2016年1月号 第359号

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新年のご挨拶 

住職 局 良鳳

―― 良樹細根りょうじゆさいこん ――

Text-2016-01-01  香風寺ご信者のみなさま、明けましておめでとうございます。

 昨年中は物心両面にわたりまして香風寺護持のために御奉公いただき有難うございました。とくに昨年は香風寺創立三十周年という記念すべき年でもあり、本堂の床暖房設置、内内陣の改修、須弥壇の新調などに際しましても志篤い御有志をいただき無事に完成することができました。

 この御奉公はわたしたち香風寺信徒の一生の思い出であり、この広大な計り知れない功徳に、今あらためて随喜させていただいております。

 しかし、私たちの信行はこれで終わりということではありません。仏道は果てしなく続くものであり、その功徳の証である御利益はどこまでも広がるのです。

 以前、福岡御導師が「良樹細根」と書かれた色紙を香風寺玄関正面に飾られてました。これは石川日翠上人が福岡御導師に揮毫されたものですが、とても深いメッセージが込められていて、今後の香風寺の盛衰にかかわる言葉だと思い、わたしも拝見するたびに襟を正すように心がけておりました。意味を簡単に申しますと「枝葉の良く茂った良い樹、大きく育った樹には、必ず細い「根」が深くしっかりと地中に張り巡らされている。また、そのような樹なら、必ず良い樹となる」という意味です。実際、屋久島の「縄文杉」は、樹高二十五・三メートルに対して、なんと根っこは四十三メートルもあるそうです。

 福岡御導師をはじめ素晴らしい成果をあげておられる御導師方、ご信者方を拝見しておりますと、この「良樹細根」という言葉がピッタリ当てはまるケースが非常に多いようにお見受けします。「根っこ」にあたるのは、小さな心がけや心配り、気づく力、人とのつながりなどさまざまあると思います。地中だから、目に見えないからといって一つひとつのことをおるそかにせず、根っこをより深く、広く、多く張りめぐらせるように絶え間ない努力をされています。ともすると、目に見えない部分などはどうでもよい、枝ぶりさえ立派であればそれでいいじゃないかと思ってしまいがちですが、「冥の照覧」を信ずる佛立信者は、やはり地中の根にこそ意識を向けなければなりません。

 無事に三十周年を過ぎた香風寺がやがて「大樹」となるためには、今こそ根っこを深く張り巡らせる努力が必要なのです。

 見せかけだけ大木になれたとしても、風が吹けば飛んでしまうような大木であっては致命的であるのみならず、人さまにもご迷惑をかけてしまいます。そうではなく、たとえ台風のような時代の波が押し寄せてきたとしても、倒れない。それどころか周囲の樹木を守れるように地中深く根をおろして、安心できる、いつでも御利益の頂ける佛立寺院でありたいと思います。そのためにも、今年はさらにご縁を紡いでいき広げていく「ご縁の深耕」に心がけていきましょう。

 本年もよろしくお願いします。
              合掌


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