2017年2月号 第372号
お導師からのメッセージ
夫婦喧嘩は、安ものの瀬戸物をうちこわすにかぎる。
これは「坊ちゃん」漱石の言葉である。
夏目漱石は夫婦ゲンカでなん枚、なん個位の安ものの瀬戸物を打ちこわしたのだろうか。
私はケチだし、安ものの瀬戸物は置いてないので(私にとっては)夫婦ゲンカで瀬戸物を打ちこわしたことはない。(ゴミの入った袋をけとぱしたことはある)
漱石は夫婦ゲンカの際、安ものの瀬戸物を打ちこわす理由をこんなふうに書いている。
「女は理屈では屈服しないし、殴っても駄目。少々痛いぐらいは平気だし、こたえるほどに殴るには、こちらが非力だから息が続かない。」「安ものの瀬戸物は大きな音を立ててみじんに砕けるから、こっちのカンシャクは晴れるし、女は欲だけ深いから、音の効果におびえて、これでは所帯がたまらぬと閉口するのサー・・・・」
〇
小説家の遠藤周作は夫婦ゲンカで奥さんにやりこめられると「弱い者いじめをするな」と反論したそうである。これには奥さんも力が抜けてしまったはず。
喧嘩は口で華々しく言葉をかわし会うので「喧嘩」と書く。腕や身体を使って暴力を振うに至るまで逆上してしまうのはよろしくない。
そのためには夫婦ゲンカであれ、なんであれ、夏目漱石さんや遠藤周作さんのように、ちょっと損得勘定をはたらかせながら、相手をはぐらかすようなテクニックを駆使しながら(小兵で技師であった舞の海のように)「無理せず楽せず」喧嘩して頂きたい。
香風寺のご信者もご信者間で少々のトラブル、いさかいがあったとしても、「身近な者同士、それも仲の良いあらわれと」受けとめ、ゴミの入った袋をけとぱす程度で処理して頂きたい。
「信者にあうたびごとに、此の御人も経王を一心に持ち給う御人なり。有難き御人哉、われも経王を持つ身なり、御互いに迷の上には、たでくうむしも、すきぷすき、わが心に叶わぬとてわが思うようの人にせんとてなるものにあらず。」
(開導日扇聖人ご指南)