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01)
続・地域主導のまちづくり政策論
市民協働社会をアシストするまちづくり条例とNPM
まちづくり政策フォーラム理事 古川 隆
はじめに
ひたかみ2000年12月号の論点では、住民自治を引き寄せる行政機能の地域分散に着目し、地域主導のまちづくりの課題と戦略について述べた。本稿では、ここでの「論点」を「提言」につなげていく観点から、市民協働社会をアシストする「まちづくり条例」と「ニュー・パブリック・マネジメント(以下、NPMという)」等の制度設計にテーマを絞って寄稿したい。また、ここでの制度設計は、都市計画や農振計画等に代表されるまちづくりの個別法を論拠とするものではなく、現場からの発意を政策・施策に反映するシステムの条例化、及び政策を評価・管理するNPM等、市民参画・協働メカニズムに関心をもって整理してみたい。
1.公共経営の視点の重要性
公共経営が注目される背景には、福祉国家政策の限界、成熟社会への対応及び生活者視点の重視の三つがあると考えている。そして、このことは右肩上がりの経済成長期を終え人口減少も見込まれる中で、高福祉・高負担の政策が実情に合わなくなり、大きな政府を維持することが困難になりつつあること。二つ目は、多様化する市民の価値観は行政の一元的な決定による公益的サービスに満足できず、住民層と議会層の意識のギャップも生まれていること。三つ目に、分権社会への流れを見据えて、市民参画・協働メカニズムを機能させようとする革新自治体の動きが広がりつつあること。などから伺える。これからの公共経営は、最小の投資で価値を最大化するベストバリュー政策を基本とした、市場による公益の創造やNPO等の民間事業体の参入による公益的な分野の競争が促進される環境整備と制度設計が重要になると考える。そのためには、中間支援組織等を介して公益性の高い事業体へ資金が還流する仕組みの構築や優遇税制等の制度的なインセンティブの付与も必要となろう。
2.市民協働社会の制度設計
(1)協働型まちづくりのインフラ
協働型まちづくりの触媒的な機能を発揮する市民活動サポートセンターの設置への関心が高まっている。全国的には、県や比較的都市規模の大きい自治体で先行事例がみられるが、近年は小規模町村においても協働型まちづくりのインフラとして位置づける動きも出てきている。また、センターの設置の経緯は、公設公営型から公設民営、及び民設民営等により多種多様であるが、特徴としては民設民営型では母体となる牽引力の強い事業体(NPO等)がありソフト面が充実し、ハード先行の公設公営・公設民営のセンターではソフト面の充実が課題となる傾向がみられる。こうした実情を踏まえて小規模自治体におけるサポートセンターのあり方も議論すべきであるが、都市型の市民参画・協働メカニズムを農村社会に持ち込んで機能するかどうかという疑問も残る。むしろ、既存の集会所やコミュニティセンターの再生や生涯学習のコンセプトを協働のまちづくりの視点で再構築していくプロセスが重要ではないか。その上で、例えば、行政のエージェンシー化(外庁化)によるまちづくりセンターの運営実験を行い、次のステップで民営のサポートセンターに移行していくようなシナリオを描いていくことも想定される。
(2)まちづくり条例の制度設計
まちづくり条例も参画・協働を理念に掲げる町村の関心が高いテーマである。ある町では第三者機関の委員会が草案を練り、検討を繰り返しながら制度設計を試みようと意欲的に取り組んでいる。こうした事例における最大の議論は、代議制を補完する住民投票制度を入れるかどうかにあるようだ。また、基本条例・推進条例・個別条例という形式により総合的、体系的に条例の骨格を組み立てることもポイントとなっている。一方、格調の高さや分かり易さを求める意見も交錯し、その結果、外部からはメッセージ性に欠ける条例ではないかという批判や評論もでる。事例をヒナ形にすれば簡単に形になるだろうが、住民が自ら言葉の意味を噛み締め、合意形成に導くことは容易ではない。ここに参加して感じることは、“条例ありき”ではなく地域特性に応じた個性あるまちづくりを実現する戦略を持つことや行政と市民の関係の組み直しを行い、条例によってそれを担保するという視点を持つ重要性である。制度的な改革が先行しても実質が伴わないと意味がないし、ルールづくりの対象や決定をもっと住民に身近なものにしていく活動も大切となろう。
(3)まちづくりとNPMシステム構築
