというのは、つまりある意味ではストレートに作品世界を語ってしまえる存在であるということだと思いますので、魔導帝国の女王たるマグダルの発言は、殊更大きな意味を持っていそうです。
今の所は、「YO!YOー!」なんて、クラブ乗りの挨拶がまことに可愛らしいのですが。


四つ目の見開き

まだ幼いこの双子にとっては、ひょっとしたらお互いは同一の存在であるのかもしれません。幼児にはよくあることですが、自分と相手の区別がまだはっきりとついていない状態なのかもしれません。そう思えてしまうほど、この二人は仲が良く、事ある毎に体を密着させているような気がします。のちにこの二人は引き裂かれ、安寿と厨子王のような辛く悲しい話になるといいますから、その分、今は幸せな時代として描かれているのでしょう。
しかし、いくらまだ幼いとはいえ、「新星団最強のくらっしゃーず」の名を襲名したこの二人を侮ってはいけません。会話の内容はすごいです。
まず、カイエンの尻を叩いてきたと。普通なら、利発でかわいい娘が渋る父親を後押しするなんていうのは和やかなホームドラマの一場面ですが、この場合はその結果、超人間であるマキシが生まれることになっていくわけで、上辺ほど生易しい問題では無いのです。多分。
そして次に、アマテラスが「いらしてたの」と言います。アマテラスは遠く離れたフロートテンプルで、やっとエイリアスを生み出すための眠りに入ったばかりであるにもかかわらず、マグダルが語っているのは過去形です。これはいったいどういう事なのでしょう?とりあえず確かなのは、「マグダルにとっては、それは過去の事になっている」ということなのですが、やはり意味がわかりません。先月に登場していたマギー・コーターにソープが会いに来るというエピソードがあるはずなので、これから(つまり連載再開後)そのハスハでのシーンが登場するのかと思っていたのですが・・・。マグダルがカイエンの後押しをするシーンも含めまして、この辺はコミックス化した時に書き足されるのかもしれませんね。多分、次の次である11巻の話になってしまうと思いますが。
それにしても、普通にみたら微笑ましい以外に印象の持ちようが無いはずのこの二人のじゃれあいを、矢鱈と真剣なまなざしで見つめるバルンガが不気味です。この男、一見ただの不気味さんですが、バランシェファティマのスパリチューダを娶るほどの騎士ですし、アルル・フォルテシモをスカウトして来るほどの腕も持っていますから、初登場の時は「ただのいい人」でしたが、この先侮れないです。
で、アルル様のご登場です。お美しや。
先日はDr.ダイヤモンドの元にいましたが、ここでハスハ入りを果たします。連載再開後のマジャステッィク・スタンド本戦にまで参戦するのかどうかは解りませんが、デプレの剣術の師匠にはなって行くようです。ということは、デプレの戦闘術は、黒騎士やコーラスと同じロンド系(この言い方で正しいのか解りませんが)ということになりそうですね。これでファティマがDr.モラードのものなら完全にコーラス系ですが、どうやら母親のパートナーだったコンコード(マイトはDr.スティル・クープ)を継ぐらしいので、系としてのなんとなくハスハオリジナルな匂いは残っていくみたいです。
さて、マグダルはアルルに告げます。「大きな黒い剣の持ち主を探しているのね」。
これはもちろん、彼女が持っている懐園剣のことでしょう。もとは超帝国の純潔の騎士ナッカンドラ・ビュー・スバースの物で、ハスハの剣聖デューク・ビザンチンに受け継がれ、今は何故かアルルが持っている大太刀です。ビザンチンが持っていたというならば、今回のことでハスハにそれが戻ったというのも、なんとなく肯けるような気がします。その剣の導きで、アルルがハスハ入りしたと考えればよいわけです。
彼女が探しているという、「懐園剣の持ち主」とは、すなわちこれから生まれて来るマキシの事に他ならないのですから。
しかし、マグダルの言の中にある「黒い光剣はこっち。黒い大きな剣はあっちでないと、さやから抜けないわよ」とはどういう意味なんでしょう。黒い光剣というのはもちろんカイエンが持っているもののことだと思います。ひょっとすると、懐園剣が一度、敵勢力、つまりボスヤスフォートの側の手に渡るということでしょうか?・・・そういえば、デコースが一時期それを持つなんて話を、どこかで聞いたことがあるような?むむむ?混乱混乱。
混乱しつつ次のページへ。


