ウテナ四方山話〜!

「少女革命ウテナ」に登場するキャラクターは、そのほとんどに植物に関連する名前がつけられています。
主人公の名前「ウテナ」は、「台」と変換すると分かり易いですが、花が咲くときにその回りを小さく覆って花びらをまもる「がく」のことです。ヒロインの「アンシー」は、どこかの国の言葉で「花が咲く」という意味の動詞なんだそうです。つまり、アンシーという花を咲かせるためにウテナはいるんだということは、最初から名前の中に秘められていたんですね。
生徒会メンバーもそれぞれ「冬芽」、「莢一」、「樹璃」、「幹」ですし、他のキャラクターたちも「七実」「根室」「茎子」「香苗」「枝織」「梢」など、何かしら植物に関係する名前ばかり。主要キャラクターで植物の名前が付いていないのは、「鳳暁生」と「チュチュ」だけです。これは、ウテナだけではなくこの二人を除いた全員が、結局、アンシーという花を咲かせるために行動していたということなのかもしれません。


物語の舞台になっている鳳学園は、実に多くの謎を持っています。
そもそも、漢字の名前を持ってはいるものの、日本にある学校なのかどうかも定かではありません。暴れカンガルーが偶にでたりするところを見ると、オーストラリアにあるのでは、という説もあります。でも、象がいたり暴れ馬や暴れ牛がでたりもするので、どうにも、厳密な限定はできません(笑)。そういえば、日本にしかいないはずの青大将も出てきましたっけ・・・。
また、ヨーロッパ風の統一された校舎や生徒寮のデザインは非常に美しく、小学校から大学まで一貫した全寮制の鳳学園に通う生徒達が羨ましく思えます。ただ、毎回の話の冒頭で画面に映る学園の敷地の丘には、少々の謎があります。まるで巨大な鍵穴のような形をした丘。それは、我々日本人には馴染みの深い、前方後円墳の形です。古墳とは、古代の豪族の作ったお墓です。墓の上に建っているように見える学園。この事から、鳳学園は僕らの住む生の世界と墓の下にある死後の世界の境界線上にあるのだ、という説があります。
考えてみれば、確かに「少女革命ウテナ」には何人かの死者も登場しました。具体的な名前はまだ見ていない人のために挙げませんか、TV版、劇場版ともに、数人の死者が、まるで生きているものと同じように学園内を動き回っていました。
「劇場版少女革命ウテナ・アドゥレセンス黙示録」では、学園全体の外観は明かされませんでしたが、冒頭から全編に響き渡る鐘の音や、TV版では「鳥かご」があった場所にあった王子様の墓標、そしてお姫様の為に死んだ多くの王子様の挿話から察するに、やっぱり学園全体が「王子様の墓標」なのでしょう。


生徒会メンバーも謎だらけです。
その中の、中等部1年にして大学のカリキュラムも受け、ピアノとフェンシングの腕は全国レベル、さらには生徒会メンバーでありながらウテナと共に「薔薇の花嫁争奪戦」に反対している薫幹(かおる・みき)、通称ミッキーは、作中、彼だけの不思議な行動をとります。
突然彼の手元がアップになり、いきなりストップウオッチを止めるのです。どうやら、その前のシーンの誰かのセリフやシーンそのものの長さを計っているらしいのですが、その意図は説明されません。
第一話から行われるこの謎の行動は、僕ら視聴者に「少女革命ウテナ」のヘンテコリンな世界を印象付けてくれましたが、作中人物達にとっても彼のこの行動はやっぱり謎だったらしく、物語の終盤になって桐生冬芽の妹、桐生七実(きりゅう・ななみ)がミッキーに対して「あなた、いつも何をしているの?」と至極当然な問いを発します。
しかし、結局ミッキーはそっぽを向いて知らん振りを決め込むだけ。一説には、彼の生真面目さの象徴的行為であるとも言われていますが、真相はミッキーの胸のうちです。ちなみに、彼が最後にストップウオッチを押したのはウテナと「世界の果て」による最後の決闘がはじまった時で、ストップウオッチの「計りはじめ」が描かれたのはこの時だけです。そして、このストップウオッチが止められるシーンはついに描かれませんでした。これは、あの最後の戦いが、「劇場版」が終了した今でも続いているということを表しているのかもしれません。


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