大熊座の巻






大熊座を知らないひとでも、北斗七星はごぞんじでしょう。
北斗七星はますの部分が熊の腰、柄の部分がしっぽにあたります。 「熊のしっぽ?」。そうです。星座の熊には狸のような長いしっぽがあるんです。 神様が天に上げるときしっぽを持って投げたもんで、短かったしっぽが伸びてしまったとか。
ギリシャ神話ではこの熊、もともとは超美人のお母さん妖精。


日が暮れて星が出そろったころ、北斗七星のマスがひっくり返って見えるようになると日本は梅雨に入ります。

大熊座は大きな大きな星座で、星図には系外星雲(銀河)のマークがたくさんあって目移りしてしまいそう。
事実、M81・82の明るいペアの銀河や、フクロウ星雲(フクロウの顔に見える)、M101銀河など、マイナースターなんぞ見ているヒマがないほど役者が豊富です。
そんなわけでもないのですが、ご紹介するのも少し少な目です。


差が大きすぎるのはつらいもの=σ(シグマ)1星(45p265倍)
熊の頭のてっぺんあたりにあるこの星は、σ2とρ(ロー)星とで小さな二等辺三角形を作っています。
σ1は、白っぽい黄色の星ですが、すぐそばに少し赤みがかかった暗い星があるんですが、分かります?
25pだと、見るのがかなりきついと思います。
偉大な親の子供。秀才の兄を持つできの悪い弟。差が大きいと、つい忘れられがちになるのはどこでも同じ。
なんとか見つけてあげてください。


疎遠なカップル=23番星 σ星の南西にある23番星。これは3重星。いちばん明るい星(A)ともうひとつの星(B)の間隔はもうひとつ(C)に比べれば近いのですが、何となく疎遠な感じ。
BとCは同じくらいの明るさ。AとBが恋人同士だとしたら・・・Cはなに?。。。おじさんがつまらないことを考えてしまう三つ子星。
23番星の北北西7度ほどのところにあるM81と82(左の写真)は、超有名な系外星雲のカップル。こちらは、是非いちどは見ておかなければ損な大スターです。


つま先を飾る星たち=νとξ星
大熊の後ろ足のつま先にある南北に並んだ明るい星がν(ニュー)星とξ(クサイ)星。ふたつとも見やすい2重星です。
ν星は、色の組み合わせが美しい二重星ですが、明るさの差が大きいペアです。
一方、ξ星の方は少し黄色っぽい感じの白い色をした、ほとんど同じ明るさのペア。
大熊は、もとはカリストという名の超美人の妖精ですから、つま先までしっかりおしゃれしていたんでしょうね。きっと。


大スターの受付係=ミザルとアルコア


北斗の柄の先から二番目の星がミザル(ζ=ゼータ)。そのすぐそばに少し暗い星があるのが分かると思いますが、 これがアルコア。昔々のアラビアではこのふたつが見分けられるかどうかで、兵隊さんの目の検査をしたという話は結構知られています。
ミザルの方は、望遠鏡で見るとさらにふたつに分かれる二重星です。(写真左)

ではなぜ「受付係」かといいますと、まず、ミザルとアルコアを結んだ延長線をたどるとゆるやかなS字形に星が並んでいるのが分かると思います。 そのSの最終点の、何もないあたりにM101という全天でも5本の指に入ろうかという大きな系外星雲(銀河)があります。

次に、ミザルから真南に7度ほど行くとりょうけん(猟犬)座のM51というこれも明るい系外星雲にたどりつきます。 これは別名「子持ち星雲」といって、大きな渦巻きの端に小さなもうひとつの星雲がくっついている、おもしろい姿の星雲で、よく図鑑に写真が載っていると思います。
これらの大スターを訪ねる際には、是非このミザルとアルコアもご覧になってください。

ところで、このような系外星雲をときどき注意して眺めていると、星雲の中に見慣れない星に気づくことがあります。そうしたら、それはひょっとすると 「超新星」といわれる星の大爆発かもしれません。
念のため天体写真集などで昔からある星かどうか調べ、もしなかったら天文台に問い合わせてみましょう。
彗星と違って発見者の名前こそつきませんが、全世界に報告され、「新天体発見賞(?)」という賞とご褒美がもらえ、新聞に載るのも確実です。



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