2003年石川町スターライトフェスティバル報告

<< 驚異のTOA双眼にカンパイ(完敗?)!>>



  10月3〜5日、福島県石川町で開催された石川町スターライトフェスティバルに、昨年に続いて マツモト式双眼望遠鏡15cmF8=自動追尾を持って参加した。

<聳え立つ20cmF15屈折赤道儀!!>

  「今年は例年より企業参加が多い」と聞き、良い場所が取れないのでは・・・という不安がよぎった。居ても立ってもいられず、急遽3日の夕方家を出て、夜道を会場に急ぐ。
  会場に到着して、昨年居座った場所をと見ると、今年は会社のブースのテントが。そして、その隣りは…と見ると何やら巨大な望遠鏡が…。まさかと思い目を凝らすと、それはまさしくうわさに聞こえた「チタニウム鏡筒」の20cmF15屈折望遠鏡!。(写真右)こんな凄いのと張り合うのかと思うとすっかり戦意が喪失してしまった。

<少しはいい気分>
  ところが、自分でも不思議だが、気がつくとそのチタニウム20cmのすぐそばに陣取って望遠鏡を組み立てていた。そしてしばらくして、ナント20cmのオーナー氏(?)とそのお仲間の御訪問をいただいた。(実は、その時点では知らなかった)月もほとんど沈んで、きれいな星空が広がる中、網状星雲だのスバルだのHXだの、ハデなところを御案内し喜んでもらった。
  また、私もチタニウム20cmを訪問。その隣りの「超高品位16cm反射鏡筒+赤道儀」北軽井沢観測所の大久保さんによる全自作=写真左)の見え味を堪能させてもらった。
  20cm屈折で見るHXの星像の小ささやピントの合わせやすさ、また16cm反射とその赤道儀の「常識」を全く覆す設計思想と合理性に、やはり肝を抜かれてしまった。
  一方、私の自動追尾EMS双眼望遠鏡も、それなりに結構お客さんが多く、昨年同様いい気分を味わった。

<「双眼望遠鏡大通り」>
  今年「場所取り」にこだわった理由は、「星ナビ」誌に「双眼狂闘病記」を執筆中の小田さんと「双眼装置vs双眼望遠鏡」徹底比較観望会をやろうと言うことになっており、彼の所属する「白河天文同好会」のスペースも確保したかったからだ。彼氏のフジノン40×150ED双眼、シュワルツ150+双眼装置、そして私のシュワルツ150双眼望遠鏡を並べ、小田さん所有の数々の名双眼鏡を織り交ぜた双眼鏡談義を伺う、という目論みである。
  そこに思わぬ「珍客」。少し離れたところで見たような架台を組み立てている人がいる。メガネのマツモトの15cm用大型架台である。「松本さんの双眼望遠鏡ですか?」。「はい」。「まさか、TOA双眼の方じゃあ?」。「ええ、そうです」。「え〜!!!」。そう!あのタカハシのTOA130でEMS双眼望遠鏡を作ってしまったジローさんその人だったのだ!!
  さっそくお願いして、私達の「列」に加わっていただくことに。ジローさんのTOA双眼望遠鏡とテレビュー85双眼(これも高品位)が加わったことで、「双眼望遠鏡大通り」が石川町SLF会場のど真ん中に出現した。それはそれは壮観な眺めであった。

<TOA双眼にカンパイ(完敗?)!>
  しかし、私と小田さんが、ジローさんに主役を奪われたことに気がつくのに、そう時間はかからなかった。
  ギャラリーさんの流れはTOA双眼に集中し、外から見ると双眼鏡が見えないで、質問攻めにあっている長身のジローさんの顔ばかりが見える。見終えた皆さんは口々に「凄い!」といいながら、私達の双眼鏡の前を素通りして行く・・・。あのウルサイ小田さんも半ば放心状態で「あんなもの見せられちゃあ…」と言葉にならない。
  行列待ちでやっと覗かせてもらった感想は、合焦の抜群のしやすさとマツモト架台のスムースさ。ピントの山なんて捜す必要がない。ただ一点しかないのだもの。また、架台のスムースさは、私も最初からこの架台だったら「自動追尾」には走らなかったかもしれない・・・と思ったほどだった。
  まさしく、TOA双眼にカンパイ(乾杯!完敗?)!・・・である。

 写真は、夕方の「星ナビ」誌の取材風景。中央が小田さん、その向かって右がジローさん、双眼鏡に手をかけているのが星ナビ記者氏。思いもよらぬ「特ダネ」をつかんで満足そう?

