うみへび座の巻




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うみへび座は、名前の通りながいながい星座です。頭は冬の星座 子犬座と接し、しっぽは夏の星座てんびん座と接しています。(写真では、たくさんの星座の間を縫っている様子を見てください。尾の部分がもう少し写真の外に続きます)
それにしても、わざわざこんな長い星座を作ったのには、何か訳がありそうです。

この海蛇、ギリシャ神話では別に海にいたわけではなく、沼にすむ「水蛇」だったとか。頭が九つもある うえ、ひとつ切ってもすぐに新しいのが生えてくるという、日本のヤマタノオロチ顔負けの怪物です。

頭からアルファルドにかけて、小さな星がゆるく曲線を描いて連なっている様子は、やはり「ヘビ」 を連想させるのに充分です。現代の光害のある空では、これらの暗い星の連なりは見えにくいのですが、 大昔、まったく光害のない夜空を仰いでいた、現代人よりはるかに「夜目」がきいたであろう羊飼い達 には、きっとこの星列は、見えていたと思います。



孤独な星=アルファルド(α星)
うみへび座の主星(α星)は、まわりに明るい星がなく、ひとりぽつんと輝いている様子からアルファルド=孤独なるものという名前がついています。
赤っぽい色は、やはり地味で「孤独」さに拍車をかけているよう。
名前といい、姿といい、ニヒルで格好良く感じたので、自作の望遠鏡にはこの名前をつけていました。
わたしは、冬の大三角形を造るみっつの1等星のからオリオン座のベテルギュースを除き、残る大犬座のシリウス 子犬座のプロキオンと、このアルファルドで造った三角形を「早春の大三角形」と呼んでいます。



清純な凸凹コンビ=ε(イプシロン)星
うみへびの頭のてっぺんにあるこの星は、きれいな青白色の二重星。
けれど、明るさの差が大きいのと近くにあるのとで、暗い方が少々見えにくい。凸凹コンビとか蚤の夫 婦とかいろいろ言われるけど、とにかく仲がいいのがいちばんだよね。





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