NPMは、2001年6月、経済財政諮問会議において「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(骨太答申)」(同年6月26日閣議決定)に盛り込まれたことを期に、新しい行政手法として関心が高まっている。その一部を引用すると、「国民は、納税の対価として最も価値のある公共サービスを受ける権利を有し、行政は顧客である国民の満足度の最大化を追及する必要がある。そのための新たな行政手法として、ニュー・パブリック・マネジメントが世界的に大きな流れとなっている。これは、公共部門においても企業経営的な手法を導入し、より効率的で質の高い行政サービスの提供を目指すという革新的な行政運営の考え方である。その理論は、?徹底した競争原理の導入、?業績/成果による企画立案と実施執行の分離という概念に基づいている。」となる。また、NPM理論を解説した『パブリック・マネジメント』(大住荘四郎著/日本評論者/2002)では、その背景として、新しい経済学のフレームが官僚機構に対する非難、肥大化した公共部門を縮小し小さな政府を求める動き、公共政策への市場メカニズムの活用など伝統的な行政システムを改革する基本的な方向性を示す役割を担うようになったとしている。
行政管理から行政経営へ
出典:『パブリック・マネジメント』
(大住荘四郎著/日本評論者/2002)
このような中で、NPM理論がグローバルスタンダードとして普及し、また、先進的な自治体のケーススタディにより日本型NPMモデルも提示されつつある。しかし、直感的には市場原理が行政経営に馴染むものかという違和感もある。市民協働社会をアシストする視点からみると、?NPMを行政評価のツールとしてだけでなく、まちづくりの実効を促すものとして構築すること。?そのプロセスにおいて顧客満足度評価と市民の実感とが乖離しないこと。?市民協働のインフラやまちづくり条例とリンケージして機能していくこと。そして、?顧客である納税者がシステム全体を監視できることが重要であろう。
3.まちづくり社会実験の提案
社会実験は、住民参加、市民参加によるまちづくりに向けて、欧米を中心に広く実施されているExperimental Scheme(実験的な仕組み)のことを差している。つまり、市民協働を前提にして、計画のプロセスの中にフィードバックの手続きを積極的に導入していく仕組みである。また、社会実験のプロセスは、Plan(企画)、Do(実施)、Check(評価)、Action(改善)、もしくはQuit(中止)というサイクルで構成されるため、NPM理論とのリンケージも図り易いのではないかと考える。協働のインフラ整備の過程でもこのような社会実験を導入し、ワークショップ手法等を効果的に活用し、?まちづくりの種を見つけ出す、?まちづくりの実例を創り、見せていく、?まちづくりに関わる人や組織を自立させていくなど、制度と実質がともなう社会変革を促していくことを提案する。さらには、コミュニティビジネスを草の根NPM運動として位置づけ、一人ひとりの起業化精神と実践力・経営力により、マイノリティの声に応えられる公共経営分野を支えていくことも期待したい。
おわりに
現在、効率的な行政経営とセットで議論されているのが市町村合併である。国や地方自治体の財政逼迫状況をみれば、合併や広域連携が最後の切り札なのかもしれない。しかし、合併のスケールメリットだけを共有することが本質ではなく、真の行政経営システムへの変革や市民参画・協働メカニズムを発揮できる体質改善が重要である。また、合併によるコミュニティの求心力の低下や条件不利地域等のコミュニティの衰退が社会的な課題として、クローズアップされようとしていることも視野に入れていく必要がある。
これからの公共経営やポストNPM論は、まさに修復・再生・再創造をテーマにしたコミュニティ政策が主軸になるのでないかと予感している。
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02)
協働のまちづくり 〜平成13年度受託事業を振り返って〜
「元禄潜穴地域発見マップ」作成に行政から参加して
仙台産業振興事務所 柳谷 秀雄
今回,初めてNPO団体との地域づくりマップ作成に行政側から参加してみて,個人的な反省や感想を書かせていただきます。
はじめに,今回委託した「元禄潜穴整備手法検討業務」の元禄潜穴(げんろくせんけつ)は,品井沼干拓を目的に沼の水を松島湾に排水するため,元禄6年から11年にかけて伊達藩による大工事によって造られた潜穴(くぐりあな)です。完成後300年経った現在も幡谷根廻(はたやねまわり)地域の農業用排水路としての役割を担っています。また,県及び松島町の小学校の副読本でも紹介されており,県内小学校の校外学習として多数の小学生が訪れています。
こうした教育的また歴史的に貴重な農業水利施設を機能維持保全するため,安全確保の補強工事と一体的に周辺整備を図ると共に,農業文化遺産として後世に引き継ぎたいという地域の声から整備計画の検討が始まりました。
そこで,従来の行政主導型の整備計画とは違った地域住民参加型の整備計画を策定し,地域が自慢できる資産として守っていける体制を作っていければと,「まちづくり政策フォーラム」に委託した次第です。前段として,まず幡谷根廻地域の再発見のために地域発見マップの作成をすることにしました。委託するに当たっては,当事務所農業農村整備部で初めてのNPO委託で手続きが遅れ,かなりハードなスケジュールの業務になり申し訳ありませんでした。
