12月26日23時30分発、新宿行きの夜行バスに乗っててなしもは東京へ向かいました。
目的は東京観光、そして、ネットで知り合った方々とのオフ会への出席です。期待にはずむ胸とは裏腹に、襲い来る睡魔。しかし、窓がカーテンで閉じられた暗いバスの中で眠るのは、なかなかに技術が要るものです。うとうとしたり、昼間に聞いた変な流行り歌が頭の中でぐるぐる回って眠れなかったり、車内トイレで大あくびをしたりしている間に、いつのまにかバスは東京に近づいていたのでした。
途中、談合坂SAで休憩があり、食堂できつねそばを食べました。それにしても、なんで夜のSAで食べるかけそばというのは、あんなにおいしいのでしょう。甘辛く暖かい汁を最後まですすって、沈殿していた七味を吸い込んでむせるところまでお約束です。

新宿に着いた時点で、あたりはまだ真っ暗です。夏前に同じバスを使った時には、同じ時間にはもう夜が明けていましたので、同じ場所で降りたにも関わらず随分異なる印象を受けました。それとも、来るたびに違ってみえるのが東京という街なのでしょうか。
そのまま、まだラッシュの始まっていない山の手線に乗って、しばらくの間ぐるぐると東京を回りました。じきに適当な駅で降りて、線路に沿ってしばらく歩きますと、吉野屋を発見。所詮、吉牛道(よしぎゅうどう:吉野屋の牛丼を探求する道。しょうもない思想)のしもべにはこれがさだめなんだろうと、素直にそこに入って遅めの朝食、牛丼を食べました。

朝から腹も膨れたところで、またふらふらと歩いていますと、なんだか不思議なにおいがしてきました。見ると、道端でコーヒー豆を煎っている人が。目の前の喫茶店の店員のようです。すぐに行きたい目的地があるわけでもなし、そこで、食休みをすることにしました。
濃いコーヒーは苦手なのでアメリカンを頼み、それをすすりながら、しばらく窓からの風景を眺め、ポケットの文庫本に目を通したり、隣席のおじさん同士の会話にこっそり聞き耳を立てたりしているうちに、意外に時間が経っていました。

最寄りの駅は目黒でした。
そこからあちこち乗り継いで、お茶の水駅へ。駅を出て、橋を渡り、湯島聖堂に向かいます。東京へ来た時には、大抵一度はそこへ行って、孔子像に一礼するのが慣例になっています。友人からは腐儒とののしられることもしばしばですが、一応これでも僕は儒学の徒のつもりなんです。
東京に来た時には、その湯島聖堂の隣にあるカプセルホテルで泊まるのも慣例になっているので、一度立ち寄ってその晩に泊まれるのかどうかを確認後、秋葉原の駅へ。ネットで親しくお付き合いさせていただいている、さとりさんとの待ち合わせ場所です。
ほぼ時間どおりにお会いすることが出来、そのままさとりさんの先導で秋葉原巡りに出発しました。何度か来てはいるところですが、やはり詳しい人の先導があると回りかたに無駄が無くなります。あっちへウロウロ、こっちへチョロチョロしながら、いろいろ喋ったり、PCのパーツの値段を見たりしているうちに、うわさに聞こえたおでん缶の自動販売機を発見しました。
こんにゃく、うずらの卵、練り物等が豊富に入った、200円のホット缶です。出汁の味もなかなか。もっとチンケなものを想像していたので、そのボリューム感としっかりした食感には驚きました。これがこの日の昼食でした。

さらにしばらく秋葉原電気街巡りをしているうちに、ジャンクショップで古い98ノートを発見。なかなかお手ごろな値段だったので、ハンディテキストエディターにするために購入しました。無知は罪。その日に浦和でコインロッカーで発煙筒が焚かれたという事件があり、首都圏のコインロッカーはすべて使用禁止になっているとも知らず、そのちょっと重いノートパソコンを買ってしまったわけです。

その晩に別の用事を抱えているさとりさんの都合で、少々早く晩御飯を食べることになりました。秋葉原駅の近くの、万世というお肉の専門店です。
さとりさん、おごっていただいたハンバーグ、まことにおいしゅうございました。

さとりさんは帰り際におでん缶をいくつか買っていかれました。宿直の仕事の時に食べるんだとか。バイクで去っていくさとりさんをお見送りして、僕は先述のカプセルホテルへと向かいました。割り当てられた自分のコンテナの中で備え付けの浴衣に着替え、まずはと買ってきたノートパソコンをいじっているうちに、夜行バスでの睡眠不足がたたったのか猛烈な眠気に襲われて、そのままバタン、きゅう。最後に見た時計の針は、まだ6時でした。

なにかひどく気がかりな夢から目を覚ますと、時計の針は1時30分を示していました。
まだ深夜ですが、すぐに眠ることも出来そうになかったので、とりあえず腹ごしらえをしようとホテル内の談話室へ移動しました。冷凍もののポークカレーを買って、よれよれになっている新聞を読みながらもしゃもしゃ食べました。味気なや。その後最上階の大きなお風呂にゆっくり入って、自分のコンテナに戻って再び睡眠をとりました。
目が覚めたら、本格的な忘年オフ会に出席です。


続きは、明日の更新で。


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