ふたご座の巻





星占いでは5〜6月生まれの星座ですが、いちばん見やすいのは2月3月頃でしょう。
この星座はギリシャ神話に出てくる双子の勇者カストルとポルックス (九州の英雄宗兄弟みたい!そして若貴兄弟みたいに弟のポルックスの方がすこし大きい(=明るい)。
この星座は、西の地平に沈むときすっくと立ち上がった姿になります。そしてそのまま足元から沈み はじめ、最後に主星カストルとポルックスも仲良く、ほぼ同時に地平線に沈んで行きます。でも、この 双子の兄弟、じつはあまり似ていません。お兄さんのカストルは寒色系、弟のポルックスは暖色系と、 それぞれ別の色をしています(写真)
また、この星座の足下を銀河が流れているので、たいへん星が多いのに驚かれると思います。そしてそ の星の分布が一様ではなく所々くらい部分があるのが分かりますか?実はこれ、暗黒星雲と呼ばれるも のなんです。

ふたご座の立ち姿が夜半の地平に見えるようになると、春も間近。少しうれしい星座でもあります。 (本城美智子さんはエッセイ集「プライベートな星空」〔誠文堂新光社〕で、そんなこの星座について 素敵な一遍を書いています)
この星座には、M35やモンキー星雲(ホントに写真に撮ると孫悟空の顔をしてる!)など豪華な見物 がたくさんあるので、それだけマイナー達の影はいっそう薄いのです。



カストルがつけた ガーネットのピアス(45p、179倍)
カストル(写真)は、時々緑色にも感じる青い色の超有名な二重星。むかし「これが分離できな ければ返品せよ」なんて豪語した望遠鏡メーカーがあったくらい近接していましたが、今は5pでもら くちん。理由はホントに一緒に生まれた回りあってる双子の星なので、見かけ上くっついたり離れたり して見えるからです。
でも今夜はそのすぐ近くで小さく光っている赤紫色の星に気づいて欲しいのです。青い瞳の女の子がつ けているのはガーネットのピアス?それともネックレス?。30p以上の口径で楽しんでください。

【訪ね方】カストルは双子座のα。それが視野に入れば見えているはずです。時々どっちがカス トルだかポルックスだかわからなくなったりします。そんなときは「向かって右側の青い色をした方が カストル」「向かって左側の黄色い色をした方がポルックス」と覚えましょう。



今夜も、ぴったりくっついて離れない恋 人同士=Σ1037(45p、265倍)
Σ1037もカストルと同じ二重星。でもこちらは片時も離れたくない恋人達のように、ぴったりくっ ついて離れ二重星。なんだかチョッピリヤキモチを焼きたくなるようなペアです。

【訪ね方】ポルックスとイプシロン(ε)のちょうど中間。ポルックスから東(足下側)にた どるといいでしょう



光度差の大きな二重星=δ(デルタ)とκ (カッパ)(45p、179倍)
光度(光の強さ)の差があまり大きな二重星は見るのが難しいのですが、このふたつの星はその代表み たいなもの。できるだけ大きな口径で、星のすぐそばをよ〜くさがさないと見落としてしまいそう。
お母さんカンガルーのおなかの袋からおっかなびっくり外の様子をうかがっている赤ちゃんカンガルー ?私には、隠し事がばれて奥さんに怒られて、小さくなってるご亭主にみえたりして・・。(うちは亭 主関白ですから!めったに・・・。あ)

【訪ね方】δ(デルタ)はポルックスの「おへそ」のあたり。
     κ(カッパ)はポルックスの南3度ほど(右の肩)のところにあります。



夜空に漂うケサランパサラン=NGC 2392(45p、179倍)
いわゆるその、惑星状星雲は、むかし大爆発を起こした星の名残なのですが、まわりに球状やリング状 のガスを吹き飛ばすと同時に、中心にはその爆発のおかげでぎゅうっと固められたやたら密度の高い星 が生まれます(消しゴム一個が何トンにもなるような)。そして、それらの星ははたいてい青白い色を しています。
このNGC2392、別名「エスキモー星雲」(今はイヌイットって呼ばないといけないんでしたっけ ?)と呼ばれていて、ほんとうに天文台で撮影した写真を見ると毛皮の縁取りのあるフードをかぶった 人の顔に見えます。
3〜40pで見たこの星雲は、むかし注目されたケサランパサランか、あるいは酢なまこの輪切りのよ うな、(もっとムードのある表現ないの?たとえばタンポポの綿毛とか。あ、それもらった!)青白 い中心星と、それをふんわありと包んだガスが何とも綺麗なのです。
おまけにすぐ近くには、うすい黄色い色をした星があって、その星の黄色と星雲の青のコントラストが またなんとも素敵なんです!

【訪ね方】ポルックスの右手にあたるデルタ(δ)の西南西2度くらいのところにあります。



大口径でしか分からない二枚重ねの星団= NGC2420(45p、179倍)
少し空の明るいところだと、25pくらいで見たこの星団は、なんだかとりとめがないのに、40p以 上の口径で見ると、明るいまばらな星団(星の集まり)の後ろに、うんと暗い星達がムラムラっと見え てきます。それはたまたま遠さの違う星団が重なって見えているように私には思えるのです。

【訪ね方】NGC2392の西2度くらいのところにあります。


ポルックスの脛のワンポイント

この小さな三角形は、70mm14倍の双眼鏡でみつけたもの。
「だからなんだ?」と言い返されたら、もうそれで終わってしまうような、たあいのない星型にすぎな いのですが、三つの星が「チマッ」と寄り添っているようすに、「いじらしさ」のようなものを感 じてしまうのは私だけでしょうか?。

【訪ね方】ポルックス(向かって左側)の足元に光るξ星からたどります。



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