ところで,恥ずかしながら,NPOに関しての知識としては非営利団体だということぐらいでした。普通の測量設計委託業務と同じ契約との感覚から,NPO事務局とズレがありました。その一例としては,必要な物は受託者側で用意するものと思っていたことです。
おそらく県でも私と同じような人がいるかもしれません。そのため,ここで書きますが,NPOと行政との関係は,一般のコンサル委託の発注者と受託者の関係ではないのです。
目的を達成するためのパートナーだったのです。今回,地域発見マップ作成の作業を通して感じました。そんな私に腹立つのりであったでしょう事務局の安部さん,芦立さんどうもすみませんでした。私はあらためて安部・芦立コンビのキャラ(初対面で金髪にビックリ。古いのでしょうか)とコーディネートの技術に敬服しました。事務所側とのヒヤリングで事務所側の考えを確認しスケジュール設定。事前のスタッフ打ち合わせ。地域の人へのヒヤリングによる情報収集,編集会議の進め方。地域の人の思いをうまく引き出し,その気にさせる。このテクニックは真似てできるものではありません。
これがNPOのコーディネートテクニック。高度な技術だと考えます。測量業務等での有資格と同じではないでしょうか。行政がやろうとしてもできないことだと思います。それは行政がコーディネートしても行政主導型になってしまうからです。行政という堅苦しい殻に入れずに,NPOが入り主導することにより地域の声は出やすくなり,行政側も地域の本音を聞くことができると思います。地域発見マップづくりに参加された元禄潜穴の歴史に詳しい里見区長さん,炭焼き名人の阿部区長さん,地域を子供の学習フィールドにしている小島分館長さん,松島第五小の大橋先生,鹿野先生,PTA会長の佐々木さん,漬け物名人加工婦人部の赤間さん,大友さん,生まれ育った地元の松島町産業観光課の郷古さん,みなさんのご協力によりすばらしいマップが完成しました。自分たちの住んでいる地域の良さを子供たちに伝えたいという熱意が伝わってきました。地域の方々及びスタッフの方との作業を共有したことにより仲間意識が芽生えてきました。この体験は新鮮でした。これがNPO効果ですね。県内の農業農村整備部のみなさん、もっとNPOとお付き合いしましょう。
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泉区昆虫マップ作成事業を実施して
泉区衛生課 杉野目陽子
泉区昆虫マップ作成事業は自然豊かな泉区の魅力を昆虫を素材に再認識しよう!と泉区内の昆虫の分布状況地図(昆虫マップ)の作成をメインに様々なイベントを繰り広げた市民参加事業でした。しかしこのような事業で市民が主体的に活動に参加出来るようにするにはどうしたら良いのか・・・,この事業の担当になった平成12年の春,悩んだ私は「ワークショップなんかどうだろう?」と誰か紹介してくれるかも・・・と淡い期待を抱いてまちフォー事務局長の芦立さんに相談しました。それに対して「それならうちがやれるわ!」と心強い言葉をいただいたのが,昆虫マップ事業運営をまちづくり政策フォーラムに委託したきっかけでした。
まちフォーさんにお願いする前提としてお話したのは,「事業の目的を踏まえた上で,市民が主体的に活動に参加できるような事業にしたい」,そして出来れば「市民が自主的に事業終了後も活動を継続し,行政と連携出来るように」ということでした。
委託後はまず平成12年度末に昆虫マップの編集ワークショップを企画・運営していただくことからはじめ,平成13年度は広く一般市民を対象とした昆虫マップのお披露目を兼ねたイベント(昆虫フォーラム)をはじめとした色々な企画すべてのコーディネートをお願いしました。
一番大きなイベントである昆虫フォーラムは泉中央駅前のショッピングビルで7月の日曜日に実施して,親子連れを中心に800人ほどが参加し参加者の評判も良く大成功を納めました。企画の段階から市民の皆さんのアイディアを取り上げ,また,実施にあたっても役割を分担して市民の皆さん自身にイベントをやり遂げた,という経験をして頂ける仕掛けを盛り込んだ運営をして頂いたおかげで,市民のみなさんには「まだまだやれる!もっともっとやりたい!」という意識が芽生え,事業予定になかった自主活動(「続・むしむし探検隊」)をすることになりました。
この活動は虫の勉強会,観察会などを毎月一回ずつ定期的に行うというもので,企画・準備・実施すべて市民メンバーが担ってくれました。その「続・むしむし探検隊」は今年3月の昆虫マップ作成事業終了後も自主的に活動を続けており,更に今年度は仙台市が実施する「虫の日フェスタ」(害虫を含めた虫との正しいつきあい方の啓発イベント)に協力して頂けることになりました。行政の事業から市民団体が生まれ、更にその市民団体と協働で事業が出来る、というのはなかなかすばらしい成果だとは思いませんか?
