2014年5月号 第339号

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お導師からのメッセージ

odousi-photo 女優の小山明子さん(昭和10年生まれ)は夫の大島渚監督が脳出血で倒れたあと、看病疲れからうつ病になり死に場所を求めてさまようたりもしました。

 その後も自分自身を励ましつつ夫の介護を続けました。

 夫が倒れて四年ほどたった頃、彼女は夫のリハビリにつき添って病院へ行きます。その日、夫の大島渚さんのそばに付き添っていた小山明子さんに、病院に来ていた見知らぬ婦人が「あら、この方、大島渚さんね」と声をかけたのですが、介護しているのが妻の小山明子さんだとは気づかない様子でした。

 逃げるように帰宅した小山明子さんは、鏡を見て絶句しました。そこには白髪頭でシワだらけの表情のない老婆が映っていたのです。

 衝撃を受けた彼女は、目が覚めたように「元気でなければ介護もできない」と思いを切りかえました。

 それからは美容院で髪を染め、お化粧をし、エステにも行くようになりました。

 そうした小山明子さんの変化に「夫が病気の時にのん気なものね」と陰口をたたかれもしましたが、彼女は意に介しなくなりました。

 小山明子さんは夫の大島渚さんが亡くなるまで夫婦として悔いのない生活が送れることになったのは、この心の持ち様の転機があったからだと語っています。

 人間、自分の魅力を顔、姿から心に切り換えようとする時、顔、姿もまたより魅力的になるものなのでしょう。


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