<「双眼装置vs双眼望遠鏡」と「自動追尾」について>
  最後に、すっかり「日陰の存在」になったこちらの結果と反応について。
  「双眼装置vs双眼望遠鏡」は、結果はお互い承知の上なのだが、今回の火星のように非常に輝度の高い対象の場合、双眼装置の方が見やすいということがわかった。また、シンチレーションが非常に悪い場合、双眼望遠鏡では左右の像の合致が困難になることが起こる事もわかった。ただ、これは双眼鏡が、左右で異なる画像を見ていることと、それを頭の中でコンポジットしていることの証明であり、「欠点」という意味ではない。

  また「自動追尾」については、形態の奇抜さに目が行って「ただの目立ちたがり」と見た人も多かったようだ。しかし、常々必要を感じていた人には、「手軽に夢に手が届く」アイデアであると誉めてもらえた。実際、沈んで行くお月様を240倍で、かなりの数の方にそれぞれ目幅を合わせ、ピントを合わせながら見てもらったが、その間、視野を修正することは全くと言って良いほどなかった。低倍率では、皆さん全く手を触れずに眺めているにもかかわらず、「追尾している」ことに気がついていない人が多かった。

 写真は、今回持ちこんだシュワルツ150+NJP使用自動追尾架台。(木工の粗雑さが恥ずかしい!)うしろのHF経緯台とはネジ一本の付けはずしで、数分で載せ換えできる。覗いてくれているのはチタニウム20cm屈折鏡筒の製作者の加藤さん。(大久保さん撮影)






 2002年石川町スターライトフェスティバルにて

<< 静かな、しかし熱い視線を浴びてきました。>>



  2002年10月4〜5日福島県石川町で開催された石川町スターライトフェスティバルに、 マツモト式双眼望遠鏡15cmF8(新型)を持って参加してきましたので報告します。

<となりにフジノン40×150が!!>
  私が陣取ったのはメインステージに近い場所。ところが、しばらくすると「星ナビ」が 持ってきたフジノン40×150が私の15cmF8双眼望遠鏡のとなりにド〜ンと置かれました。 どうも記事にするための「双眼鏡勝負」を挑まれたようです。確かに広い会場を見回しても、 大型双眼鏡は私のとこの二台の他は宮内光学のブースにある141oのみ。フジノンはニコンの ピラーに載って頑強そのもの。しかもEDレンズ。今から苦戦が思いやられます。さらに気が付 いたらミードの125oEDや常連の45pドブソもそばに置かれ、我が15cm双眼望遠鏡は ずいぶん目立たなくなってしまっておりました。

