シャトー・ル・カステレ(ポムロール)
Chateau le Castelet (A.O.C Pomerol)

 理知的な紳士のポムロールワイン

 “カリテ・パス・カンティテ”−「質は量に勝る。」 1893年、ベルトラン・ロバンの名言が今でもロバン家のスローガンとして残っている。ロバン家の歴史は古く、1688年まで遡ることができ、8世代前からリブールヌに住みネゴシアン業を営んでいたという。
 オフィスはリブールヌ市中心街のミッシェル・モンテーニュ通りにある。出迎えていただいたドミニック・ロバン氏は白髪でハンサムな紳士で、理知的な風貌である。
 ドミニック氏は父フランシス・ロバンが所有する面積僅か0.78haだけのポムロールの小さな畑クロ・ヴィユー・タイユフェールで父親と共にワイン造りを行っていた。その後、1980年自ら新しくシャトー・ル・カステレを0.7ha取得することになった。(現在は1ha。)この畑は50年程前に葡萄は完全に引き抜かれ長い間野菜畑であった。そしてドミニック氏はメルロだけを植え付け1983年に記念すべき最初の収穫を迎えたのである。


 「ポムロールはメルロ。」ドミニックさん自身もメルロの大ファンである。ムエックスの影響を受け、ペトリュスの醸造責任者ジャン・クロード・ベルーエ氏に学んだと言う。「ペトリュスのように力はないが、良く出来たワインです。」「まるで我が子のようにを育てているの。」と奥様のアルメールさん。ドミニック氏はサンテミリオン・グラン・クリュのシャトー・サンソネ、リュサック・サンテミリオンのシャトー・ブスケなど他に幾つかの畑を所有しているが当然の如くこのポムロールに最も力を注いでいる。
 畑の位置はポムロールの西側を走る国道89号線付近、イポドロームの南西辺りにある。砂利と砂質の土質は決して有利な条件ではない。しかしながら近年のポムロールワインはそのハンディを感じさせないのが多くなってきている。ポムロールのヴィニュロン達の意気込みがそうさせているのであろう。


さて、試飲させていただいたのは5日前に樽から直接瓶に詰めてもらった2001年、1ヶ月前にボトリングが終わったばかりの2000年、そして1999年と1998年の4ヴィンテージ。エキゾチックな2001年、複雑な香りが抜群な2000年、まだ樽が勝った赤ん坊のような1999年、そし少し熟成味が伺える1998年。すべてのヴィンテージに共通することは驚くほどに香り高いワインである。新樽100%使用している割には樽香が付き過ぎずテロワールがストレートに感じさせる。厚化粧された様子はなく本来の土壌に合った品種をそのまま素直に表現されているようだ。
 ラベルに描かれている建物は現在存在しない。幹線道路の工事の為に建物は壊されてしまった。存在しない建物をラベルに載せることはフランスでは認められていないようである。
しかしもともと存在していた建物である為に弁護士をたてて、そして国に税金を払って認められたのである。
 現在18歳になる次女のポーリーヌさんがボルドー大学で醸造学を研究中である。そして彼女が将来このシャトーを引き継ぐとの事である。
 年産僅か4,000〜5,000本の希少ワインは残念ながら日本へは現在輸入されていない。2〜3年前に20ケースだけ日本へ渡ったことがあるという。


 


Back HOME

Copyrights (C) 2002 petrist All Rights Reserved