2016年11月号 第369号

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お導師からのメッセージ

odousi-photo  昔からよく存知あげてる老婦人に久しぶりにお出会いした。以前より若返ったような印象を受けたので、そのことを告げると冗談っぽく「数年前、亭主をあの世に見送ったお陰です」とおっしやった。

 私はこの言葉にいかなる相槌を打つべきか迷ってしまった。「それは良かったですね」とは言えまい。「それは残念なことでした」とも言いにくい。

 「女性はそこそこの年齢に達したところで夫と死別すると、概して以前より若々しくなる傾向がある。

 気分が独身に戻ることで女性ホルモンが再び活性化し始めるからではないか」というある医学者の説をなにかの本で読んだことがある。

 上述の老婦人もその一例なのであろう。

 では、ある年齢に達したところで妻に先立たれた夫はどうであろうか。例外はあるにせよ、夫は急に老けこんでゆき、跡を追うように亡くなってしまうというケースが珍しくないように思わ れる。

 やはりあの世に赴くのは、特殊な事情でない限り、夫が先で妻が後というかたちが穏当なのかもしれない。

 あるお葬式で、老妻が夫の遺骸に向って「あなた、一足先にあの世に行って私を待っていて下さいね。私も間もなくそちらに行きますから」と語りかけておられたことがあった。

 十五年ほど前のことである。この老婦人、今も健やかに暮らしておられる。

 先立たれたご主人はきっと待ちくたぴれておられることであろう。長生きはめでたいことではあるのだが。

 世の奥様方、確率から言って、自分に先立ってあの世に赴いていくであろうご主人をどうかいとおしみ、大事にして頂きたい。

 それが後にのこるであろう妻の夫へのおもいやりというものである。

 その上で、その後の一人暮らしの人生をそれなりに楽しんで頂きたい。   

 (今回は外の掲示板に張り出した文章です。)


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