五つ目の見開き

マグダルの言葉が、抽象的ながらも核心を言い当てているようで、アルルは冷や汗のようなものを流しながらこの幼い少女を見つめています。「あなたの”白い剣”が、”黒い剣”から私たちを守ってくれるから・・・・・・」マグダルはそう言います。
「白い剣」とは紛れも無く、アルルの所有しているMHエンゲイジ・オクターバーでしょう。ならば「黒い剣」とは、MHバッシュのことでしょうか。
MHエンゲイジは、すなわちMHジュノーンの元になった機体であり、ある意味でMHとしての魂みたいなものを共有していると考えます。ならば、はるか未来のジュノーにおいて、すみれの騎士バナロッテを守った「白い剣」にまで連綿と繋がる、そういう「何か」であると考えます。それと対になるのが黒騎士モンドの「黒い剣」であることもまた道理。はるか未来では共に戦う二本の剣も、この時代では敵、味方に別れて戦うことになってしまっているのでしょうね。
そして明かされる、太天位騎士ジャコーも一撃で沈んだ恐怖の必殺技「かーちゃんキック」の秘密。ポイントは、先にスカートを捲って見せることでした。一瞬そちらに気を引かれた隙に、しこたま股間を蹴り上げるという、身の毛もよだつような残虐な技です。アルル様なんかにこれを出された日には、まず男なら食らってしまいます。でも、これを男であるデプレに教えてもしょうがないような気もしますが・・・。(余談ですが、この技の仕組みって、「セクシーコマンドー」なのではないでしょうか。「すごいよ!マサルさん」をご存知ない方には意味不明だと思いますが、そう思ったもので・・・忘れて下さい。)
そして、ハスハに風が吹きます。
思えば、最初のエピソードではハスハは王様がお披露目に姿を見せたのみ。コーラスXハグーダ戦では参戦予定はあったもののラルゴ・ケンタウリのしくじりでタイミングを逸し、それ以降も所々に人物は出て来るものの、なかなか国自体が表舞台に出て来ることはありませんでした。しかし、マジャスティック・スタンド、そして後に続くと思われる「ハスハ動乱」ディフェンス・スタンドは、ハスハの物語です。
まさしく、この国に風が吹き始めたのでした。
風が吹き、その空が繋がって、AKD、フロートテンプルへと舞台は移ります。
美しいラキシスの膝を借りて眠る(ように見えている)年相応のボケじじい・・・もとい、能天気なアマテラスを、不敬な言葉で見下ろしながら呼び捨てにする謎の存在が現れます。


六つ目の見開き

今まで見たことのない四つ星のエンブレムを付けた、奇抜なデザインの戦艦がフロートテンプルに降り立ちました。謎の存在が、AKDの現状を語ります。
リィが死んでMHレッド・ミラージュの追い込みがストップ。これはミラージュですから当然アマテラスの私費で行われていた事業だったとは思いますが、AKDの国策でもあったはずです。いきなり、国としてのつまずきです。
総司令官のログナーは、一度死んでしまったので、十分に戦闘指揮の可能な状態にまで成長するのに30年はかかるとのこと。これは読者視点ですが、現在が3010年でマジャスティック・スタンド開始が3030年ですから、ログナーが表舞台に立つには10年足りません。
変わりに大兄になったサリオンはまだまだ力不足。これも、ボスやんに手玉に取られたという事実がありますので、しょうがないこと。実際、こう言われても、まだ今の彼にはふくれていることくらいしか出来ません。
アイシャはルーマー王国(AKDの属国の一つでしょうか)の女王陛下になったとかで、もう忙しくて動けないとか。これはまた、なんとも残念な話です。数年前には、まだキュキィを連れてボォスをうろついたりしていましたが、いよいよ、出番が減ってしまうのでしょうか。しかし、まだまだ彼女には、これから物語の中核になっていくはずのヨーン・バインツェルとの絡みがふんだんにあるはずなので、ここは期待して待ちましょう。コーダンテ家は、ワスチャという人物が継いだそうです。設定に見える、アイシャの妹でしょうね。その娘がおそらく、後にミラージュ入りするというルート・コーダンテなのでしょう。
さて、ここで問題です。”ファンタグリナス”とはなんでしょう。
・・・うう、なんじゃそりゃあと思わず泣きそうになりました。これはひょっとして、二重王朝とでも言うべきものなのでしょうか。アマテラス家にそんなシステムがあるなんて、聞いてないぞ、予想すらしていなかったぞ。
昔から日本では、特別格の高い神宮などに、天皇に近い血筋の者を斎宮として使えさせるという風習がありました。元は神だとかそういう日本の皇族の話は置いておきまして、このシステムは、大雑把な言い方ですがなにか中央で非常事態があった時に、そういった宗教組織に派遣されている皇族が中央のバックアアップとして活動できるという、便利なものになったりします。今回出てきたこの聖院サマは、AKDに対してそういった役割を持つ方なのではないでしょうか。
一緒に連れてきているファティマ・ダイオード。そのスタイルは表紙によれば「マンティック・モード」なんだそうですが・・・そんなの、知らないよ〜(涙)。どうにも、他のファティマと比べて(バクスチュアルよりも!)機械的な印象がありますし。手を広げて走ったりとか、こういう仕種は個人的には好きなんですが。
話を聖院サマに戻しますが、ただ、このお兄さん、政治的などうのこうのよりも、どうやら他のキャラと同じく自分中心、唯我独尊でぶっとんでるキャラクターらしいので、こういうところは初めて見たキャラクターとは思えません(笑)そしてよくよく観察すると、襟元に、戦艦にも付いていた四つ星の紋章が、その意匠をより明確に僕らに見せてくれています。中にアルファベットが描いてあります。
A、U、G・・・E・・・まさか!


