[ RETURN ] | ||
◆◇◆ 「想い。 〜 White Illumination 〜 」 ◆◇◆ | ||
---|---|---|
僕は知らなかった。 3年前のここで、そんな出会いがあったなんて... : : : 7月も残すところあと数日、僕は落ち込んでいた。 そんな時だった。 3つ上の先輩が、気分転換に旅に行ってきたらどうだと勧めてくれた。 「1人になりたいんです。 ほっといて下さい。」 「でもな、今のお前、昔の俺を見ているようで放っておけないんだ。」 「ぼくは、もう・・・」 「それなら、しばらく旅に出てみたら? もうすぐ学校だって休みに入るわけだし、 まぁ、サークルの方は、俺とあいつでなんとかしておくから。 ちょっと気分転換のつもりで行ってこい。 旅先で1人感傷に浸るのもいいし、新たな出会いを求めても良いんじゃないか? 失ったものは、もう戻らないかもしれないが、それと同じ、 いや、それ以上の何かに出会えるかもしれない! 決めるのはその後でも遅くないんじゃないか?」 「先輩・・・」 実際、僕は学校を辞めるつもりでいた。 でも決して目立つことのない何処にでもいるような僕を、 先輩がそこまで心配してくれてたなんて、正直驚いていた。 そして、先輩はゆっくり話してくれた。 先輩も落ち込んだ時期があって、母親の勧めで旅に出たこと。 そこで感じたこと、今の彼女に出会ったこと... 「ま、お前のことだからな、後は自分で決めるしかないんだけど、 少しゆっくり考えて見ろ。」 そういって先輩は、帰っていった。 僕は家に帰り考え、その夜、先輩に電話をした。 「決めました。 旅に出ます。」 「そうか、いろいろ見て、考えてくるといい。 こっちのことは心配するな。 で、何処に行くんだ?」 「北。 北海道に行って来ます。」 「そうか、北海道か・・・」 「先輩、どうかしたんですか?」 「いや、こっちのことだ。 で、出発はいつだ?」 「明日の昼過ぎの飛行機で行きます。」 「そうか・・・わかった。 見送りは行けないが、自分が思うようにやってこい。」 そして、今、僕は飛行機の中にいる。 まだ知らない何かを求め、北の大地を目指して。 〜 序章 Fin 〜 |
||
[ RETURN ] | ||