2015年3月号 第349号
彼岸会のご案内
22日(日)
第一座 午前 7時
第二座 午前10時
― 超日常的時間のすすめ -
■本来人間は、さまざまな時間を生きています。
■まず、日常と非日常という言い方がありますが、日常は、仕事や育児、家事、学校など、朝起きてから夜寝るまでの生活のための時間を指し、非日常はそれ以外の時間です。
■インテリアデザイナーの内田繁氏によりますと、現代社会は日常と非日常という区分だけでは生活をくくることが難しく、非日常を、さらに「脱日常的時間」と「超日常的時間」とに整理する必要があると述べています。
■「脱日常的時間」は余暇、遊びの時間です。人間は、遊びの時間がないと生きてはいけません。特に日本は、日常を「ケ」、非日常を「ハレ」とし、時に単調な「ヶ」が続くと「ケ」が枯れて「ケガレ」の状態になると考えられてきました。
■ですから、われわれの先祖は「ヶ」を回復するために「ハレ」の時間を一年の中にちやんと用意をしておりました。
■現代では旅行やショッピング、映画鑑賞やコンサートなどが「脱日常的時間」です。
■これに対して「超日常的時間」は何かというと、折りの時間です。
■見えない世界と交流する時間です。
■内田氏は、「この『三つの時間』」において、まったく異なる美がそれぞれに存在しているのですが、『脱目常的時間』における美だけが強調されるようになってしまった結果、日常における美が顧みられなくなってしまった。」と述べています。
■日常における美とは「生活の場における美」であり、それは各家庭における「暮らしの和」そのものです。
■そのために必要なのが「超日常的時間」であり、まさしくご信心の時間なのです。
■日常と脱日常のバランスをとるためにもご信心の時間は大切なようです。
■何かを美しいと感じる時は「記憶」が影響していると言われています。
■人々の記憶は、個人的記憶と文化的記憶、そして前文化的記憶という三つの階層から成っているのだそうです。
■個人的記憶は、まさに私個人の記憶。文化的記憶は、地域や民族が固有に持つ、風土に根差した記憶を指します。そして最も重要なのが、言葉を獲得する以前の人類に共通する根源的な記憶である「前文化的記憶」です。
■何に美を感ずるかは人それぞれたというのは個人的記憶によった話で、バラの花束よりも、はかなげに咲く野の花の方が美しいと感じるのは日本人の文化的記憶です。そして夕日を見て美しいと感じるのは前文化的記憶です。火や水、風、光といった普遍的な自然に感じる美は、前文化的記憶として私たちの身体に残されているものだそうです。
■これだけ社会や文化が複雑になっていく中で、前文化的記憶こそが、人々を結びっけているのかもしれません。失われた絆を取り戻す力も「前文化的記憶」なのかもしれません。
■家族だけでなく、遥か彼方までのご先祖、そして遠い未来までの子供たちも含めて、すべての方だちとの絆を結ぶために御題目をお唱えすることをお勧めします。
■香風寺彼岸会にお参詣して超日常的時間を体験させていただきましょう。