2013年2月号 第324号
迦陵頻伽の御聲
局 良鳳
― 仏さまのみ聲を、美しい聲でさえずる小鳥にたとえて
「迦陵頻伽の聲」と法華経に説かれています。
あなたの口から説かれる一言が、勇気と希望をもたらし、
お参詣への第一歩となるのです ―
植物を上手に育てる人は、植物の聲を聞き分けることができるそうです。
こちらから聲をかけてあげるので、それに反応してくれる。
イチロー選手や松井選手のバットを作っている久保田五十一さんは、木の聲を聞きながら作るそうです。
イチロー選手の好みと松井選手の好みは全く違います。
その選手にピッタリ合うように、木と相談しながら作るそうです。
そうすることで世界に一本だけの素晴らしいバットが完成する。
自然と一体感を持つことのできる人の素晴らしい特長です。
過去に不軽菩薩が一切衆生を合掌礼拝したと法華経に説かれています。
道行く人、出会う人の仏性に語りかけ、お話しをされたのです。
植物に語りかけながる水をやる人、木に語りかけながらバットを作る人、仏性に語りかけながら礼拝する不軽菩薩。
これらの底辺には、一連のつながりがあるのではないでしょうか。
今年の寒修行朝参詣には、新しいお顔が多くみられました。
一緒にご供養をいただきながら、時には手伝ってもらいながら、楽しくお参詣されている姿は、見ていてとてもすがすがしい、心温まる思いです。
せっかくお参詣しても、ひとりポツンと座っているだけでは、ご信心は育ちません。
淋しい思いをさせないように、戸惑わないように、周囲の方が、「聲」をかけてあげることが大切なご奉公です。
右も左もわからない、まったくどうしてよいかわからない人が、その親切な「聲」にどれだけ心強く、勇気が湧くか・・・、想像以上に感動させられるものです。
日蓮聖人は
「迦陵頻伽の御聲を以て、一切衆生を皆佛に成し給はんと御経に説かせたもう」
と仰せです。
仏さまの慈愛に満ちた言葉をたとえたものが「迦陵頻伽」というのですから、仏さまの心をいただいて、お寺やお講の席へ誘う一言一言は、まさしく、迦陵頻伽の聲そのものです。
― 続きはお講席にて ―