このコーナーは筆者がMMCのワイン会以外で飲んだポムロールワインを紹介するコーナーです。

最近飲んだポムロールワイン(1)

Chateau Gazin 1958
Chateau la Bassonnerie 1987
Chateau Haut Tropchaud 1996
Clos Taillefer Barreau 1996


シャトー・ガザン1958 2001年2月11日 

さてこのコーナーを思いつきましたのは、やはりこのサイトはタイトル通りペトリュスとポムロール・ワインの内容をもっともっと濃くせねば
なりません。かと言ってペトリュスは、そう何度も何度も飲める訳でもなく、せめてポムロールワインを飲んだときはちゃんと皆様に
紹介をせねば、と使命を感じたこの頃です。
いつまで続くか解りませんが(また途中で挫折するかも知れません)末永くお付き合い頂ける様お願い申し上げます。

記念すべき第一弾はシャトー・ガザン1958年です。
いきなり古酒が出てきましたね。
何かの記念の日のためこのボトルを空けました。
色は意外としっかりとした感じで中心部も濃くてまだまだ健全な感じです。
エッジはもちろん褐色を帯びています。
香は古酒独特の腐葉土とか感じられます。
味は、、、、、やはり物足りないですね。
保存状態は良く、アクシデントがあったときに出会う「糠漬」のような匂いはありません。
軽くて痩せていて、果実味も少なく、1本飲むには、ちょっと飽きてきます。
悪いワインではありませんが、ヴィンテージのハンデですね。これは。


シャトー・ガザン
メルロ90%
面積は24ha
ポムロールのシャトーで面積が広いシャトーの一つです。
90年代初めから一層評価も高まっています。
ペトリュスに隣接する絶好の場所に位置します。
1969年に5haの畑をペトリュスに譲渡しています。











さて、この年ぐらいの古酒になると抜栓が非常に難しくなってきます。
少々経験の積んだソムリエさんでも完璧に抜栓する人は少ないでしょう。
コツはソムリエナイフのスクリューの先端がコルクを突き抜ける寸前までねじ込んで
ゆっくりと、出来るだけ垂直に引き上げるのがいいでしょう。
そして最後まで気を抜かないことです。
失敗するほとんどの場合4mm位でコルクが切れてしまいます。
最悪の場合、残ったコルクが気圧の関係で急激に吸い込まれ、
そしてワインが飛び散って顔にひっかかる場合もあります。
過去のワイン会で古酒特集を行ったとき、結構そんなことがよくありました。
状況によってはスクリューがコルクを突き抜けるまで差し込んだ方がいいでしょう。
小さなコルクの破片が1つ程残りますが、まだこのほうがましです。


シャトー・ラ・バソネリー1987 2001年2月18日 

今日のポムロールは誰もほとんど知らないワインです。
こんなワインを予め知っていた方は相当なポムロール狂の人でしょう。
私は存在のみ知っていましたが日本で売っているのにはびっくりして早速通販で買ってみました。
このラベルは某ポムロールの本でしか見たことがなく、しかもラベルが小さく印刷されていたのと、
もうひとつの異なる本では白黒の写真だったので、
てっきり「X(バツ)印」が描いているのかと思っていました。
ところがこれは楽器なのです。

BASSON(バソン=バスーン、ファゴット)という木管楽器なのです。
ここのオーナーFaisandier(フェサンエディエ)という人は有名なバスーンの奏者のようです。
きっとシャトーの名前はここから来たのでしょうね。

さて、お味は、、、
かなり色も落ち着いた感じ。濃くはないですね。オレンジがかった色で、
ちょっと熟しすぎた果実の風味があります。
タンニンはほとんど感じられません。
1987年は難しい年でしたが早摘みのメルロは難を逃れることが出来た年です。
通常メルロ80%前後使用しているシャトーは結構100%のメルロで造ったシャトーが結構あります。
このシャトーの品種構成はメルロ60%ですがこの1987年はメルロの割合は結構多いと思います。

このちょっと枯れかけのワインは好きな人と嫌いな人と全く両極端に分かれると思います。
1本飲むのは、、、ちょっときついかな。
ゆっくりと暖炉でファゴットを聞きながら飲みたいワインです。

シャトー・ラ・バソネリーは有名な「クロ・ルネ」の近くで面積4haのシャトーです。
価格は\2,580(楽天市場)
ポムロールのワインがこの価格で買えるのは本当に嬉しいですね。