<遊びにゆけない!!>
  ところが、セットするとすぐ、ぽつぽつと訪問者がやってくるようになり、木の梢を見せたり、構造を 説明したりと少し忙しくなってきました。
  さて、夜、運良く空は晴れてきれいな星空。昼の訪問者が、ひとりまたひとりと再訪問にやってきます。
  夜半はペンタックスXL40oを付けた30倍でアルビレオや二重星団を見せました。ところが、皆さん 覗き始めると黙ってしまって何も言ってくれません。ひょっとして見えていなくて困っているのではと、 恐る恐る「見えますか?調整はこことここですから適当にいじって構いませんよ〜」と話しかけると、 やっと「イヤ〜凄い・・・」というため息混じりの返事。ふつうちょっと覗いて「よく見えますね〜」と言って 立ち去るのが観望会のパターンなのですが、この望遠鏡の場合は様子が全く違います。
  さらに、「親子星座教室」という企画に集まった家族連れの皆さんがやってきて、周りの望遠鏡を代わる代わる 覗いていましたので、私も「双眼鏡は素人さんには、覗くのが難しいかな〜」と思いつつ、「ちょっと見てみますか?」 と薦めました。すると覗いたお客さん、しばらくして突然「ワッすっげ〜」とでかい声を連発。たちまち他の望遠鏡の 列のお客さんまで移ってきてしまい、よそのお客さんを横取りしたようなちょっと顰蹙を買う一場面も。このときお客 さんたちが見ていたのはアルビレオでしたが、無数の微光星をバックに青とオレンジのペアがぽっかりと浮かび、さらに 色の遠近感によってふたつの星が違う距離に見えるという、それはそれはすばらしい眺めでした。
  夜半をすぎるとますます澄んだ空になりましたが、夜露もかなりひどくなり、店じまいした望遠鏡も目立って きました。しかし、夜露でいくらかにじんだような像になってきた私の双眼望遠鏡の周りには、相変わらず常時5〜6名の訪問者が 来ていて、二重星団や天頂のスバル、M42、高くなってきた土星などを眺めてゆきます。確かにどれもウットリ するようなすばらしい眺めだったのですが、困ったことに必ず一人が何分間もじ〜っと見入ってしまうのです (中には10分以上も離れなかった方も・・・)。また、それを他の人たちは、私の双眼望遠鏡の話題に花を 咲かせつつおとなしく順番をじっと待っているのですが、自分の番になり望遠鏡を覗き込んだ後は、やはり「じ〜」っと 固まってしまいます。私も気を利かせて「この望遠鏡を覗くときは、椅子に腰掛けてゆっくり覗くと最高に幸せな 気分になりますよ」と椅子を勧めながら言うのも原因なのですが、こんなに効率の悪い観望会はこれまで経験がありません。
  また不思議だったのは「倍率を変えてみましょうか?」と聞いても、「イヤこれでいい」とずっと30倍のまま。 さすがに土星にはナグラーの17o(71倍)に換えましたが、それ以上の倍率は全く要求されなかったことです。

<究極の星見道具を探し求める旅人たちを唸らせる力>
  会場内には40〜50pの市販や自作の望遠鏡がゴロゴロあって、それも、かつての「粗製濫造」の代名詞の ようなドブソとは次元の違う、素晴らしい出来映えのものばかり。当然、参加者もそんな大きな望遠鏡をお目当てに覗いて行きます。
  ところが、私のところにやってきていたお客さんには、そのオーナーさんたちが多く含まれていました。
  高精度ミラーや、大口径を組み込んだ会心の自作望遠鏡。その製作者はいわば「究極の星見道具を探し求める旅人」。 確かに、淡くあるいは小さな星雲星団や惑星の詳細を見るためにトコトン突き詰めてきた結果が彼らの器械には結実して いると言えます。
  そんな彼らをも唸らせる力が、この「小さな」15cmF8双眼望遠鏡にはありました。
  この晩、私の「観望会」が終わったのは、空も白みはじめた午前4時過ぎ。

  翌朝、仲間から「この望遠鏡、今年この会場でいちばん注目されていた望遠鏡じゃないかな」と言われたとき、 無理しても来て良かったとしみじみ思いました。
  あ、そうそう、フジノン40×150との「双眼鏡勝負」ですが、先方が夜露でびしょびしょになり観測不能。 ま、お客さんに楽しんでもらった分で私の「不戦勝」というところでしょうか?

※誤解のないよう念のため付け加えますが、フジノン40×150は、過酷な環境での使用も含め幅広い用途に対応できる極めて 高い剛性や防水性と見え味の良さを兼ね備えた優秀な双眼望遠鏡であり、私の15cmF8双眼望遠鏡と一概に比較できるものではありません。

フードを忘れてしまい、会場で急遽調達!情けな〜

  
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