12月29日が最後の店番でした。念のため申し上げておきますが、たった一ヶ月でアルバイトがおしまいになってしまったのは、別に勤務態度が悪かったからではなく、最初から12月の忙しい時期のための臨時雇いだったからです。
短い間でしたし、特に大きな事件が起こったりもしませんでしたが、いろいろと勉強をさせていただくことが出来ました。

良く聞く言葉ですが、やはり何事もやってみなければ解りません。店番という仕事は、見た目以上に大変で、予想以上に気楽なものでした。
なかでも、僕にとって快適だったのは、仕事を丁寧にやろうとすることを邪魔するものが、何もなかったということでした。
もちろん、一緒に店番をした相方の皆さんはどなたもまじめで、明るく、元気で、お客さん達の人気者でありましたから、例えば隙を見て仕事の手を抜く、なんてことはそもそも全くなかったんですけど、それ以上にお客さんが少ない暇なお店だったので、僕は売れた商品を補充する際などに丁寧にならべたり、レイアウトに気を遣ったりすることに、たっぷり時間をかけることが出来ました。
見栄え良く、そしてお客さんが取り易いように商品をならべて、お客さんに大きな声で心から挨拶をし、わからないことは相方に聞き、ちょっと仲良くなったお客さんと世間話をしたりしている間に、いつのまにか一ヶ月は過ぎていました。

小売店というのは、資本主義社会において欠くことの出来ない要素です。そういうシステムの末端部分で実際に働いてみることで、本や、経済を扱ったTV番組などでは感じることの出来ない具体的な感触を、いろいろと味わうことが出来ました。
人が人に、持っているものを渡して、その代価を受け取るというシステムは、かなり昔から人類が行ってきた、人類だけの便利な文化です。そこには人と人との一瞬のふれあいという暖かなものがあり、人の優しさや親切さに触れることができます。
ひどく当たり前な印象かもしれませんが、人が働くということは、すばらしいことなんだと思いました。

というわけで、12月30日を持ちまして、てなしもはフリーターからまたもや社会不適合者に肩書きが戻ります。とりあえず、またアルバイトを探さなくてはなりません。
どこかにいい仕事、落ちてませんかねえ。


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