シャトー・オー・トロショー1996 2001年2月28日 

今日のポムロールはメルロ100%の小さなシャトーです。
その畑はペトリュスとトロタノワの中間の、絶好の場所にある、シャトー・オー・トロショー1996年です。
初めてこのワインと出会ったのが1988年ヴィンテージで、ちょうど10年前になります。
その当時、無名の小さなシャトー(面積が1ha程度)を幾つか集めて飲み比べをしました。
その中でこのオー・トロショーが最も抜きん出てて、濃縮した果実味が印象的で、たちまち虜になってしまいました。
まだ野暮ったい感じがあり、もっと新樽使用率を増やした方がいいんじゃないかなあっと思っていました。
その想いが通じたのか、現在は新樽100%使用しているようです。


この1996年を最初に飲んだのは3年前の夏、
リリースされてすぐでした。
そのときはやたらとインクみたいな濃い味で
ポムロールというより野蛮な南仏のイメージがしました。

今回の1996年は、、、
驚きました。約3年という歳月がこのワインに磨きをかけていました。
樽の風味と果実味が見事にマリアージュしています。
偉大なポムロールに仲間入りした感じです。
この味だときっとパーカーさんもお気に入りになるでしょう。


さて、このワインは現在ミッシェル・ドロワという人物が所有しています。
彼はモンターニュ・サンテミリオンにシャトー・メゾンヌーヴというシャトーも所有し、
オー・トロショーもそこで造られます。

1987年がミッシェル・クドロワの所有になっての初ヴィンテージですが、
それまでの所有はイヴ・マチアスという人物で、非常に変り者だったらしいです。
イヴ・マチアスは自分のワイン、オー・トロショーをすごく愛し、「ペトリュス2本とでも自分のワイン1本とを交換する気になれない。」
と豪語していたほどです。
彼は1987年に死去してしまい、身内もいなくて、結局、オー・トロショーのファンであった
ミッシェル・クドロワが引き継ぐことになりました。
ただ残念なのは、イヴ・マチアスの死去と共に、シャトー(というほどでもなく小屋)の中に残されたワインは
すべて盗まれたそうです。







写真(左)は旧所有者、イヴ・マチアス時代の
シャトー・(デュ)・オー・トロショー1979年です。
このワインは見つけるのは非常に困難です。
これはミッシェル・クドロワからいただいた虎の子のワインです。

この時代のオー・トロショーはそんなに長期熟成するワインでは
無いと思いますが、
貴重なワインで、飲むに飲めないワインです。

イヴ・マチアスの想いがこのボトルに詰められています。




シャトー・オー・トロショー

面積:2ha
生産量:1,000ケース
品種構成:メルロ100%(一部樹齢100年を超える株もあり)
位置:ペトリュスとトロタノワの間、ル・パンの隣
正規輸入業者:ヤスマ株式会社
小売価格:\10,000










クロ・タイユフェール・バロー1996 2001年3月4日 

今日のポムロールは新しいポムロールのワインです。
クロ・タイユフェール・バロー(CLOS TAILLEFER BARREAU)というワインです。
私は全然知らなかったポムロールのワインです。
たまたま楽天市場を散歩しているうちに見つけました。
所有者はマダム・フランソワーズ・パリという人で、
瓶詰めは彼のシャトー・ド・ヴァランドローのテュヌヴァンです。
名前からして恐らく場所的にはポムロールの南部あたりでしょう。
この辺は細かい砂利と砂質の土壌で、偉大さよりも、
軽くてエレガントなワインが産まれます。

品種はメルロ80%、カベルネ・フラン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%です。


さて試してみましょう。
色は深いルビー色で心が落ち着きます。
香は強くありません。ブルーベリーに似たようなベリー系の香が少し。
味は、、、、ヴァランドローの関係とあらば、それなりに期待しちゃうんですね。
ボディはミディアム。エキス分よりややアルコールが勝った感じです。
もう少しボディがあればいいのですが。
何回かグラスを傾けたときは時々ヴァニラのオーク香もあり、
飲むたびに味が変化してきます。
「旨い!」と思うときもあれば「物足りない」と思うときもあります。

今飲むにはちょっと中途半端ですね。
もっと前に若い時の果実の味を楽しむか、もうちょと後で熟成を楽しむか、ですね。
価格の¥2,250を考慮すると良く出来たポムロールですね。
(意外と無いんですよね。¥2,000台前半のポムロール・ワインが、、、、)


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