アンドロメダ座の巻




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アンドロメダ座は、古代エチオピア国の王ケフェウスと王妃 カシオペアの間に生まれたたいそう美しいお姫様を星座にしたものです。
でも、星座のその姿は両手を岩につながれ、恐怖におびえているという可愛そうなもの。
どうしてそんな姿になったかといえば、もともとは王妃カシオペアが娘の美しさを自慢するあまり 「海の妖精たちより美しい」といってしまった(別の本ではカシオペア自身の器量を自慢したとある。もっと 悪い!)。それを聞いて怒った海の神様は、娘のアンドロメダを海獣「化け鯨」のいけにえにしないと 許さないと申し付けた。
泣く泣くアンドロメダ姫を鎖で海岸の岩に縛り付け、やがてやってきた化け鯨にあわやひと飲みにされよう としている姫の、その思わずかたずを飲んでしまう瞬間が星座になっているというわけ。
もちろん、このあと魔女メデューサを退治し天馬ペガサスに乗って帰る途中のペルセウスが、すんでのところで姫を 助け、二人はめでたく結婚・・・めでたしめでたしとなるのですが。

この星座には、「アンドロメダ大星雲」(=M31 右の写真)という星座よりも有名な大スターの星雲が ありますが、これは銀河系に最も近いお隣の渦巻き銀河(島宇宙とも言う)です。場所はちょうど姫のひざ あたりにあって、少し暗い空なら肉眼でも雲のように見ることができます。もちろん名前は星座の名前、正 式には「M31」または「NGC224」と言うのが「学名」です。
この星雲、有名なだけあって観望会でも「ご指名ナンバーワン」なのですが、小さな望遠鏡で見ると少しが っかりされてしまいます。そのわけは、ボンヤ〜リウッスラ見えるだけで、図鑑に載っている写真のような 「大星雲」には少しも見えないからです。


この星座には、もうひとつ「全天最美の二重星」といわれる星があります。姫のかかとにあるγ星がそ れで(左の写真。ページのあちこちにも置いてあります)濃いオレンジとブルーのペアです。確かにその明 るさと濃い目の色の対比は、豪華で「全天最美」にランキングされるのにふさわしい見事さです。


人騒がせな星雲(その1)M32
アンドロメダ大星雲(M31の写真参照)は、さすがに大きいだけあって、そばにM32、M110(NGC205)という「お伴」の星雲(島宇宙)をふたつ持っています。 (水戸黄門と助さん角さんみたいな関係?ちなみにわが銀河系も「大マゼラン雲」と「小マゼラン雲」と言 うふたつの島宇宙を伴星雲として持っています)
この二つとも小さな望遠鏡でも見つけることができるのですが、私が高校生時代に手作りの望遠鏡で はじめてこのM32を「発見」した時には、「ひょっとして新彗星を見つけてしまったのでは!」と、一晩 眠れなかった思い出があります。
何せ、私たちの世代は、池谷さんと関さんという偉大な彗星発見家に触発されて星に興味を持ったものが多く、 また、星を見ていると、ほとんど誰からも「新彗星を見つけるのか?」といわれたものでした。 そんな時分に駆け出しの天文少年が、やっと視野に入れたM31のそばで、小さな核を持った彗星そっくりの天体を 見てしまったのですからもうたいへんでした!

【訪ね方】M31のすぐ近くでふたつの星とともに小さな三角形を作っています。


人騒がせな星雲(その2)NGC404
もうひとつ「彗星状天体」を「発見」して大騒ぎをしたお話。
1985年ごろ、当時大流行し始めていた「ドブソニアン式望遠鏡」を作ろうと、30pというお盆みたいに 大きなレンズを買いこみ、ついに完成させ、夜な夜な筑波山でその驚異的な集光力に酔いしれておりました。
何せ、当時、写真でしか見ることができないといわれていた星雲が、正に「写真のように」見え、また、どの星にも「色がある」 のが分かるのですからたまりません!
その晩も、美しい二重星γ星の色を堪能しようとしたのですが、間違えてβ星を見てしまったのです。 もちろんすぐに間違えたことには気がついたのですが、ふと見るとそばに小さな「彗星状天体」!
手元に星図がなかったので確認のしようもなく、友人と「こんなところに星雲あったっけ?」と代わる代わる覗き、 とりあえず、その友人にライトシュミットカメラという天体用カメラで写真を撮ってもらいました。
もちろん、翌日星図を見てふたりで大笑い!・・・・・でもあの時も結構マジになっておりました。

【訪ね方】β星のすぐそばにあります。β星の明るさが邪魔で少し見えにくい時もあります。






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