少しでも多くの人に読んでほしい本があるのでここに紹介します。
『炎立つ』(ほむらたつ) 著者 高橋克彦
史実に基づいた壮大歴史小説
「平安時代、都(奈良や京都)よりも栄えていた
場所が東北地方にあったのをご存知ですか?」
現代に言い換えてみれば、東京都が東北地方にもあったわけです。
昔、東北地方の人々は朝廷から奴隷のような扱いを受けてました。
東北の人々は「蝦夷」(えみし)または俘囚(ふしゅう)と呼ばれ人間としての扱いをされなかったのです。
その証拠に、以前は東北地方を「陸奥」(むつ)と呼んでいたのを知ってますか?
これは陸(りく)の奥地という差別用語なのです。
それから松尾芭蕉の「奥の細道」。これも差別用語と言われてます。
「日本の名前の由来知ってますか?」
”日いずる国”が有名ですが本当は違います。
蝦夷が本来は名乗ってたのです。
蝦夷の本来の本拠地は、斐伊(ひい)という土地に住んでました。
斐伊を本地としたから、斐の本の一族と呼ばれたそうです。
それが日の本となりました。
それを朝廷が奪い、代わりに陸奥という名を与えたのです。
ちょっと始めに戻って、「なぜ陸奥が栄えていたのか?」
これは今の中国”宋”との貿易が繁栄をもたらしたと言われてます。
実際、国が外国との貿易を本格的に始めたのは戦国時代ですからね。
そして東北地方には多くの金山があったのも影響してます。
朝廷側がこれに気付いたのが戦の発端です。
陸奥の栄華、金山を知り全て奪おうとした朝廷側。
対
奴隷という立場から抜け出したい為に、
朝廷とは分離した自分たちの国を作ろうとした蝦夷側。
では、ここで3人の英雄と呼ばれた人物を紹介します。
藤原経清 (ふじわらのつねきよ) |
中立 | 貴族、藤原氏の血筋を受け継いだ人物。 始めは仕方なく朝廷に従っていたが次第に 疑問を感じ始め蝦夷側にまわる。 |
安倍貞任 (あべのさだとう) |
蝦夷側 | 陸奥を治める豪族。 朝廷に反発する力を持った人物。 |
源義家 (みなもとのよしいえ) |
朝廷側 | 朝廷側、源氏の中心となる人物。 |
この3人は、立場は違うけどお互いを認め合っています。
そしてどの人物にしてみても、
先を見据えた行動力、的確な判断力、驚異的な統率力を兼ね備えてるのです。
そして小説では、それぞれの人物の心のうちを見事なまでに表現しています。
安倍貞任も含む全ての人たちが、藤原経清に惹かれていく姿は面白いです!
あまり知られていない”国の犯罪”を題材にした話を
NHKが大河ドラマとして放映したことにも「炎立つ」の魅力が伺えます。
(しかしドラマでは小説の面白さが伝わってなかったようです。)
不思議な話ですが、小説の方が圧倒的な迫力、緊迫感が伝わってきます!
まるで自分自身が同じ戦場にいるようです。
騙されたと思って読んでください。絶対驚きますから!
この紹介文を最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
ぜひ「炎立つ」を読んでください。
この小説を人に薦めると、絶賛の声ばかり耳にします。
話が面白いというよりも言葉のやり取りが面白い!
著者、高橋克彦氏は中高生に読んで欲しい為に
誰でも読みやすい文章で構成したそうです。
だから歴史小説と思って難しそう・・と判断するのは間違ってますよ。
「読みました!」との報告をメールにて楽しみにお待ちしてます。
『炎立つ』 高橋克彦 著
講談社 出版