かんむり座の巻



かんむり座はうしかい座のとなりにある小さな星座です。
ギリシャ神話では酒の神ディオニソスがクレタの王女アリアドネに贈った宝冠だそうです。
いちばん明るいα星は2等星ですが、その純白の輝きから「ゲンマ」(王冠の真珠)というこれまた 豪華な名前が付けられています。
星座絵では南が下(写真では下側)になっていて、星座の領域もかんむりの本体からだいぶ北側 (写真では上側)まで広がっています。きっと、絵に描けないほど(小林幸子も真っ青になるほどの) てんこもりの金銀宝石できらびやかに飾り付けられていたのでしょう。

西のはずれの兄弟星=ηとΣ1932
かんむりのカーブから西側に少しはずれて光っているη星は、橙色の接近した等光の二重星です。それ もかなりの近さで光っているため、二重星だと気がつかないこともあるかも知れません。 このη星とうりふたつ(?二重星同士だから四つ)の二重星がその南側、星座の南西の隅っこにあります。
それがΣ1932星です。星図によっては名前が書いてなく、二重星の記号だけの場合があるかも知れません。
でも、こちらは7等星と、5等星のη星よりはるかに暗い星。それなのに、橙色で、同じ明るさで、チマっと くっつくように光っている姿は、まったくη星の縮小判のようです。


小さな三重星=Σ1964
かんむりのカーブから北に離れた、星座の北西のはずれにあるζ星。その南に小さく光っているのがこのΣ1964です。
この二重星の暗い方の星もまた同じくらいの明るさの二重星。つまり三重星。みっつとも橙色の星たちです。


τ星を含む緩やかな星の曲線(双眼鏡で)
τ星は星座の北側にある5等星です。この星をはさんで左右(東西)に星が連なっているのが星図でも分かると思います。
このような星の連なりは、ほかにも星空のあちこちで見かけることができますが、単なる偶然なのか、銀河系生成に関わる メカニズムによって生じたものなのかはまったく分かりません。でも、私にとっては、綺麗な図形を形作る星の並びとともに、 とても目を惹かれる存在となっています。



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