最後の見開き

華奢なボディ。広がった腰のスカート。特徴的なアームガード。そして、大きくせり出した両肩の、間違いなくアクティブバインダーな重装甲。その全てが黄金色に輝いていれば、言わずもがな。これは、オージェです。しかも、エルガイムに出てきた風の。
顔面部には、女性の顔をかたどったようなフェイスガードが張り付いています。聖院サマは「この世で一番美しいMHは、こいつだ!」なんて叫んでらっしゃいますが、なんとも悪趣味だともっぱらの評判です。僕もそう思います。装甲の下の積層金属構造とか、爪先の立ち具合とか、ふくらはぎの構造とか、細部のデザインにはちょっとビックリする所があったんですけど、この顔はいただけません。足元で変なポーズを取っているダイオードは、なんとも良いのですが。
しかあし。その来歴を読んで、僕らの度肝が抜かれます。マシンメサイア(MM)の時代から伝わっている、MHだって!?
それはつまり、MHエンプレスにMMエンシーのエンジンが積まれているというように、何か超帝国時代の、おそらくはオージェという名前のMMから、脈々とエンジンが受け継がれているということなのでしょうか。いや、そもそも、アマテラスのグリース王家はそんな超帝国時代から存続しているような、歴史のある王家でしたっけ?それはハスハやフィルモアの特権だったのでは・・・?
とりあえずそれは置いておきまして、最後のコマの話です。聖院サマは言います。「帝にお会いするのは、250年ぶりだというのに、かわらないなー」。250年前といえば、まだアマテラスがミラージュ騎士団を組織する前です。ならば、彼が「ミラージュに協力する気はない」と言うのもわかる気がします。そんな新造の騎士団がどうしたというんだ、という気持ちが無いわけはないでしょう。
あ、彼について一個思い付きました。日本の斎宮は、男系継承が基本である為か皇族の未婚の女子が派遣されるんですけど、AKDでは、アマテラスは例外的に男王ですけど、基本的に王位は女系継承でしたから、男子が斎宮になっているのかもしれません。まあ、これで彼の何かの謎が解けるというわけでもないのですが。
そんな謎な聖院様が、「いったい帝は何者なんだろうか、ホント・・・」とさらにアマテラスを不思議がるところで、ついに連載休止になりました。次期再開は、早ければ三ヶ月後、遅ければ半年以上も先のことになるでしょう。柱に書いてあるとおり、早い連載再開をお祈りしつつ・・・。



まとめ

見所ありすぎです。こんな状態でお休みに入っちゃっていいのでしょうか。
え〜、今回の更新を書き始めた時点では、表紙に関する話も一気にやってしまおうと思っていたのですが、内容があまりに面白く、頭が混乱してきてしまったので、ちょっと間を空けることにします。すみません。

それにしても、果てしなく増えていく、人間、ファティマ、MH達。それらは、使い捨てにされることなく、時間の経過とともに複雑に絡まりあいます。3人キャラクターがいれば、それだけで十分に複雑な関係は構築できるでしょうに、これほどまでに増やされてしまっては、頭の中を全てFSSにしてしまってもまだ追いつかないくらいです。
そういう時に、このコーナーのような文章化され、一応整理されたテキストがあることは、少しは助かるのだなあと、以前の分を読み返していて思いました。少しでも人の助けになるのならば、不本意ながらに社会不適合者をやっている者としては、尽力せねばならんなあと、深く反省する所存です。

なんでも、今年の7月あたりにはファイナルファンタジーの最新作が登場するそうですが、ちょうど作者がそれにはまって、連載再開が一ヶ月は遅れそうなのが痛いです。さらに、夏のうちにはドラゴンクエストの最新作もでてしまうとか。ああ、合わせて二ヶ月は待たされるでしょうね。
FSSファンとは、つまるところ作者のドレイです。共にただ、耐えて待ちましょう。合掌。


back