さて、このように事業が成果を収めた要因として、NPOであるまちフォーさんに事業委託が出来たこと、そのまちフォーさんとの連携が上手くいったというのは重要なポイントであると思います。まちフォーさんは行政や一般の業者が持っていない市民レベルでの組織作り、人の輪づくりのノウハウを蓄積していました。自身が市民の視点にとても近いため、事業に参加している市民にとってもとても接しやすかったようです。
一方で、当初は事業に関わる人の意識のすりあわせにとても時間を費やしました。庁内や市民の方のNPOってなんなの?まちフォーって何者?という疑問に対しての説明はもちろんですが,事務局(衛生課)とまちフォー担当者同士で目的・手法・役割分担等々を確認しあうためにかなり真剣かつ長時間にわたる意見交換が必要でした。しかし,その作業を確実に実施しましょう,というまちフォーさんの取組み姿勢のおかげで,以降の作業がとても進めやすくなりました。
これは、今後行政がNPOと連携して事業に取り組むにあたって必ず注意しなくてはならないポイントだと思います。まちフォーさんと仕事ができて本当に良かったと,今では担当者一同感謝しています。今後もどんどん良い仕事をして下さるものと期待しています。
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03)
ご挨拶 まちづくり政策フォーラム代表理事 山田晴義
新しい年度を迎えましたが、地域社会やまちづくりの課題解決はまたまた先送りといったところでしょうか。しかし、私どもの研究室では、この2年間中山間地域における「コミュニティ・ビジネス」の調査研究をしてきましたが、地域の現場では新たな協働のもとで、新たな仕組みづくりに挑戦しているコミュニティやグループをいくつか見つけました。システムの創造とその実行以外に累積した課題を解決する方法はなさそうですが、そのヒントは従来のセクターやメンバーの組み合わせによるのではなく、新たな組み合わせによって始めて新たな仕組みも生まれるのだということも知ることができました。NPOやコミュニティ・ビジネスが求められ、またそれらが市民事業として成立しうる根拠もそこにあることを考えれば当然と言えましょう。
まちづくり政策フォーラムもそうした仕組みを創造し、実験することに挑戦をし続けているNPOです。これからも皆様と一緒にこの試みを続けていきたいと思いますので、よろしくおねがいいたします。
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04)
交通を考える部会 〜これからの活動〜
交通を考える部会では、平成14年4月からの約1年間、『「地域の足」を確保する取り組みへの住民の関わり方』をテーマに、地域交通の事例調査を行います。
従来の路線バスの形態にとらわれない新たな「地域の足」を模索する各地の動向を整理して、様々な切り口で検討し、地域の公共交通のあり方を探ると同時に、各事例について、「発足や運営に住民がどのように関わっているのか」、あるいは「住民のニーズがどのような過程を経て運行主体側に汲み取られたのか」といった、取り組みの過程での住民の関わり方に着目した議論を展開していこうとするものです。
このような活動を通じ、今後、地域の交通を考える人(行政、事業者、そして住民など)の相談窓口となれるような知見を蓄積していきたいと考えています。
当面は、月1回程度の定例会で、収集した事例の発表や意見交換を行い、会を重ねる中で、さらに今後の方向性を検討していく予定です。
事例の提供、活動へのアドバイス、単に聞きたい等、大歓迎ですので、ぜひご参加をお待ちしております。また、代表の山中君を中心に、事例収集のための取材もその都度、企画します。ぜひ、こちらにもご参加ください。
定例会:毎月第2火曜日午後7時〜
まちづくり政策フォーラム事務所内
(仙台市若林区河原町2-7-22)
TEL:022-215-6267
E-mail:machiforum@mvd.biglobe.ne.jp
*開催日時は流動的ですので、参加を希望される方、取材に同行されたい方は必ず事前にご連絡下さい。
活動の内容
(1)事例収集
