・・・夕焼けの赤。
大好きだった父の色。
いつの頃からか私、
あの色を表現することで、父に逢える気がしていました。
ペンダントが割れました。
とても大切なモノです、とても悲しくて...
でもそこには、父が残してくれた「夕焼けの赤」の成分表がありました。
・・・父は、私が同じ道を歩むことを知っていました。
涙がたくさん出ました。
とても嬉しくて、胸の奥が熱くなりました。
私、また父に会うことが出来たんですよ。
成分表に書かれていたものを見て、とても驚きました。
すでに私が試したことのあるモノです。
もう、日本に来てたくさん時間がたちます。
あの色を表現したくて、私たくさん勉強もしました。
だから「夕焼けの赤」に似た色が出来たこともあります。
とても似ていますが、でも幼い頃、父が見せてくれたモノと
それはどこか違っていました。
そう、それまでの私は「夕焼けの赤」にこだわって、
配合や技法ばかり追いかけていたのです。
でも「夕焼け」は、楽しかった1日と別れるさみしい気持ち、
その楽しかった1日に感謝する気持ちを与えてくれます。
この2つの反対の気持ちが、この色を切なくて、
そしてやさしく、あたたかい気持ちにさせるのでしょう。
そして父は、家族への思いをこの色に込めたのですね?
私の「夕焼けの赤」に足りなかった最後の成分は、
「気持ち」だったのです。
私、がんばります。
父の「夕焼けの赤」に負けないよう、
そして、新しい私だけの「夕焼けの赤」を表現するために。
|