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◆◇◆ 手紙 ◆◇◆ | ||
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気だるい秋の日の午後、学校から戻った僕に一通の手紙が届いた。 ************************************* 久しぶりだな。 元気にしてるか? 私は、元気だ。 それと店の方も、まあまあかな? あ、それと勉強、がんばっているか? 私は、ぼちぼちというところか。 一緒の大学受けるんだから、合格すれば、来年は一緒だもんな、 そう思うと、もっと頑張らないといけないな。 うーん・・・、今思うと、もっとまじめに学校に行くべきだったと思うよ。 特に今、英語がちょっと苦戦している。 困ったことがあったら、何でも相談しろって兄貴は言ってくれるけど、 わからない所を聞こうにも、ほら、あいつ「伝説の不良」だろ? 何しろ野望が「留根算酢」だからな。 だから分からないところがあると、兄貴じゃなく、清美さんに教えてもらっている。 彼女、教え方うまいし、いろいろ知っているよ。 ホントになんでこんな女性が、バカ兄貴に...って思うよ。 私も、おまえが側にいれば、教えてもらいたいんだが、きっと話ばかりして 身にならないんだろうな。 もし、大学に一緒に受かれば、来年からはいつでもできるからな。 今は我慢することにする。 話は変わるけど、今年の冬はこっちに来るのか? なぁ今年も、ホワイトイルミネーションを見に来ないか? カウントダウンでもクリスマスでも良いぞ。 予定は空けておくからさ。 受験の追い込みで、本当ならこんなことしている暇はないのかもしれない。 けど、夏に会ったきりだからな。 それにたまには息抜きも、必要だろ? 前も言ったかもだが、うちクリスマスはしない主義なんだ。 でも今年は、おまえが来てくれるならやってみても良いかなって思ってる。 (ばっ、バカ! 変な想像するんじゃない!) ただ、普通クリスマスってどんな事をするのか知っておくのも悪くないかと 思っただけだからな。 言いにくいけど実は、プレゼントも用意してるんだ。 え?何かって? 中身は...そう、まだ内緒だ。 来てからのお楽しみ。 ほら、プレゼントはその方が楽しくないか? 兄貴も清美さんもおまえが来ることを楽しみにしているぞ。 でも、一番楽しみにしているのは私かもな? ほんと、会いたいな。 またチャーシュー、おまけしてあげるからさ。 絶対、来いよ! じゃぁな! − 葉野香 − 追伸: 今年は手袋は買うなよ! 何故って? 特に深い意味はないんだ。 ...だから、そう、あまり考えるな。 ************************************* 手紙は、札幌の葉野香ちゃんからだった。 彼女も今、受験勉強、頑張っているみたいだ。 僕も彼女に負けないよう、もっと頑張らなくては。 手紙の中の彼女は、あの時とあまり変わっていない感じがして、嬉しかった。 不思議なもので距離が離れていても、お互い考えていることは似ている気がする。 まだ彼女には内緒にしているが、既に北海道に行くことは決めてあるんだ。 けれど、あの追伸... あれじゃ「今、手袋編んでいます。」って告白しているようなもんだよ(笑) でも葉野香ちゃんらしいよ(笑) ま、そんな不器用で一生懸命な所も、彼女が好きな理由の一つだけどね。 だから、これは彼女のためにも気が付かなかったことにしておこう。 あぁ、早く彼女に会いたいな。 |
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