(第1期:4月〜5月頃、第2期以降:未定)
・ 新聞記事、書籍、インターネットのホームページの検索などによる文献調査を行い、各地の「地域の足」に関する取り組みの事例を集めます。
・ 日本国内の事例に限定し、バス、乗合タクシー、その他様々な交通手段を対象とします。取り組みの主体は、行政・民間を問いません。
・ 集めた事例を整理し、取り組みに対する住民の関わり方に着目しながら様々な切り口で分類し、興味深いものについては追跡調査を試みます。
(2)聞き取り調査
(第1回:6月頃、第2回目以降:未定)
・ 集めた事例の中から、宮城県内を対象に取材先を選定し、「ひたかみ」の取材を兼ねた聞き取り調査を実施します。
・ 聞き取り調査では、主に「どのような(住民と運行側の)経緯で開設に至ったのか」「どのようにして継続しているのか」「その取り組みが地域にどのような効果をもたらしているのか」「課題は何か」などについて掘り下げていく予定です。
(3)中間報告会
(夏〜秋頃)
・ 事例収集と聞き取り調査の結果をもとに、簡易な報告会を開催します。
・ 外部の方から頂いた意見なども参考にしながら、その後の調査方針と最終的なまとめ方を検討します。
(4)まとめ(冬頃)
・ 年内を目途にその後の調査を完了し、翌年3月を目途に報告書にまとめます。
(交通を考える部会 岡田真秀)
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05)
■アースワークス研動向
仙台市太白区坪沼地区での「プチファーム」も3年目に突入。
今年度は13組総勢約40名の参加。新規加入は4組(うち1組は前年度の参加者からの暖簾分け)。4区画を使用する組(民間保育園さんで、園児も芋掘り予定)や、逆に1区画を2組で使う例もあり、2年生、3年生グループはそれぞれ自分たちのペースをつかみ、思いおもいの畑ライフをイメージしているようだ。
4月20日には第1回「畑で一服」を開催。前の週に草取りをしたあと、畑オーナーである佐藤功さんがうなってくださっており、すぐに区割りを始めることが出来た。
今年のプチファームは、区画によって作付けする野菜の種類も、無農薬など農法の志向も、非常に多様であることから、各自、思い思いの作り方をしていただけるよう配慮した。しかし、農業を本業として営む佐藤さんにとっては、私たちのやり方が歯がゆい面もあるようだ。「元肥を、耕すときに入れるとよい」とか、「特に坪沼の土は酸性が強いので苦土石灰を、うなる前に入れておくとよかった」などのアドバイスをいただき、もう少し佐藤さんとも事前に相談できるとよかったかなと反省しきり・・・。
「あの場所ってとっても気持ちよい空間ですね。集っている人たちの暖かさがそのまま伝わってきたからかもしれませんが、ただいるだけでいいって感じでした。」
と畑で一服の感想を新プチファーマーの長谷川さんが寄せてくださった。
長谷川さんも感じてくださった居心地のよさは事前にメーリングリストで自己紹介を済ませてるからかもしれない。メーリングリストによる情報の共有は、プチファームならではのものである。
「メーリングリストを活かした情報交換」
畑へは毎日日課のように通われてる「どんぐり保育園」さんから水不足、霜被害などの実況報告が入る。
●畑のおしらせ(1)
川側の畑で、トマトと茄子とピーマンを植えた方へ。苗が、かなり水不足でシンナリしていました。速めにレスキューしないと..。
ここのところのお天気で、カラカラごろごろ土の畑です。苗を植えた方ご注意あれ。
●畑のおしらせ(2)
本日いよいよ茄子が危篤になっていたので、茄子とトマトに水をかけました。茄子なんですけど、一株多分難しいでしょう。トマトも一株難しいとおもいます。
早く、雨が降ってくれるといいですね。
あっアンベサン、いちごの苗、只今乾燥注意大!早めのご対策を。
どんぐりさんからのメールにこたえる形で・・・
●こんにちは。2年目の山中です。
それはたぶん、私たちの畑ですね。お知らせ頂きましてありがとうございます。日曜日から月曜日にかけて雨が降ったので、大丈夫だろうと思っていたのですが(←勝手な判断)、坪沼では降らなかったかな?それとも、苗を植えた直後は頻繁に見に行かないと危険かな?
