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◆◇◆ キュービック ◆◇◆ 〜 宵 〜 | ||
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ふられちゃった、情けないなぁ。 | ||
大好きだった人を、後輩にとられちゃうなんてさ。 | ||
今までずっと想っていたのに。 | ||
初めての恋。 | ||
もろく砕け散ったみたい。 | ||
こんな気持ち、初めてだからどうして良いか分からないよ。 | ||
ねぇ、あの日から、ずっと好きだったんだよ。 | ||
早く大人になって、あなたに近づきたかった。 | ||
一緒にいたくて、ここまで来たのに。 | ||
あなたと同じ空気に包まれていたかった。 | ||
でもそこで、私は満足していた。 | ||
いつまで、この時が続けば良いって。 | ||
それは、告白する勇気がなかったから。 | ||
そして、いつかあなたから振り向いてくれると夢見て。 | ||
だから、後輩にとられちゃったのかな? | ||
想いは口にしないとダメなの? | ||
誰か教えて? | ||
いっそ、彼女を憎むことが出来れば良いのに。 | ||
でも、それが出来ない自分がキライ。 | ||
彼女は私を慕ってくれる。 | ||
もし私が男だったら、ほっとけないくらい良い子なんだ。 | ||
ねぇ、私、結婚式でどんな顔していた? | ||
変な顔してなかった? | ||
祝福したい気持ちと、やるせない気持ち。 | ||
苦しいよ。 | ||
誰か助けて。 | ||
『・・・さん』 | ||
『・・さん ・・・さん』 | ||
心地よい声、誰? | ||
そっか、君か、君だよね? | ||
ゴメン、まだ目が開けられない。 | ||
変わった子・・・ | ||
観光客なのに、全然観光してないみたい。 | ||
私なんかにつきまとって、時間を無駄にしている。 | ||
でも、今日呼び出したのは私。 | ||
私のために、ここまでつきあってくれた。 | ||
何か嬉しいな。 | ||
でも何故? | ||
何故、君だったんだろう? | ||
君じゃないと、いけない感じがした。 | ||
ねぇ、君は知ってるの? | ||
私たちが初めて会ったのは、札幌駅の屋台じゃないんだよ。 | ||
実は、小樽運河なんだ。 | ||
私は憶えているよ。 | ||
あの時、君と一緒にいた可愛い子は誰? | ||
『お兄ちゃん』って行ってたから妹さん? | ||
はは、また私、聞けないでいるね? | ||
自分のこととなると、臆病になるみたい。 | ||
でも・・・今度は・・・ | ||
ねぇ、もしかすると落とし物は以外に近くにあるかもね? | ||
綺麗な花が咲くかは、つぼみの今はまだ分からないけど。 | ||
花が咲くよう私、育ててみようかな? | ||
この目を開けたら・・・きっと。 | ||
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