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◆◇◆ 夢 ◆◇◆
〜 小さい私 〜

夢を見たの。
とても不思議な夢。

メガネをかける前の小さな私。
側にはお母様がいるの。
小さい頃に家族で出かけた、何処か遠くのお店屋さん。

私、泣いてた。
いっぱい、いっぱい泣いてた。
悲しいわけじゃないのに、何故か涙があふれて
たくさん、たくさん。
お母様は何も言わず、優しく私の背中をなでててくれた。
温かい手。

何処かで見失った本当の私。
まだ何処か胸の奥の方にいる、寂しがり屋の私。

いつも意地を張っていた。
本当の私を隠して。
素敵な人になりたくて、その人の真似をして。
いつの間にか、自分が素敵になることを、
その人を演じる事と錯覚していた。
本当の私を見られてがっかりされるのが怖かった。

怖い。
そう、傷つくのが怖くて人を避けていた。
誰もいらない、立ち入らないで。
おねがい、おねがい・・・
でも寂しかった。
優しくして欲しかった。

私は、まだ泣いていた。
いつまでも、いつまでも。
泣きやまない私。
何かを伝えようとして。
でも小さい私は言葉が出ない。
ひたすら、ひたすら泣きつづけるだけ。
何を伝えたいの? 誰に伝えたいの?
もしかして、夢を見ている今の私?

不思議な夢。
こんな夢を見たのは、あの人が現れたせい?
どんな格好悪い私を見ても、瞳をそらさず、優しく接してくれた。
今までの誰とも違う、あの人。

だから、もう少しで私、変われるような気がする。
あと少しの勇気で、本当の自分に戻れる。
演じた笑顔じゃなくて、私だけのとびきりの笑顔で。
あなたに、おはようって。


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