☆かみのけ座の巻☆
かみのけ座は、名前の通り髪の毛の星座なので、星がゴチャゴチャッと集まっているだけで、これといった形はありません。
古代エジプトのお后様が夫の戦勝を祈願して、美しいことが自慢の自分の髪を切って祭壇に供えたものだとか。
帰ってきた王様。きっとびっくりしたでしょうね。有り難がるまえに・・・。
この星座を作るのは、散開星団という星の集団で、おうし座の顔を構成する「ヒアデス」星団に次いで、私たちに近い大きな星団です。
この星団の南、おとめ座との境界付近には、数え切れないほどの系外星雲の記号が書かれていて、いちどは望遠鏡を向けたくなってしまいます。
でも、残念ながら小さな望遠鏡ではなかなかきびしいものが多いようです。が、大きな望遠鏡を覗いたときには、ぜひ見てみてください。それこそウンカ(浮塵子と書くんだって)のように系外星雲が見えてきますよ。
でも、つい系外星雲に目がいってしまうこの星座ですが、ほかにも見所の多い星座でもあります。
あ、その前に、まずは肉眼と双眼鏡で、この星座(星団)をしっかり楽しんでくださいね。
☆宇宙に咲いたマツムシソウ=球状星団M53
球状星団というのは、散開星団と同じ、銀河系の中にある星の集団なのですが、散開星団が星をばらまいた感じなのに比べ、球状星団はおにぎりのようにぎゅっと固まった感じです。
また、見かけの大きさの違いはあっても、皆中心に向かって密集したきれいな丸い形をしていて、あまり個性がないのも特徴です。
このM53は、集光した球状部を、やや大粒の星がパラパラッと大きく取り囲むようにばらまかれているのが見えます。
この球状星団を見て、最初に連想したのが、秋の野山で見られ、時々お花屋さんでも園芸種が売られている「マツムシソウ」の花でした。
実際、あとで天体写真集で見てみたら、星がきわめて少ない空域に見えているため、よけいそのように見えることが分かりました。(写真はデジカメ使用)
【訪ね方】星座の南西のはずれにあるα星の北西1.5度ほどのところにあります。
☆M53の北に広がる名無し星団
M53のすぐ北から西に向かって、5個ほど暗い星が並んで群れているのが星図でも分かると思います。
これを双眼鏡で見るともう少し星の数が増え、ばらついた星の集団という感じに見えます。特に星団ということでもないらしく、またそれほどたくさんの星があるわけでもないので「たまたま」というこのようです。
☆黒目星雲=M64
Mナンバーを持つ系外星雲ですが、こんな変な名前がついているのはなぜでしょう。
実は、写真に撮ってしまうと一目瞭然なのですが、中心部の近くに細長い暗黒星雲(光を通さない濃いガスの雲)がありまして、これが黒い「目玉」の正体です。
肉眼で見ると、写真のように細長い姿は分からず、ただ雲の中心付近にぽっかり穴があいたように見えます。
きっと、この肉眼で見たイメージが「黒目」と呼ばれはじめた所以(ゆえん)なのでしょう。
【訪ね方】α星から、星座中心に向かう途中にある35番星のそばにあります。ちなみにこの35番星は、青くて暗い星を伴った濃い黄色の星です。
☆こちらもきれいな二重星=24番星
星座南部にある5等星。濃い黄色と水色の離れた二重星で、小さな口径でも楽しめます。大きな口径では、より濃さが増して見えるその色をお楽しみください。
☆空に浮かんだ“針”=紡錘状星雲NGC4565(左の写真)
「紡錘」って言っても、若い人はわかんないよね。機織り(つまり布を織る)の時横糸を通す30pくらいのスポーツカーみたいな形の道具なのです。
でも、「シャトル」って言ったら分かるでしょ?。そうスペースシャトルのそれ。行ったり来たりするところからその名前がついたようです。
この星雲は、ちょうど銀河を真横から見た状態を示しています。望遠鏡で見ると、本当に針のように細く、しかし明るく見えます。
【訪ね方】星座中心部の西のはずれにあります。
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