8月19日に、TBSラジオの早朝番組「森本毅郎スタンバイ」の「現場にアタック」というコーナーで、WOWOWONLINEで活躍中のバーチャルアイドル、栗原みづきさんのことが取り上げられました。
ちなみに、僕は、その番組の存在をそれまで全く知りませんでした。特に大きく告知もされなかったその番組内容のことをどうして知る事が出来たのかというと、僕も含めてWOWOWバーチャルアイドル企画の応援活動をしている仲間のうちの中心的存在、REIさんのHPの掲示板に、「番組で取り上げるにあたって、ファンの人の生の声を聞かせてもらいたい」というディレクターさんからの書き込みがありまして、「応援活動の手助けになるなら」と僕てなしもが連絡を取って、結局そのままファン代表として出演した、というわけです。

さて、その内容に関してなのですが、まず、それを聞けた知り合いの何人かに感想を聞いたところ、大体「もう少しなんとかならなかったものか」という意見でした。
その不満の大半は番組パーソナリティの森本毅郎氏に注がれていて、「理解しようとしていない」「ただ怖がったり、笑ったりしているだけ」というものでした。

ただ、僕としては、テープに取っておいたものを何度か繰り返して聞いてみましたが、それほど変な扱いはではなかったのではないかと感じました。
確かに、森本毅郎氏は少しひいた視点で面白がって発言されていますが、そのほとんどは話題を面白い方向に持って行こうとする為のもので、それは番組のパーソナリティとしては当然の対応だと思います。
実際に僕のインタビューから放送に使われていた部分は、「この企画に参加していてこんなに楽しいですよ」という内容の場所で、それに対しての森本氏の発言は「ついていくのが難しい」という内容のものでしたが、ここは、そのとおりだと思います。インターネット社会にあまり触れていない壮年の人ならば、こういう反応が出て当然でしょう。「よくわからない→怖い→遠ざける」というのは、人間の心理の自然な流れです(ちょうどそういう内容を扱っているこのHPの「妖怪の話」参照)。
そして、この部分はバーチャルアイドル企画の宣伝効果という意味では、決してマイナスではありません。壮年層は、明らかにこの企画のターゲット層ではないからです。むしろ、メインのターゲット層であるはずの若年、青年層(そしてオタク層)の中には、「面白そうな話だ」と思った人がいたのではないでしょうか。森本氏が放送中「時代が変わったんだねえ」と言われていますが、まさしくそのとおり。取り残されている者と、変化の渦中にいる者とでは、同じ放送を聞いても印象は違うはずです。

また、森本氏が内容の締めとして

「クリスマスのサンタクロースみたいなものでしょ?それに大人が本気になるのもどうかなあ」

という発言をされていますが、このあたりは森本氏がきちんと事態の本質を掴んでいることがわかる発言だと思います。バーチャルアイドルというのが「サンタみたいなもの」というのは、実に的を射た意見です。
ただ、そういった「寓話の力」というものを、その凄さを、話者は理解していません。
そもそも市場主義経済も、科学も、社会も家族も友達も全て、人の思い込みから発生しているということを、森本氏は忘れています。大きなことから小さなことまで、人間同士の約束事によって社会は成り立っているということを、見失っています。もちろん、その「約束事」に疑いを持たなくても生きてこられた人にとっては、思いも寄らぬことでしょうし、それに疑いを持たないことは悪いことではありません。
しかし、時代はその「約束事」の定めた境界が大きく揺らいでいるところに来ています。「大人はそんな事はしない」という古い約束事ではなく、それがあるという状況によって実際にあがる「効果」を見つめなければなりません。
そして現実に、12月24日に世界中に訪れる「クリスマスのサンタクロース」が、どれほどの経済的・心理的効果を生んでいるか、ちょっと考えれば分かることです。さらには、この日が、ある世界宗教にとって大切な日であることも忘れてはいけません。(もちろん、宗教というのは、寓話の塊であるという側面を持ちます。)
「寓話の力」は、世界中の人々を優しい気持ちにさせる効果すら持っているのです。

「バーチャルアイドル」というものを扱うだけでも、ここまで発展させることはできます(放送を聞いてから考えたんですけど)。
インタビューの中で僕はここまで喋ったわけではありませんが、実際に使われた部分以外に「インターネットコミュニティの存在」や「これは文通の高速版であって、文通そのものは人類が千年以上も前からやっている。人は、そんなに新しいことを出来るわけではない」といった話をさせていただきました。
ディレクターの方は、放送日の昼に電話を下さって、「一部しか使うことが出来ませんでした」とわざわざ謝って下さいましたし、放送中のそのディレクターさんの丁寧なフォローが無かったら、もうちょっとは聞いていて不愉快な内容になっていたかもしれません。7〜8分の短いコーナーではありましたが、内容そのものの趣旨は明確。ついでに「参加している”てなしも”という人は随分楽しそうだ。ちょっと早口だけど」といったことが、そういうアンテナのある人には聞いていて伝わる内容だったと思いますので、僕はこの放送に協力出来たことに喜びを感じています。


連日、新聞にはインターネット関連の記事が3つも4つも載っている時代ですし、そういった話題や、社会全般に関することなどで、もし、何かお手伝いが出来ることがあったら、出来るだけ協力したいと思いますので、また声をかけていただけるとうれしいです。





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