ペルセウス座の巻







ペルセウス座は、古代エチオピア国の王女アンドロメダが、あわや 化け鯨の生贄になろうかというすんでの所を助けた、ギリシャ神話の中では1,2を競う英雄ペルセウスを 星座にしたものです。
ペルセウスは、ダナエという美しい娘と最高神ゼウスとの間に生まれた子どもなのですが、「孫に殺される」 という予言を受けた祖父によってさまざまな苦難を強いられます。そのひとつが魔女メデューサの退治でした。
メデューサがどれくらい恐ろしいかというと、髪の毛がすべて蛇という姿で、そのあまりの恐ろしさに、見た ものはみんな石になって死んでしまうというくらいなのです。
ペルセウスはこの魔女を鏡の盾に映しながら(鏡に映った姿なら石にならないらしい)戦い、首を切り落と したといいます。
アンドロメダ姫を助けたのはちょうどその帰り、ペルセウスは、化け鯨にそのメデューサの首を見せて石に してしまったのでした。
これが縁で、アンドロメダとめでたく結婚したペルセウスは、やがて都市国家ミケーネを建設、生まれた子 どもペルセスは、あの巨大国家ペルシャの王の始祖といわれています。

この星座のβ星は、昔から明るさが変化する星として知られ、不気味な星ということで、悪魔の星「アルゴ ル」と呼ばれています。
星座ではペルセウスがぶら下げているメデューサの首にあたります。恐ろしいメデューサのイメージに ぴったりの星というわけです。
メデューサは、大地を取り巻く海(オケアノス)のさらに先に住むゴルゴン三姉妹のひとりで、三人の中で ただひとり不死身でない体を持っていました。(死ななければならない宿命を背っていた。つまり人間に近かった)
また、彼女は「頬が美しい」事で知られ、海の神ポセイドンと春の牧場の若草の中という理想的なシチュエ ーションのもとで結ばれたというラブストーリーも伝わっています。
私は、このメデューサがとてもいとおしく感じられてしかたがありません。
たぶん彼女は、ギリシャ神話を編んだ国(たぶんキリスト教を受け入れた後のローマ帝国)が他国の侵略に 行った時、大変な苦戦を強いられた相手の国の守り神ではなかったかと思うのです。
「母親は我が子を守るとき鬼に変わる」というように、その国を侵す外敵に対し、メデューサあるいはゴル ゴン姉妹たちは、恐ろしい姿に変身して自分たちを守ってくれると信じられていたのでしょう。
もちろん、普段は美しい女神として、あるいは理想の母として人々から慕い敬われていたのではないでしょ うか。なぜって、そうでなければ、ポセイドンとのラブラブなんてできないじゃないですか。
森に生きる民族にとって、ヘビは森の守り神。その化身こそがメデューサだったと思うのです。そして元々の ギリシャ神話でのメデューサは、偉大で美しい女神として扱われていたのではないでしょうか。
左上の写真はそんなメデューサへの思いを込めてアルゴルの部分をアップしたものです。

逆にペルセウスの方は、このメデューサの首を最大限に活用し、政敵を次々に石に変え殺していったようで、 あのアトラス山脈も、有名な巨神のひとりアトラスが、道に迷ったペルセウスを助けたのに、ペルセウスから 些細な因縁を付けられ、メデューサの首を見せられ岩山に変えられてしまったものといわれています。
英雄ペルセウスって、ホントはとんでもないワルだったようです。


大物スター=ペルセウスの二重星団を連れて 歩く「首なしの怪人」
観望会などで「とにかく星ってたくさんあるんだよ〜」といって見せるもののひとつがこの星座にある
「ペルセウスの二重星団」。 写真をご覧になればおわかりのとおり、ふたつの星の塊が並んでいるように見えるところからこの名前がつ いています。
とにかく望遠鏡の視野いっぱいに大小の星が輝く様子は感激してもらえること請け合いなのです。

でも、ここで紹介するのはこの星団を連れて歩く「怪人」、それも首なしの…という怖いお話。
見るのはできるだけ5cmとか7pの大きな双眼鏡か、望遠鏡なら倍率を20〜30倍くらいに下げてみてく ださい。
二重星団を見るとそこからカシオペア座の方にゆるいカーブを描く星の列が見えると思います。これが「ク サリ」です。そしてそれをさらにたどって行くと漢字の「人」の形の星の並びに気づきませんか?これが足。 その上に星が固まってなんとなく胴体を作っています。が、その上に「首」がありません!
「な〜んだ」といわれればそれまでなのですが、アメリカあたりの星見人たちの間では、空じゅうを捜しま わってこんな楽しい見え方をする星ぼしを見つけるのが流行っていて、紹介する本まで出ているとか。
ちなみに私のこのページも、こんな楽しみ方に共感して始めたものなんです。


小さな繭玉=M76 (できるだけ大口径で!)
星座の北のはずれアンドロメダ座やカシオペア座の境界も近いあたりにφという星があります。(ちょうど ペルセウスが振りかざす剣の先端部に当たります)そのチョット北側にこの星雲はあります。
寿命を迎えた星が、その最後に大爆発を起こした時に飛び散ってできたガスの雲を「惑星状星雲」といって います。このM76もそのひとつ。
でも、この星雲、ちょっと様子が変わっていて、真ん中が少しくびれています。ちょうど「繭玉」のように 見えるのですが…。


見えない大星雲=カリフォルニア星雲
最初にお断りしておきますがこの星雲を肉眼で見るのは大変困難です。
それでもご紹介したいのは、この星雲、写真だととても良く写るからなのです。場所はペルセウスの足元。 写真右のように「すばる」からたどると簡単だと思います。大きさは明るい部分だけでもすばるよりずっと 大きく、暗い部分まで含めるとすばるの何倍にもなるという大きさです。
形は米国のカリフォルニア州の形に似ているからとか。でも、そんな形、私たち外国人にはまったくピンと 来ませんよね。それより「女の子の赤いパラソル」という感じがするのですが、あなたは何に見えますか?。


むらさき色の星=ε星 (これもできるだけ大口径で!)
ちょうどペルセウスの後ろ側の足のひざあたりにある3等星がこのε星。ペルセウス座のα星(=ミルファク)とβ星(=アルゴル)を底辺にした三角形を作っています。
この星は明るさの差が大きな二重星で、口径が小さい望遠鏡だとお伴の星のほうは暗くて見落としてしまうかもしれません。でもこのお伴の星の色にぜひご注目を!。 私の45センチ望遠鏡による診たてではこの星が紫色に見えるのです。
明るくて白い星のそばにある暗い星なので、夜空の色に惑わされて赤い星に青みがかかるのか、その逆に青い星に黒味が着いてそう見えるだけなのか、なんともよくわからない。別の晩に眺めたら別の色に見えるかもしれない。そんな頼りない見え方なので、期待してみたら違って見えたらごめんなさいです。
でも、写真でもやや青みがかって写っているので、私の目もまんざらではないかもしれませんね。(これを紫色と言えるかどうかは問題なのですが・・・。)





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