仕方がない。週末までは授業やバイトで全く身動きが取れないので、雨乞いをしながら苗の生命力に期待しよう。頑張れトマト!ナス!ピーマン!……。(-_-;)
このような水不足に事務局としても、なんとか手を打とうということで・・・
●まちフォ、事務局です。
明日にはポリタンクとじょうろを物置に置いておきます。
水は川の水でもいいですが、功さんのお宅の井戸水を使ってもいいそうです。。。
ポンプを使って汲んでいいとのこと。分からない方は功さんに声をかけてください。
といったやり取りが・・・。
また、耳寄り情報や・・・
●苗の日照り対策で、知人のアイディアをお教えします。
苗が入っていた黒いポットをはさみで縦に切り裂きます。ついでに、底の部分にも穴から放射状にいくつか切れ目を入れます。
ポットを逆さにして、茎が底の穴から出るようにし、そのまま畑に植え付けます。
根元に静かに水を差します。黒いポットが、保水と保温の役目をするというわけです。
なお、カポチャやスイカ、メロンの種を蒔いたときにも、ポットをかぶせておくとよいとか。試してみたいと思っています。
佐藤組
意欲ある話も・・・
●いつもお世話様です。
さて、早速ですがお願いがあります。
正式に2区画目をお借りしたいと思うのですがいかがでしょうか。
端っこの方を耕しても良いとおっしゃていただきましたが、味噌つくり用の豆などをまきたいと思っていて、全部蒔いたら、かなりの面積になっていまいそうです。
それなら正式にお借りした方が良いのではと思いまして。
原田、阿部組
自分の畑だけでなく、後輩プチファーマーたちの畑をも気遣う先輩プチファーマーの姿を見ていると、プチファームも3年目に入って農業技術インストラクター候補が育ってきたように思われる。確実にユニット拡大に向けての底力を貯えているようで心強い限りである。
(報告者 芦立)
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06)
●研究会動向・都市農村計画研究会
◆公開ミーティングの反省
4月の研究会では、1月に開催した「仙台市土地利用調整に関わる公開ミーティング」(詳細は前号参照)の反省会を行った。公開ミーティングでは、ロールプレイを採用した市民参加型の討論形式を採用したが、参加者からは以下のような感想が出された。
・ロールプレイについては、分かり切っている内容だった
・開発者側に有利なシナリオであった
・ロールプレイは参加の場としては有効。ただし問題解決の手法としては課題が残る。
・ロールプレイがきれいに進みすぎた(泥臭さがない)
・参加者の満足感、達成感が得られたり、成果をつくって行けるようなシナリオがあっても良かった
・市民対してのアカウンタビリティはまだまだ不充分(参加人数の面からも)
・今回のシナリオでは山の開発をやめる、大型店の歯止めなど土地利用調整の本質に迫っていない
・行政用語が多く、一般の人には分かり難かった
◆今後の活動方針
これらの反省点を踏まえ、研究会では今後の活動方針について話し合った。主な論点としては、?仙台市に対して次に何を訴えていくのか、?市民・住民参加システム構築を先行的に研究会で実行できるかどうか、?具体の場所を探しつつ、先行モデルづくりのための活動をしていく、?まちづくり条例の叩き台をNPO・市民から提案してみる、?開発がない地域でも地域の将来像を描いていく、というものであった。とにかく、土地利用調整のシステムを導き出していくには、具体のフィールドを想定して検討する必要があるという点がメンバー全員の考えである。そして、以下の観点から本研究会の社会的使命を果たしていきたいと考えている。
?独立・中立の組織として、市民参加による実践的研究を試みる。
?専門性を活かし、本研究会の調査研究実績を積極的に活用する。
?現有する人的ネットワークを活用し行政・専門家(場合によっては企業)の協働体制をとる。
?里づくり実践に向けて、NPO関与の可能性を研究的視点で考察していく。
?本会の有する情報媒体(ひたかみ他)を活用し、全国に向け情報発信を行う。
