ろくぶんぎ座の巻




ろくぶんぎ座は、しし座とうみへび座にはさまれた小さな星座です。 (レグルスは、しし座のα星、アルファルドは、うみへび座のα星です)
六分儀は角度を測る道具。主に航海の時、これで星や太陽を観測して自分の位置を知るのに使います。(写真)
もちろん、ギリシャ神話に由来する他の多くの星座と違って、名前からも推測できるとおり、17世紀に作られた新しい星座です。
ある星座の解説本には「形に関係なく作られたようで、たどりようもない」と書かれていました。
でも、実際六分儀(となりの写真)を使ったことがある人なら分かるかも知れませんが、α星を「かなめ」 に、東から南にかけて5〜6等級の星が、ひろげた扇のように円弧を描いている様子は、まさに六分儀とそれに刻まれた目盛のようで す。
陸地から遠く離れた海の上の無公害の星空なら、この円弧はきっと難なくたどれ、未知の海に漕ぎ出し た船乗りたちには、それが、彼らにとって命綱にも等しい六分儀に見えるのはごく自然なことだと思うのですが。(まだ確かめていないので、想像にすぎません。)


小さな主星=α星
とにかくまずは、主星α星を視野に入れてみましょう。わずか4等星の主星。色もごく普通の黄色っぽい白。
目立たない星座の目立たないα星。なんだか自分を見ているよう・・・。なんちゃって。

【訪ね方】しし座のα星レグルスの真南。レグルスとうみへび座のα星アルファルドとの中間あたりにあります。



五角形あるいはとんがり屋根=35番星
星座の北西の隅にあるのがこの35番星。黄色のペアですが、伴星の方は少し暗くて、時に水色っぽく見えたりします。
この星を含めてまわりの星で北斗七星のマスの部分のような、下にすぼまった台形ができます。そして、そのマスの北側にやや離れて暗い星が見えると思います。
この少し頭のとんがった五角形。トンガリ屋根のような、とんがり帽子のような、あるいはクラッシックな万年筆のペン先のような・・・。
見るたびに違ったものに見える☆型です。


小さな十字架=Σ1457
前の35番星の北東、しし座の境界のすぐ近くに暗い二重星の印があるのがお分かりでしょうか?それがこの星です。
望遠鏡で見ると、濃い黄色の少し明るさの違うペアです。そして、この星をいちばん下として、頭を西に向けた十字架が視野の中に見られると思います。
さらに、この十字架の作る菱形の中に、もうひとつ暗い星があるのですが、分かります?

【訪ね方】しし座の48番星と六分儀座の35番星のちょうど中間。レグルスからたどった方が早いでしょう。


実は、ホントは4重星!=40番星
今度は西の境界付近。この星、ほとんど同じ明るさのかわいい黄色の二重星です。
でも、ちょっとまわりを眺めると、少し離れた北側に、もう一組暗〜い二重星があるんですよ。
40番星だからってしゃれてるわけではないのでしょうが、これはまさしく四重星!


影武者にだまされそうな三重星=Σ1441
次は星座の南西。「扇」のすぐ外側にあります。
この星、ちょっと見ると、少し離れて暗い星があるので、予備知識がないと平凡な二重星に見えてしまいます。
ところが、すぐそばに小さな星がくっついていたんですねえ。実は。
離れた星はおとりの星?戦国の世の女の悲しみのような。そんなちょっぴり悲しい気分になる星でした。

【訪ね方】星座中心部の西のはずれにあります。


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