2015年6月号 第352号

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お導師からのメッセージ 

 日扇聖人のご生涯とお人柄を語る「その四」
 対談 石川日翠上人、福岡日雙上人
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 江戸遊学の意義

福岡 日扇聖人の法華経への信、蓮隆両祖をお慕いする念というものは他の誰にも劣らぬものがあったわけだけど、それは決して狂信的なものではなかった。日扇聖人は自他をある一定の距離を置いて客観視する、そういう冷静さをも持っておられたようやね。

石川 聖人は青年期、天保十三年から十四年にかけて江戸へ遊学されてますね。あれは今でいうと海外留学されたのと同じ意義があったと思う。聖人は江戸留学帰りの京都人であったという点を忘れちゃならない。京の都を、ひいては自己を対照的に、客観的に眺める視点をお持ちになる上で江戸留学というのは大きな意味を持っていると思いますね。江戸で仏教や儒教を学び直されたり、江戸八品講の活動をご覧になったり、大病を患って死にかけたりという体験ね。

福岡 社会学でいう「場の理論」ね、人間というものは自分の置かれた立場からのみ世の中、物事を見て価値判断を下しがちだという、そういう偏った物の見方、考え方から脱却するためには、一度自分の身を空間的に遠く離れたところにおいてみることも大事なんやね。

石川 社会学でいうマージナルマン(周辺人)理論ね、中心より周辺の人の方が創造的になるという考え方。聖人にとって江戸留学はそういう面を培う意義があったと思う。


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