2014年11月号 第345号
お導師からのメッセージ
お日さんとお月さんが旅をして一緒に同じ宿に泊まりました。宿屋にはたまたま雷さんも泊まっていて互いに挨拶を交しました。
翌朝、雷さんが起きてくるとお日さんとお月さんの姿が見当たりません。雷さんは宿の女将(おかみ)に聞きます。
「女将さん、お日さんとお月さんはどうなすったかい」
「あら、お日さまとお月さまなら、もうとっくにお発ちになりましたよ」
で、雷さんはこうつぶやきました。
「月日の発つのは早いものだな」
女将さんは雷さんに尋ねます。
「ところで、雷さんはなん時頃お発ちになりますか」
「そうだな、夕立にしようか」
「光陰矢の如し」 そういう感慨のこめられた歌をいくつかご紹介しましよう。
きのうこそ 早苗とりしか いつの間に
稲葉そよぎて 秋風の吹く
『古今和歌集』
懐かしく また恨めしき 月日哉
別れし去年の きょうを迎えて
太田道灌
昨日といい 今日と暮して あすか川
流れて早き 月日なりけり
『古今和歌集』