2013年12月号 第334号
お導師からのメッセージ
小欲知足
「小欲知足」という仏教用語があります。 「欲、少なくして、足(た)ることを知れ」と読みます。
この言葉の意味するところは、幸せとか豊かさを人との比較の上で計ろうとするなかれということです。
月に百万円の収入を得ても、二百万円を得ている人と比較すれば不足に思い、二百万円を得ている人は、五百万円得ている人を見て不足に思う。となると、足ることを知るのに際限はありません。
では、どうすれば人との比較をせずに幸せを感じたり、豊かさを味わったりすることができるでしょうか。
① 自分の足で歩ける。
② 自分で食事ができる。
③ 毎日、話をする相手がいる。
とりあえず、この三つの条件が満たされる生活ができているなら、自分は幸せなのだとしておくことです。
だって、
① 自分の足で歩くことができない。
② 自分の食べ物を口に運ぶことができない。
③ 話し相手が誰もいない。
これほど辛い、さみしいことはありません。そんな辛さ、さみしさを味わなくて済む自分は幸せではありませんか。
結局、ちょっとした事に物喜びしない、「お陰さま」という気持の涌かない人は、どれほど収入があろうと、豊かな生活をしていようと、幸福感は味わえないし、豊かさを実感することはできないでしょう。
人と自分を比較しては、羨望、嫉妬の念を起すのは筋違い、見当違い。
まずは、今の自分に備わる幸せ、豊かさの種を見出し、育てる工夫、努力をしてみること、それ以外に本当の幸せや豊かさを招き寄せる道はないということになります。
「小欲知足」は釈尊からの大切なメッセージです。