しかしながら、上記のような活動を展開するには、多くの労力と資金が必要となり、現在の年間予算で賄うことは難しい。6月の研究会で活動方針の詳細等について検討する予定だが、事務局ではそれに先立ち、「環境調和を目指したコミュニティ単位の土地利用調整制度の導入(集落活性化と環境保全の両立のために)」という内容で助成金を申請しているところである。
(報告者 鈴木)
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炭焼き小屋・見学会報告 〜加美郡宮崎町 伊藤清氏宅を訪ねて〜
5月4日ゴールデンウィークの最中、宮崎町に住む伊藤清さんが所有する炭焼き小屋を見学するイベントを開催しました。総勢11名が参加しました。伊藤さんは、一昨年にまちフォが受託した宮崎町総合計画策定業務の担当課課長(企画財政)を務められていた方です。
昨年4月に退職され、かねてから構想を抱き続けていた炭焼き生活を送るため、およそ1年をかけて敷地を造成し、炭焼き窯、炭焼き小屋、休憩所を建設していました。今年3月に山田と鈴木が役場に行った際、偶然にも伊藤さんにお会いしました。その時に「炭焼き小屋が完成したので、是非遊びにしてください」と頂いた言葉に甘え、今回の見学会を企画する運びとなりました。企画の内容は、炭焼き小屋を見学し、バーベキューをしながら伊藤さんと交流しようという至ってシンプルなものでした。
当日は、炭焼き小屋を訪れる前に、宮崎町内にある「まちづくりセンター」で特産品を販売している「特産市」と、観光の拠点である「陶芸の里」に立ち寄りました。そこで、名物の餅(6種類)、アイガモの焼き鳥、舞茸を調達しました。炭焼き小屋には、少し道に迷いながら正午前に到着しました。
炭焼き小屋は一般的な住宅団地から少し小道を入った雑木林の中に建てられており、静寂と木陰に包まれた雰囲気の良いところにありました。敷地内には、炭窯とそれを覆う炭焼き小屋、休憩所、農園がありました。到着後、待ちかねたといった様子の伊藤さんから、さっそく炭火で焼かれたウグイのおもてなしを受けました。小腹の空いた参加者の食欲を少し満たしたところで、炭窯と炭焼き小屋の説明を伊藤さんから受けました。
炭窯は予想以上に大きく、すべて敷地内の土を材料にしているとのことでした。30年はもつようにつくったというだけあって、さすがに迫力のあるものでした。炭窯を覆う炭焼き小屋は、作業用スペースや材料や道具を置くために、かなり広めに設計されていました。炭焼き小屋に隣接する休憩所は、広めの土間と畳敷きの広間からなり寝泊まりもできるということでした。炭窯については職人の手を借りたものの、驚いたことに建物については殆ど伊藤さんの手作りということでした。とにかく、素人の手だけでここまで出来るものなのかという声が多くの参加者から出ました。
建物の説明を受けた後、昼食時間に移りました。まだ残っていたウグイや特産品の餅とアイガモの味に参加者は舌鼓を打ちつつ、すっかりサブメニューとなってしまったバーベキューを楽しみました。昼食では、伊藤さんと参加者の会話が弾みました。伊藤さんは実にたくさんのアイディアを持っており、子供たちや親子を対象にして炭焼きや竹細工の体験をしたり、農園を使って農業体験などができないかと日々思案しているようでした。会話はさらに発展し、仙台市にはそのようなニーズがないのか、あるいはまちフォではそういう取り組みに関われないかという具体的な内容にまで踏み込んでいきました。
今回の見学会を通じて、伊藤さんから農村と都市の交流や農山村活性化にNPOがどう関わっていけるかのヒントを教えて頂いたとともに、たくさんの宿題を投げかけられたような感覚を受けています。まちフォとしても、今後の検討事項として捉え、具体的な企画にできればと考えています。
空腹を満たされ参加者一同が帰路につこうとした頃には、竹酢液と竹炭をおみやげに準備しておられ、伊藤さんには大変ご迷惑をお掛けしました。
(報告者 鈴木)
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荒町商店街・名物 幸五郎氏 〜こうごろう新聞より〜
