やぎ座の巻



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やぎ座は夏の終わりを知らせる星座です。
夏の南の空も、銀河系宇宙の中心方向を示すように闇黒星雲が入り乱れカラフルな星雲星団に飾られたいて座の 空域が、後に続くこのやぎ座の空域に入ると、突然何もないようなまばらな星空に変わります。
でも、そのおかげでこの星座の形の特徴であるナプキンを折って作った三角か、生八橋の三角形のような 少しグニャッとしたやわらかな三角形が夜空に浮かび上がるのかもしれません。
この星座の姿は、星座絵で見ればおわかりのとおり、上半身はヤギですが下半身は魚という変わったも のです。どうしてこんな姿になったかというと、ある日神様達が川のほとりで酒盛りをしてい たとき、突然襲ってきたティフォンという怪物に驚いて、めいめいが得意とする姿に変身して逃げたの ですが、パーンという牧場の神様は、ヒツジになって走って逃げようか、魚になって川を泳いで逃げよ うか迷ってしまったため、こんな姿に変身してしまったのだそうです。そして、その姿があんまり面白 いので、神様達が面白がって星座にしてしまったという、多分に喜劇めいていて笑ってしまうお話にな っています。

写真の星座のつなぎ方は、冒頭にお話したような三角形が一般的なのですが、少しでもヤギ座らしくな るようにつないでみました。

それでは、この星座のすみっこで見つけたたちをご紹介しましょう。



夏のなごりの“にぎやかさ”=α〜β界隈
ここは、星座の西のはずれ。ちょうどヤギの頭の部分にあたります。
肉眼でも、なんとなく星が集まっている様子がわかると思いますが、7倍くらいの双眼鏡で眺めると、 明るい星ぼしが同じ視野の中に入ってきて、なかなかのにぎやかなさです。ちょうど、秋の初めの残暑 のような、あるいは秋祭りのようなそんな感じのする空域となっています。
それから、この中のα星はふたつの星で構成されているのですが、これらふたつの星も、望遠鏡で見る とさらにふたつに分かれる、いわゆる「ダブルダブルスター」です。この種類で有名なのがこと座のε ですが、こちらも注目の星のひとつです。


触覚を持つ球状星団=M30
今度は東のはずれ、41番星の西にあるM30という球状星団です。球状星団は、名前のとおりまんまるでギュッと星が 密集した星団ですが、こちらのM30は、いくらか団結力が弱いのか見た感じ星がまばらに散らばってい る感じがします。球状星団はみな同じような形をしていて個性がないのが特徴なのですが、M30はちょ っと個性的。それは、ちょうど昆虫の触覚のように北側に二本の星の列が続いているからです。




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