<あとがき>
この「本」では、疑問の余地の少ない事実を選んで、「警告」の重さと、私たちがそれにどう応えるべきかを考えました。
当時、事故の恐ろしさを感じながら、「それでも原発は止められない。」と思っている方に、ぜひ読んでいただきたいと思っています。

内容は下記の二つの臨界事故説明会(いずれも公開)に参加して得た情報を中心とし、その他多くの図書、新聞、雑誌、インターネット等の資料を参考にさせていただきました。
さらに記述に誤りがないようにと、原子力資料情報室にお願いしましたところ、内容に目を通してくださった上、有意義な助言をいただきました。合わせて皆様に感謝申し上げます。

この作品は、冒頭にも述べたように1999年12月発行の小冊子(A5版22ページ)をweb用に編集し直したものです。冊子(イラストはモノクロです)を御注文下さり、お近くの方にお配り頂けるようでしたら大変幸せです。お問い合わせは、たんぽぽ舎(TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797 e-mail:tanpoposya@jcan.net)までお願いします。
2000年7月25日


<被ばく者数についての追記>
事故による被ばく者数は、当初49人、ついで69人とされていたが、12月22日になって、新たに57人が追加発表された。
しかし、12月24日付けの毎日新聞によれば、その他にも約80人が認定されていたのに、前日に事故による初めての死者が出たため、「タイミングが悪い」と「発表を先送り」されているのだという。これらを含めると被ばく者数は(周辺住民を除き、)約230人となる。

科学技術庁が、住民207人を含めた被ばく総数を439人と発表したのは、1月31日(事故後4ヶ月)。上の毎日新聞の記事の正しさを裏付けている。

この207人という数は、半径350m以内にいた人の数で、その外にいた人は考慮対象とされていない。なお207人のうち一般人の1年間の許容量1ミリシーベルト以上を被ばくしたとされたのは、119人である。(なお許容量との比較に関しては注1を参照)

さらに10月13日(事故後13ヶ月)になって、自治体関係者、報道関係、一時滞在者等、当日の行動調査に基づき、線量を推定評価された者についてのデータが発表され、線量評価が発表された者の数は、合計667人となっている。


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<この事故に対する海外の反響>
Newsweek誌
「日本は人口密度が高く、原発事故が起きれば被害が甚大になる。おまけに被爆体験をもっているのに、激しい原発反対運動が起きたことはない。」
Nature 誌
「日本政府は十分なスタッフと専門的知識を伴った実効性のある規制機関を設立することが出来ないように思われる。科学技術庁の原子力安全委員会は非常勤の学識経験者によって構成され、極めて少人数の官僚が作成した文書を形式的に承認している。」





<主な参考資料> (本文中引用先を明記したものは省略)

公開説明会
たんぽぽ舎・市民エネルギー研究所主催「東海大事故の分析と今後」10月11日
原子力資料情報室主催第38回公開研究会「恐怖の臨界事故」12月1日
図書
原子力資料情報室編「恐怖の臨界事故」岩波ブックレットNo.496
今中哲二ほか著・原子力資料情報室編「チェルノブイリ10年」
新聞
毎日新聞、朝日新聞、読売新聞、東奥日報
インターネット
原子力資料情報室 http://www.jca.apc.org/cnic/
京大原子炉実験所原子力安全研究グループ http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/
科学技術庁JCOウラン 加工施設での臨界事故情報http://www.sta.go.jp/genan/jco/


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