ある日、仙台駅前からバスに乗った。私はすぐ降りるつもりで、運転席のすぐ後に立った。バスに乗ったときには、一番前で運転手さんと一体感になるのが大好きである。運転手さんは私の知り合いではないが突然声をかけてきた。「出雲さん何処へ行ってきたの?孫さん何人になったの?」矢継ぎ早に質問してきた。後には満員のお客様が乗っている。急なことで、私も慌ててしまった。
五橋で降車ボタンを押してしまったら、運転手さんに、「ここで降りるのでないよね」とまで言われてしまった。更に会話はつづく。話はキャッチコピー(※編集部注)に及んだ。お客さんも楽しみにしている。なるべくお店の前は徐行するようにしているという。私はバスに親しみが出るような、面白いキャッチコピーを書くよと約束して市立病院前で降りた。聴くところによると市営バスの霞の目営業所では、私のことが話題になっているらしい。どうりで最近は、バスの運転手さんがみんな手を挙げて挨拶してくれると思った。
中倉の自宅の往復には、バスを利用している。車中では、皆さん何がおもしろくないのかムッとして乗り合っている。声高に話をしては辺りに迷惑になる。そこで一つ提案だが、バスの運転手さんがトークショーをやったらどうだろう。例えば沿線の商店街のイベント情報、天気予報などネタはいっぱいある。そんなことがあれば車内が和むのではないか。
孫とバスを利用する。孫は降りてから発車するまで運転手さんにバイバイをする。運転手さんも、それにこたえてくれる。私は敬老乗車証なので、最敬礼をして降りる。3月末のキャッチコピー「おとしよりバスにただのり春爛漫」と書いたら、中倉の人から電話が来た。
私が考えたバス停コンサートは4月で7回目になるがこれまた大好評である。区役所のまちづくり推進課長さんもヒット商品だと回小判を押してくれた。課長さんにはバスの所長さんを紹介してくれと頼んである。実現したら、楽しくバスに乗る方法を話し合ってみたいと思っている。
ところで、4月1日は私、幸五郎にとって特別な日である。昭和6年4月1日は、幸五郎の生まれた日。いわゆる早生まれの最後の日に生まれたことになっていて、今年めでたく71才を迎えました。ところが、本当の誕生日ではない。私の父が兄弟が多いので繰り上げて届け早く学校につけようとしたのである。
果たして本当の誕生日はいつなのか、親戚の人に聞いたら、何でも「お前がうまれた頃には桜が咲いていた」という。今年は、まさしく4月1日が開花日となったが昭和6年頃は4月後半ではなかったか?いい加減な話ではあるが、4月1日にはこだわりがあります。
昭和34年3月、本家が倒産して、うまれて6ヶ月の長男を抱えて、幸五郎家が学院大のすぐ側の土蔵で『幸洋堂』を意気高らかに創業したのは4月1日です。たくわんを切る包丁もなく徳利を隣から借りて創業式をしました。以来今年で満43年となりました。
こうごろう新聞も7年前の4月1日が創刊記念日です。昨年、第1回河北仙販「私の新聞」オーディションに入選して、そのご褒美に『こうごろう新聞』を6ヶ月間河北新報の夕刊に折り込ませていただきました。おかげさまでたくさんの方から「読んだよ。おもしろいね。うまいね。」と、町で会ったときに声をかけていただきました。
個人新聞とは言え、皆さんに読まれるには、私個人のことだけでは自己満足と孫自慢にしかなりません。なんとか社会性を出すように工夫しているつもりです。折り込みのほうはおしまいになりましたが、『こうごろう新聞』はまだまだつづきます。お読みになりたい方は毎月、荒町の幸洋堂か中央4丁目の文具館へ足を運んでいただくか、年会費2000円を払っていただければ、郵便でお送りいたします。お気に召した方はお申し込み下さい。
ボケ防止のためにも71歳幸五郎書き続けます!
※編集部注
幸五郎氏の経営する『幸洋堂』の店先には幸五郎氏が自ら筆でしたためた『キャッチコピー』が張り出されている。氏の独特の切り口、迫力ある文字が荒町商店街を通る人たちの目を引いている。
・4月のキャッチコピー
「気分一新」
「今日のために生まれてきたの」
「助平心蠢く春の宵」
「5万円で雇っている秘書兼女房殿」
「風薫る」
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